木の葉燃朗のがらくた書斎>>ラジオと俺>>「Lady Go!!卒業イベント〜1841日の奇跡〜」感想

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■「Lady Go!!卒業イベント〜1841日の奇跡〜」感想(20151018:1121-1123公開)

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 10月18日(日)に、舞浜アンフィシアターで行われた、「Lady Go!!卒業イベント〜1841日の奇跡〜」を見に行きました。
  「Lady Go!!」、正式には「A&G NEXT GENERATION Lady Go!!」は、2010年10月〜2015年10月の五年間、文化放送のインターネットラジオ「超!A&G+」で放送されたラジオ番組。コンセプトは「次 世代の声優界を引っ張っていく若手女性声優5人が、 リスナーのみなさんと一緒に番組と共に成長していこうという」(番組公式ブログより)番組。出演者は、月曜日から順に敬称略で上坂すみれ・小松未可子・大久保瑠美・高森奈津美・三上枝織の五人。
 私は今年に入ってからのリスナーだったけれど、今年夢中で聴いた番組のひとつだった。当日の公演を見ての感想を、いちリスナーの視点で書きます。

・A&G NEXT GENERATION Lady Go!! : http://www.joqr.co.jp/blog/lady/

●開演前

 開演前に会場に到着して、物販で色々購入。売り切れていた商品もあったけれど。
  そして、物販ブースを出ようとしたら、番組とコラボしたマンガ「みならい女神 プルプルんシャルム」を描いたキダニエルさんが物販ブースに登場して、購入者との握手会を開始。握手させてもらうが、それだけで結構込み上げてくる。「こ れまで、いっしょに番組を応援してくれてありがとうございました」くらいしか言えなかったよ。あまり色々お話したら号泣してしまいそうで。

 そして、待機して開場とともに中へ。ファンのみなさんから贈られた花を見たり、番組で使われた道具の展示を撮影したりする。そして、来場者からパーソナリティ五人へのサプライズの準備も進められていて、私も参加する。

 そうこうするうちに、開演時間が近づく。舞浜アンフィシアターは初めて来たけれど、噂どおりの見易さ。かなり後ろの席ですが、イベントは楽しめそう。

●トークパート

 最初に、ステージのスクリーンに、五人の番組初回と最終回の映像が続けて流れる。この時点で、既に泣きそうになってしまうのですが。
 そしてイベントは、五人が全員登場してのトークパートから始まる。

 最初は、スクリーンに映した年表を見ながら、番組の五年間を振り返る。この年表が、ものすごい力作。放送中からこつこつまとめていたとしても、今回のイベントに際してアーカイブを見直して作ったとしても、どちらにしてもすごい労力。
 しかも、イベントとかリリースとか、誰もが納得する番組的に重要な項目がある一方で、「小松さんのノースリーブを初めて確認」とか「大久保さんが高森さんを『なつゲイ』と言い間違えた」とか、結構マニアックだけれどリスナーにとっては嬉しいネタも散りばめられている。

 五年を振り返ったところで、番組に登場したキャラクターの話題に。そこから、一人ずつ番組を代表するキャラクターを呼ぶことに。

・三上さんは、リスナーをダーリンとして、いろいろなシチュエーションでエチュードを繰り広げた「ハニー枝織」。
・高森さんは、「おにいたん」へ様々な質問をし、リスナーが変態ちっくな回答を寄せた「なちゅみ」。
・大久保さんは、コーナー開始時には誰もが予想しなかったであろう大ブレイクを見せたイケメン「伊達瑠美男」。
・小松さんは、リスナーの悩みを、時に優しく、時に厳しく、だいたい自由に受け止めていた「マザーミカコ」。
・上坂さんは、リスナーの質問をバッサバッサと切り捨てるスマートフォンの「質問シロイドすみれ」。

 うん、一人かぶりものがいるぞ(笑)。上坂さんは、マトリョーシカのデザインのスマートフォンケース(の着ぐるみ)を上半身にかぶって登場。これ、番組本編でも登場したことないんじゃないか? そして、素材やサイズの都合で、椅子に座れない上坂さん。面白すぎだ。

 各キャラへの質疑応答がありつつ、最後はこのキャラクターで朗読劇。ちょっとー!(笑) 設定は、ハニーと瑠美男が夫婦で、なちゅみがこども。これは分かる。シロイドさんはスマホ。まあ分かる。そしてマザーはマザー。なんでだ(笑)。これは劇中でもネタにされていた。

 カオスながら、わりといい話のような、そうでもないような感じで朗読劇は終了。五人が舞台から一旦退場。

 そして、舞台の下からせり上がってきたのはコタツ。会場の舞浜アンフィシアターは、元々「シルク・ドゥ・ソレイユ」の公演のために作られた劇場。だから、色々な仕掛けはあるのだが、それをこうやって使うのはある意味贅沢。当然、再登場した五人はコタツに入って女子会トーク。そして、後ろを向いたままのメンバーが出ないように、コタツの乗った部分がゆっくりとくるくる回る。ある意味贅沢。

 トークは本当に四方山話って感じで、ウィンナー食べながら、出てきたチョコレートはきのこ派かたけのこ派かを熱く語ったり(主に上坂さんが)。
 さらに、「Lady Go!!」の五人としてやっておきたいことを。タイムカプセルを作ったり、記念撮影をしたり。いやあ、この、中睦まじい五人を見られるのは嬉しいけれど、これから先そうそうチャンスがないのかもと思うと、寂しい気もするし、本当に不思議な気分だ。

 ここで、まさかの休憩が入る。今年のイベント「fifth date」では休憩なしだったので、ちょっと意外。
 この後はライブです。

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●ライブパート

 休憩の後、ライブパートが始まる。
 インスト曲の「.lady. Overture」とともに、ステージ下から五人が登場。
  歴代オープニングテーマの「Open Tuning」、「Progression」では盛り上がり、エンディングテーマの「星を捜して」、「A Little Magic」はしっとりと歌う。私は「Open Tuning」と「星を捜して」をライブで聴けるのは初めてで、これが最初で最後になってしまうかもしれないけれど、でも聴けたことが嬉しかった。

  ここで一旦MC。ここで、これまで小松さんのイヤーモニターが聞こえていなかったことが明らかになる。これは本来なら緊急事態で。なぜなら、イヤーモニ ターからの音が、客席がスピーカーから聴いているのと同じ音で、ステージに立って聞こえる生の音はまったく違って聞こえる。五+人であの大きさのステージ で歌うことを考えると、ほとんど正しい音が聞こえない状態で歌っていたことになる。
 しかし、客席も一緒に歌っていたメンバーもびっくりするくら い、違和感がなかった。小松さん曰く、「客席のみなさんのコールや、ライトが頼りで、そのナビゲートがあって歌うことができた」とのこと。そう言ってくれ たのは嬉しいけれど、やはり一番は小松さんの歌手としてのスキルだと思いますよ。「A Little Magic」でもきれいにハモっていたし。

 そして、無事小松さんのイヤモニの交換が完了。最後に、今回の卒業にあたって作られた新曲「君と僕との1ページ」を歌う。この曲は、私は番組で初めて聴いた時から、メロディーも歌詞も卒業のための曲になっていて、聴いては泣いていた。「これ、卒業イベントではどうなるんだろう」と思っていた曲。
 歌い出しを聴いたところで、「あ、もう泣く」と思う間もなく、私は泣いていた。それでも、しっかりと聴き届けて、見届けないとという思いでステージを見つめる。歌う五人も万感の思いという感じで、モニターに映る五人の表情は笑顔だけれど、目は潤んでいるようだった。
 そして、とうとう間奏部分で上坂すみれさんが涙を流して立ち尽くしてしまう。それに気付いた四人が彼女の元に駆け寄る。このシーンはすごく驚いたし、今でも記憶に残っている。まさか上坂さんがステージ上で泣くとは、ということが。私は、五人の中で一番冷静なのは、上坂さんだと思っていた。でも、今思うと、「冷静だった」のではなく、「冷静であろうとしていた」のだろう。最後の最後で、抑えていた思いがあふれ出したのかもしれない。
 もう、そこからは私は涙を我慢するのをやめた。

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●卒業式パート

 ライブが終了し、暗転。
 前方のスクリーンに、これまでのデート(年一回のイベント)のダイジェスト映像が流れる。

 私は、ライブでイベントは締めくくりかと思っていた。あるとすればカーテンコール的なあいさつかなと。でも、この映像があるということは、なんらかの準備をしているはずで、「なにがあるか分からないけれど、なにかがあるはず」という、不思議な期待が沸き起こる。

 そして照明が付き、「卒業証書、授与」のナレーション。ステージ上に、ライブ衣装で座る五人。そして、ステージ上の演台に、「キャップ」こと番組プロデューサーが正装で登場。盛り上がる客席。
  そして、キャップが一人一人の名前を呼び上げ、それぞれに異なるコメントを書いた卒業証書を読み、授与する。このコメントが、五年間彼女たちをプロデュー サーという立場で見てきたキャップだからこその、温かくてユーモアのある言葉で、五人は少し照れていたけれど、見ている私はライブからの感情の昂りもあっ て、涙が止まらない。

 その後、卒業証書を入れた筒をポンポン鳴らすなどの小ネタをはさみつつ、一人ずつの卒業生答辞へ。
 答辞は、最初はみんなリラックスした雰囲気で始めるのだけれど、番組の思い出、他のメンバー、スタッフ、そしてリスナーへの感謝の気持ちを述べていくうちに、感極まっていく。

 上坂すみれさんは、番組を担当し始めた頃の自分へ向けた手紙という形で読み上げる。
 ライブでも途中歌に詰まるくらい涙していた上坂さんは、ここでも声を詰まらせる。私は彼女には、メンバーの中でも、「良い意味でクール」で「怖い物なし」のような印象を持っていた。その側面は間違いなくあるとあ思う。でも一方で、素直で、(人が当然持っている)弱い部分もあって、それは番組では見せないように頑張っていたのかもしれないけれど、番組の最終回や、この卒業イベントでは、そんな部分も含めて見せてくれた。
 「あなたは素直になれないところもあるけれど」と四年前の自分に語りかける上坂さんは、それだけお姉さんに成長したのだと思う。

 小松未可子さんは、番組と同じフレーズをはさみながら、「小松未可子のLady Go!!・延長戦」のように思い出を語る。番組最終回では、彼女らしい楽しくて明るい放送で締めくくった小松さん。でもここでは、笑いを起こすエピソードや番組で人気だったフレーズ(「私は、Eカップになりました」など)を織り込みながら、それでもやはりところどころで涙声になる。思えば、番組の終了を発表した2015年7月のイベント「fifth date」でも、小松さんは涙を見せて、それは私にとっては意外なことで(それくらい、小松さんのことは人前でパフォーマンスをするプロだと思っている)、ことの重大さを実感した記憶がある。
 声優として、ユニットやグループにほとんど参加することのない小松さんにとって、.lady.は声優デビューの当初から参加したほぼ唯一のユニットだし、特別な思いや絆があるのだろう。

 自身の最終回では、最後にこらえきれずに涙を流した大久保瑠美さんだったけれど、ここでは普段通りに近いあいさつを。
 これは、私が多分そうだと思っていることなのだけれど、大久保さんは周りが普段と違うときほど、ご本人は普段通りであろうとするのだろう。そして普段通りであることができるのだろう。それが心の強さであり、良い意味で「演じる」ことができる人なのだろう。
 番組の思い出は、手紙を読んで語っていったけれど、メンバーへの思いは事前に手紙には書かずに、アドリブで語っていく。これもすごいことなのだけれど、そこからしっかりと語られる思いは、本当に彼女の中から出てくる言葉だったし、それだけ他のメンバーへの思いがあることが感じられた。
 最後には、番組でのフリートークのように近況を語っていく。しばらくこうい場所(大久保さんが語り、リスナーがメールを送る場所)がないのは寂しいですが、いつか戻ってきて欲しい。

 高森奈津美さんは、最初に「上手くしゃべれないかもしれないけれど」という前置きとともに話し始める。少なくとも私は、それを聞いても「大丈夫でしょう」と思っていた。最終回もしっかりと務めていたし、高森さんは良い意味でフラットな(感情の幅が少ない)人だと思っていたので。
 しかし、話し始めてしばらくして、涙声になる高森さん。そして、番組を担当していた間の様々な思いを率直に語る。「若い女性が5人集まって、絶対うまく行くわけがないと思っていたけれど、みんな本当に良い子だった」という話は、これまでも雑誌のインタビューで語っていた。でも、それだけではなく、高森さんご自身が他のメンバーと自分を比較して、コンプレックスがあったとか、ラジオに行きたくないと思う日もあったとか、たくさんのことを涙ながらに語っていた。
 でも、そこにはネガティブな雰囲気はなかった。それは、高森さんがその場にいたすべての人(他のメンバーも、スタッフも、お客さんも)を信頼していたからこそ出た言葉だと思ったから。番組の卒業イベントの最後のあいさつなのだから、そうした話は敢えてしなくても良かったはず。でも、高森さんは色々なことを思った経験もありながら、やっぱり「Lady Go!!」を5年間続けて良かったと思っているはず。だからこそ、素直にすべてをお話しされたのだと思う。あのあいさつで、「Lady Go!!」の卒業として、会場にすべてを置いてきたのだろうと。

 三上枝織さんは、番組最終回ではほとんど泣いていたし、今日もライブでは後半涙声になる部分もあった。
 それでも三上さんがプロだと思うのは、涙を流しても泣き崩れることなく、話を続けていくこと。番組最終回でもそうだったし、ここでも、ユーモアを交えながら話していく。五人のあいさつの最後を締めくくるにふさわしかったと思う。
 やっぱり、三上さんはなるべくして「Lady Go!!」のリーダーになったのだと思う。五人の中で一番ラジオのキャリアがあったということで指名されたようだけれど、当時はご本人もリーダーの経験がなく、リーダーというタイプでもないと思っていたとのこと。
 でも、三上さんの真面目でしっかりした人柄や、他のメンバーを思いやることが出来る優しさ、完璧すぎず時々天然なところもあって、愛されるリーダーとして成長してきたのかな。
 そう考えると、やっぱり五人のバランスはすごく良かったのだと思う。五年(上坂さんは四年)番組を続けて、それぞれの絆が深まって、各自が声優として、更に色々な分野でどんどん活躍してきたというのは、やはり稀有なことでしょう。

 本当に最後に、お客さんがサプライズで書いたメッセージを飾った「言葉の花束のパネル」が登場。そして、「月曜担当・上坂すみれ、火曜担当・小松未可子、水曜担当・大久保瑠美、木曜担当・高森奈津美、金曜担当・三上枝織」と名乗って、いつも番組の締めくくりの言葉であった「レディー、ゴー!」という掛け声を会場全体で唱和。アンフィシアターの仕掛けを使って5人が立ち位置からそのままステージ下に退場。

●最後に

 イベント終了後も、ちょっとだけ自分の席でぼんやりして、でもずっと座っているわけには行かなくて、会場から舞浜の駅まで歩いて、そこで自分が実はすごく疲れていたことに気がついて、駅の売店でお菓子とお茶を買って、ベンチに座って休憩してから、帰ってくる。
 帰り道にずっと考えていたのは、番組の最後にふさわしい、素晴らしいイベントだった、ということ。

 ひとつのラジオ番組(ラジオに限らずひとつのコンテンツ)が、ちゃんとした形で完結するのは、意外と珍しい。よくあるパターンとして、あとから振り返って「(結果的に)あれが最後のイベントだった」とか「(CDやDVDの)最後のリリースだった」というようなこともある。
 「Lady Go!!」が終わってしまったのは寂しいけれど、終了のワンクール(三ヶ月)前に発表して、最後まで時間をかけて盛り上がった番組だった。それに、終了に伴うCDなどのリリースがされ、「卒業イベント」として番組を締めくくり、と、本当に良い終わり方が出来たのではないだろうか。幸せな番組だと思う。
 私は最後の一年弱のリスナーだけれど、それでもパーソナリティの魅力と、彼女たちを愛して、番組を盛り上げたリスナーとスタッフの魅力は十分感じたし、番組に伴走できたことは嬉しかった。

 寂しいけれど、こうして番組の最後に立ち会えて、そのイベントが素晴らしい内容だったことで、清々しい気持ちになれた。パーソナリティの五人も、リスナーもスタッフも、番組に関わったすべての人にとっての卒業だったのだと。そして、何年か後、タイミングが合えば戻ってこられるのだと思う。その時を楽しみにしながら、これから起こる色々なことを楽しみに、自分の時間を進めていきたい。


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