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木の葉燃朗の読書録

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宝泉薫編・著『歌謡界「一発屋」伝説』 / 宝泉薫編・著『芸能界「一発屋」外伝』 / 最相 葉月:監修『星新一空想工房へようこそ』 / 星新一『きまぐれ博物誌・続』 / 星新一『気まぐれフレンドシップPart1』 / 星新一『気まぐれフレンドシップPart2』 / ボナ植木『書斎がいらないマジック整理術』


2002年7月18日(木)
宝泉薫編・著『歌謡界「一発屋」伝説』(1998年,彩流社オフサイドブックス)  古本
 「一発屋」って、広辞苑にも載ってるのね。「ふだんは目立った働きがないが、時 に大きな仕事をする人。また、堅実でなく大きな事だけをねらう人」(『広辞苑』第五 版)。しかし、一般的に一発屋といえば、「ヒット曲ひとつで有名になった歌手」を意 味するだろう。この本は、まさに「歌手の一発屋」に絞って紹介をした本。なお、芸 能界全般の一発屋について読みたい方は、同じ著者が同じ出版社から出している 『芸能界「一発屋」外伝』『決定版「一発屋」大全』もあります。
 読んでみると、一発屋の紹介を通じて、1960年代以降の日本芸能史が見事に 描かれることにびっくり。そういう資料的価値を抜きにしても、1970年代後半生ま れの俺にとっては、「ああ、知ってる」という懐かしさと「へえ、こんな人もいたんだ」 という新鮮さの両方を感じて面白かった。世代によって、異なる読まれ方をすると は思うが、それなりの楽しみがあるのではなかろうか。
 でも、名前を聞けば「ああ、あの人」と思い出し、曲名を聞けばサビのメロディが 浮かぶというのは、すごいことだと思う。人々の記憶に見事に残っているわけだ。
 たった一発であっても、でかい花火を打ち上げた奴はえらい。俺はそう思うなあ。
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2003年1月8日(水) 過去に思いを馳せる1冊
宝泉薫 編・著『芸能界「一発屋」外伝』(1999年,彩流社) 古本
 『歌謡界「一発屋」伝説』(1998年)『決定版「一発屋」大全』(2001年)と三部作を なす「一発屋」シリーズの第二弾。全作『歌謡界「一発屋」伝説』が「歌手」に限定し た一発屋の紹介だったのに対し、本作はタレント、文化人、そしてブームやグッズ などにも「一発屋」の枠を広げて紹介している。
 おそらく、読めば誰もが懐かしさで「あー」と言うことであろう。あまりに若い人や、 テレビや芸能と無縁の生活を送る人にはあまり面白くないだろうが。
 参考までに、各章のタイトルと簡単な内容挙げておこう。
・お笑いで「一発」の章:せんだみつお・欽ちゃんファミリー・たこ八郎・若人あき ら・大木凡人・ラッキイ池田・「ボキャブラ天国」関連の芸人たち、などなど
・ここでコマーシャルの章:マルコメ君・禁煙パイポ・歌手の小金沢君、などなど
・お色気で「一発」の章:C.C.ガールズ・パイレーツ・女子アナ・イエローキャブ系、 などなど
・トレンディな「一発」の章:加勢大周と坂本一生・トレンディドラマのハマリ役、な どなど
・若さゆえの「一発」の章:「金八先生」系の子役たち(直江喜一など)・バラエティ 系子役(カケフくん・間下このみ)、などなど
・私の「一発屋」伝説の章:前作への読者投稿及びフォロー
・文化人も「一発」の章:暴露本の人々・失言だけが残った人々・ダイエット本の 人々、などなど
・異能者の章:超能力、除霊、魔術の人々・野球界、スポーツ界の人々・風船おじ さん・クシャおじさん・高橋名人・ノッポさん、などなど
・異生物の章:着ぐるみ、人形系・都市伝説・珍動物・おもちゃの一発屋、などなど
 どうでしょう、心惹かれる部分があれば読んでみては。
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2008-01-30(水) 星新一氏の魅力を、作品とは別の側面から見る

最相 葉月:監修『星新一空想工房へようこそ』(2007年11月、新潮社) オンライン書店bk1楽天ブックスAmazon.co.jp

 星新一氏の作品以外の情報から、改めて星氏の魅力を振り返る本。下記の四章と、最相葉月氏のコラム、星新一年譜からなる。

1.Mr.ショートショートの居た場所
2.星流ショートショートのレシピ
3.きまぐれ装画美術館
4.エス氏のDNA

 「Mr.ショートショートの居た場所」は、星氏の生まれ育った町、暮らした町を紹介するとともに、子どもの頃の写真や作文、作家となってからの日記。ショートショート1001編の達成記念につくったタバコ「Sen Stars」(セブンスターのパロディ)には、星氏らしいユーモアを感じるし、銀座のバー「まり花」で有名人に会うと、コースターの裏にサインをもらって持って帰ったというのは、意外な感じもした。コースターを撮影した写真もあるのだが、結構色々な人とあったんだなあということが分かって面白い。
 最後に暮らした高輪のマンションの様子(書斎はそのままになっている)も写真を見ることができる。

 「星流ショートショートのレシピ」は、作品を作るにあたって書いたメモを撮影している。書き損じの原稿用紙の裏とか、包装紙の裏とか、小さな紙片などに、びっしりという感じでメモや下書きがされれいる。これは迫力があります。

 「きまぐれ装画美術館」は、星氏の作品とは不可分ともいえる、真鍋博・和田誠の両氏の装丁画・挿絵を紹介している。

 「エス氏のDNA」では、ショートショートコンテストで絶賛を受け、蔵書の一部も譲り受けた江坂遊氏による考察、高校生の頃に「奇想天外SF新人賞」で星氏の推薦を受けたことがデビューのきっかけとなった新井素子氏のインタビュー、星氏の次女であるマリナさんのエッセイと、それぞれ星氏の影響を受けている方々からの文章が寄せられている。
 マリナさんのエッセイで、バーバリーのコートを他の人と区別するためのワッペンを、わざわざバーバリーのラベルの上に貼り付けたエピソードは、なんだが星氏らしい。

 星氏の研究書というよりは、作品そのものとは別の側面から氏の魅力を見る本なので、一冊でも星氏の本を(小説でもエッセイでも)読んだことがある人なら、懐かしい気分になるのではないか。

星新一 一〇〇一話をつくった人最相 葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』(2007年,新潮社) bk1Amazon.co.jp楽天ブックス →  感想:2007.04.22(日)ショートショートの神様も一人の人間だった。だからこそあらためて好きになる。

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2003年12月22日(月) 面白い話を面白く聞かせてくれる1冊
星新一『きまぐれ博物誌・続』(1976年,角川文庫)古本
 作家星新一氏のエッセイ集。1000編以上の高水準のショート・ショートを書いた人 は、ものの考え方がユニークだったのだと思う。氏のエッセイ集を読むたびに、そう 思う。今から20年以上前に書かれた本なのに、未だに内容が古くなってない。それ どころか、今の世の中の問題点を言い当てているような部分もある。エッセイの中 からふたつ、紹介しましょう。

・「学問の自由化」(p.12〜p.15)。内容を要約すると、次のような話。
 学校は株式会社になり、企業間競争が行われれば、教育の質が向上するので はないか。学生も月謝に見あう学校を選んで学べばいい。もしも学校へ行く金がな ければ、大学か銀行から利息付で金をかり、会社に入ってから返却すればよい。 その上で、企業になってしまうと採算が取れない学問の研究にはじめて税金を使 えばいいのではないか。
 これ、今の話ではなく、20年前の話です。そう考えると、教育は問題点が解決さ れずに今まで来てしまった気がする。未だにこういうこと、できていないものなあ。

・「新種の妖怪」(p.155〜p.199)。この中では、イギリスのクラークというSF作家(多 分A・C・クラークのことだろう)の「全世界電話回線網ができたとたんそれが意思を 持って社会が大混乱におちいる」(p.155)短編小説を紹介し、コンピューターが新し い妖怪になりうることを予測している。これ、インターネットのことなんじゃないかと 俺は思った。
 それから、「交通戦争のなか、めまぐるしい流行、うるさく複雑な対人関係。でき るものなら自分も外界との関係を断ち、殻に閉じこもりたいと考えている人は多い はずである」(p.156)と言い、「マイホーム主義というものが、すでに家族単位の自 閉症であろう。土壌はできているのだ。もう少し進めば、マイ自分主義とでもいうも のが出現してくるにちがいない。社会でなにが起ころうが、肉親になにが起ころう が平然として無感動というのである」と予言している。これも、まさに今の世の中を 言っているようだ。

 しかし、決して文章は暗くない。ユーモアのある書き方をしている。しかし、それゆ えに考えさせられる。
 そらから、この本は『きまぐれ博物誌』(1976年,角川文庫)の続編ですが、内容 は独立していますので、この本から読んでも大丈夫です。 

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2002年4月5日(金)3月に読んだ本(フリートークにて)
星新一『気まぐれフレンドシップPart1』(集英社文庫)古本
 文庫本の解説を中心にした人物についてのエッセイ集。新潮文庫版もあり。星新一の興味 の持ち方の広さに驚く。また、ここで紹介されている小説はことごとく読みたくなる。これも星新 一の才能だと思う。

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2002年6月5日(水) (フリートークにて)5月にはこんな本を読んだ(中編)
星新一『きまぐれフレンドシップPART2』(新潮文庫)古本
「他の作家の小説の解説文・様々なパンフレットへ書いた文章などを集めたものです」
「PART1を読んだときにも思ったが、星新一の興味の範囲の広さを感じる。あとは、紹介者とし てのうまさね。ここで紹介されている小説は、みんな読みたくなってしまう」
「星新一は小説だけじゃなくて、エッセイも面白いですよね。平易な言葉で、色々なことを語って くれます」

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2003年2月26日(水) "知的生産"のための2冊
ボナ植木『書斎がいらないマジック整理術』(2003年,講談社+α新書)
 マジシャンコンビ「ナポレオンズ」のひとり、ボナ植木氏による本(ちなみにもうひと りはパルト小石氏)。この本では、限られたスペースでいかに知的生産をするかと いう方法を、まさにマジックのように生み出して紹介する。
 中心になるのは、ストレスをためずに情報を集め、管理し、使う方法の紹介。こ のテーマに沿って、まずは情報の入力・収集の方法が紹介される。例えば、どんな メモを持ち歩けばよいか、そのメモになにをどのように書けばいいか、ビデオの録 画の仕方やパソコンへのデータの入力の仕方、などなど。
 そして、そのデータの管理・活用のためにどんな家具をつくるか、家の中のスペ ースをどのように使うか、資料をどこに入れるか、といったことが丁寧に書かれて いる。
 全部を真似するのは難しいと思うが、参考になるところ、面白いと思うところは多 い。
 また、氏の趣味や日々の生活の話も登場し、これがまたなんともいえない味があ る。ファンでない人も読んでいて思わず引き込まれるだろう。無駄のない内容なの で、すぐに読めてなんらかのプラスになる点もきっとある。ううむ、いい本だ。
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