「木の葉燃朗のがらくた書斎」トップ>>木の葉燃朗の読書録>>は行
木の葉燃朗の読書録
火浦功『遊んでて悪いか!!』 / ヒロシ『ヒロシです。』
. _
2003年5月20日(火) 気楽に読もう
火浦功『遊んでて悪いか!!』(1995年,ログアウト冒険文庫) 古本
サブタイトルに「遅筆SF作家のスチャラカ日記」とある。まあ、これがすべてを表 現していますね。1992年から1995年の初めまでの、火浦氏とその周辺の人々の様
子、更には当時の世の中の状況・流行や、氏がそれらをどう思っていたかがわか る本。
本文中にもあるが、もともとはゲーム日記ということで始まったらしい。たしかに、 当時流行した色々なゲームが出てくる。『三国志V』、『三国志W』、『伝説のオウガ
バトル』、『ドラゴンクエストX』、『ファイナルファンタジーX』、『バーチャファイター』 などなど。パソコン・テレビゲームを問わず、色々なゲームに夢中になっている様
子がよくわかる。それから、氏とパソコンとの関わりも興味深かった。まだパソコン のOSがMS-DOSやWindows3.1の頃から、そうとうなハマりようである。
しかし、ずっと家の中にいるのかといえばそんなこともなく、テニスにスキーに香 港旅行と、なかなか活動的である。また氏と交遊がある人々も、俺が「おっ」と思っ
ただけでも、とり・みき、ゆうきまさみ、出渕裕、鹿野司、張仁誠、高千穂遥、いしか わじゅん、岬兄悟、大原まり子、久美沙織、鈴木みそ、などがいる。
新刊で発売された当時は、火浦氏も含めてこの本に登場する人々のことはほと んど知らなかったと思う。そのためか、この本の存在自体を知らなかった。しかし、
今改めて読むとなんとも面白い。
2004.12.28(火) 面白いのに切ない、この気持ちはなんだ!?
・ヒロシ『ヒロシです。』(2004年,扶桑社)
自虐漫談でおなじみのヒロシさんのネタをまとめた本です。
●面白うて、やがて哀しきヒロシかな
俺は、ヒロシさんのネタは好きだし、笑えるだろうなあと予想しながら読み始め た。
たしかに笑えた。でもそれとともに、こう「胸をかきむしりたくなるような切ない気持 ち」になった。その理由は、「自虐ネタ」というところにあるのだと思う。
●ヒロシ&キーワード
この本で出てくるネタの種類を分けると、ヒロシさんの「子どもの頃の嫌な思い 出」、「昔からいかにもてないか」、「いかに貧乏か」、「いかに小心者か」、「自分の
輝ける姿を夢見る」などが主な内容。テレビで披露されているネタもそうですね。
これが、俺自身と少しでも重なる部分があると、すっごい切なくなる。もっと言え ば、自分の隠しているダークサイドを見るようなつらさがある。
特に、本にはネタとともに解説もついているのだが、これも悲しさを倍増させる。
●すごいよ!!ヒロシさん
そう言えば、俺にはひとつ疑問があった。それは、「ヒロシさんはこれだけ人気が あるのに、まわりに真似をする人が少ないなあ」ということ。その理由も、この本で
ネタを続けて読んで、なんとなく分かった気がする。
ヒロシさんの真似をして自虐ネタを考えると、2、3個でつらくなってくるのである。 冗談でもなかなか真似はできない。
そんな自虐ネタをつくり続けて人前で披露するヒロシさんには、とにかくすごいと 思った。
●そんなヒロシに惚れました
そんなわけで、ネタは十分に堪能したのですが、最後に驚くべきおまけが。
あとがきのような形で、ヒロシさんから読者へのメッセージがあるのだが、これが 泣ける。ひとことで言えば、「勝ち組には分からない意地」がにじみ出たメッセー
ジ。
「ヒロシさん、かっこいいよ!」
そう思って、俺は本を閉じたのであった。