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カードゲーム「パニハイ!」小説化プロジェクト

 「20年遊べる」カードゲーム「パニックハイスクール」のリメイク版「パニハイ!」リリースを記念して、小説版を世に出そうというプロジェクトです。

※「序章」をご覧になりたい方は、こちらから該当部分にジャンプします。

●「パニハイ!」とは

 バトルカードゲーム「パニックハイスクール」(1991年・天下布武)のリメイク版。
 私の参加しているゲームサークル「全ファミ協会」の主催者の方がこよなく愛し、名物と言われるほどに遊ばれており、ついには全ファミ協会主催の恋パラ支部長によるリメイク版「パニハイ!」の製作に至る。2014年秋のゲームマーケット及び、全ファミ協会にて頒布予定。
 このゲームについての詳しくは、下記をご覧ください。

●そして「小説化」って?

 「パニハイ!」の製作とは別に、「ボードゲームを漫画や小説にしたら」という話題が出ていたのが2013年の夏。そこで私がいち早く、

パニックハイスクール小説書きたいです。タイトルは「Girls Just Want to Have Win」、邦題は「ハイスクールはバトルフィールド」で。主題歌はシンディ・ローパーで。

と宣言したのがそもそもの始まり。その後すっかり忘れていたが、2014年の夏になって、リメイク版「パニハイ!」の発売も決まり、再び「小説を書く!」と宣言したら思いの他反応があったので、本格的に始動。

●どこでどう公開するの?

 あくまで予定ですが、いくつかのバージョンがあります。

●アイデアは常に募集中

 構成として考えているのは、名勝負のようなバトルの様子を連作短編形式で書くこと。そのバトルのアイデアをみなさんから募集したい。

 応募方法は、今のところまたはmixiの「全ファミ協会」コミュニティへの投稿か、下記のフォームから木の葉燃朗へのメッセージをいただくかでお願いします。


●2014_10_18_カードゲーム「パニハイ!」予約特典の小冊子『「パニハイ!」読本』の表紙画像

カードゲーム「パニハイ!」予約特典の小冊子の表紙デザインです。ちなみに特典がつくのは10月22日(水)申し込み分までですので、ご検討中の方はお早めに。

タイトルは『「パニハイ!」読本』にしました。

  • A5サイズ、表紙含む32ページ
  • 表紙はカラー、本文モノクロ

画像はイメージですが、ほぼこのデザインで確定です。

ゲームのパッケージが、好戦的なキャラクターをあしらっていたので、こちらは比較的平和主義的なキャラクターを選びました。なんとなく、全ファミ協会らしい選択になっているのではないかと思っています。

内容は、

  • 全ファミ協会主催にして今回の「パニックハイスクール」リメイクの中心、恋パラ支部長による、「『パニハイ!』を20年間遊ぶための手引き(仮)」が4ページ
  • 木の葉燃朗による「小説版『パニハイ!』」が24ページ
  • 裏表紙にゲームを遊ぶ際に参照できる『パニハイ!』カードリスト

となっています


●2014_09_28_初稿は書きあがりました。次は編集

 現時点で、小冊子用の初稿が書き上がりました。

 ここから推敲と編集作業になります。ただし、推敲と編集といっても、今回は誤字脱字を修正してレイアウトするというわけではないのです。まず、分量が予定の二倍くらいになっているので、これをどう削るかということを考えないと。おそらく、かなりばっさりカットすることになると思います。もちろんそれは念頭において、初稿はとにかく書きたいだけの長さで書いていたのだけれど。あるいは、序章を含めて四篇書いたうちの一部をピックアップするか。
 「パニハイ!」小説は、今回の冊子で削った分や没になった分があっても、いつか少し時間を置いてミニコミにまとめたい(いわゆるディレクターズカット版みたいなものです)とも思っています。だから、特に削ることも問題ないかなと。
 このあたり、リメイク版「パニハイ!」作者の方と相談しつつ進めようと思います。

 「パニハイ!」についてはリメイク作者の方による下記の記事をご覧ください。元のゲームである「パニックハイスクール」は、私も定期的に遊んでいるのですが、おなじみのメンバーと何度遊んでも本当に飽きないし、初めて遊んだ方も好きか嫌いかは別にして、どんなゲームかがほぼ最初のゲームで把握できる。


●2014.08.30_計画は着々と進んでいるのです

 最近の状況を。あまりお知らせしていなかったのですが、ちゃんと進んでいるのですよ。

■序章
 A4モノクロ4ページの小冊子(というかチラシ)は、ゲームサークル「全ファミ協会」で配布中。9月21日(日)の全ファミ協会大阪オフ会にも持参します。
 序章の内容はこのページの一番下で公開中。

リメイク版「パニハイ!」予約特典小冊子
 小冊子が作られることは確実になっています。カードゲーム「パニハイ!」の予約特典になります。あとは小説の原稿を一生懸命書かなくては。下記は第一稿が書けています。

 おそらく、小冊子用には時間的にもう一編が限界だと思う。最後は、個人的に最近はまっているクイズ対決にしようかと思っている。しかし問題は、そのためにはクイズの問題も作らなければならないということなのです! 小説には、表面には出ていないけれど自分で書くときに念頭に置いている設定があって、その設定のためにクイズの問題にも制限がある。あまり詳しくは明らかにできないのですが。
 でもやっぱりクイズ対決は書いてみたいので、頑張って書きます。


●2014.08.03_今の時点の状況

panihi_paper
  • 序章について_A4モノクロ4ページの小冊子として、ゲームサークル「全ファミ協会」を中心に配布します。文章はこのページの下で公開中。
    それから、「配ってみたいから頂戴」という方は、こちらからメッセージをいただければ、印刷したものをお送りします。

  • 序章+いくつかのバトルを描いた連作短編_リメイク版「パニハイ!」の予約特典の小冊子に収録することが、ほぼ決まり(まだ、ほぼ決まり、という段階ですが)。

●あらすじと序章を公開

小説「パニハイ!」Girls Just Want to Have Win〜ハイスクールはバトルフィールド〜

あらすじ

名門女子高校「聖大安学園」に転校してきた式部紫乃は、
登校初日に委員長の伊集院まりあから驚くべき秘密を知らされる。

「この学校ではね、部活動間の争いで勝った者が真の勝者よ」

校内のあらゆる場所を争う戦いと、知略・謀略。勝ち残るのは誰か、
そしてその争いに身を投じる紫乃の運命は。

伝説的バトルカードゲーム「パニックハイスクール」が、20余年の時を経て
待望のリメイク! そして時を同じくして、まさかのノベル化!


序章

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体等とは関わりはありません。

 学校の中で委員長というと、まあ一般的には学級委員長だ。もちろん、図書委員にも体育委員にも文化祭実行委員にも委員長はいる。でも、ただ「委員長」といえば学級委員長だ。「ミスター赤ヘル」といえば山本、「ミスタータイガース」は藤村他数名、けれども、野球において「ミスター」とだけいえば長嶋を指すのと同じようなものなのだろう。
 ……そういうことを考えていたんじゃなかった。そう、委員長だ。学級委員長には、なんとなく共通した「らしさ」がある。小学校の時の森君もそうだったし、中学校で三年間ずっと務めていた樋口さんもそうだった。その「らしさ」は、生徒会の人たちともまた違う。なんというか、私たちよりもちょっとだけ階段を上に昇っているように見えた。「階段」ってなんの? と聞かれると答えるのは難しいのだけれど、その表現が一番うまく当てはまるような気がするのだ。

「…さ、…。…さん!」
 ちょっと強い調子で名前を呼ばれて、ちょっとあわてる。
「あっ、はい」
 でもこういう時の受け答えがあわてているように見えないのが、私の長所でもあり短所でもある。落ち着いているようでもあり、ぼんやりしているようでもあり。澄ましているように見えて嫌われたこともある。
「大丈夫?」
「あ、大丈夫です。ちょっと考え事をしていて」
 そうだ、委員長だ。この人もいかにも委員長らしい雰囲気を持っている。たぶん、何人かの生徒が並んで、「委員長は誰だ?」みたいなクイズが行われても、高い確率で当てられるだろう。そんな雰囲気の人。それでつい、あちらこちらに空想がふわふわと飛んでしまったのだ。

「そう。それならいいわ。ところで、部活はどうするか決めた?」
「ああ、部活ですか。あんまり考えていなくて。二年生から入るっていうのも気後れしちゃうし。帰宅部でもいいかなって」
 転校生に対するあたりさわりのない話題だろうと思って、そんな風に軽い受け答えをしたときだった。それまで柔和だった委員長の表情が急に険しくなり、特にその目は、同じ人には見えないくらい鋭くなった。そして放たれたひとこと。
「あなた、それは、この学校では生きていないのと同じことよ」

「あいええぇ〜?」
 あまりにびっくりして、のけぞりながら大きな声を上げてしまう。幸い、偶然にもまわりに他の生徒はいなかったが、私の声に彼女は正気に戻ったように、再び柔和な表情をまとった。そう、「表情をまとった」と表現したくなるように、瞬時に表情が戻った。
「そうね、ごめんなさい。あなたは今日この学校にやってきたんだものね。知らないのが当たり前よね」
 自分に言い聞かせるように言う彼女。
「部活に入らないって、そんなに大変なことなんですか?」
 聞かずにはいられない。そもそも私がこの聖大安学園にやってきたのは、親の転勤に伴う引越し先に最も近い学校だったという、それが一番の理由だ。もちろん、「聖って付くからにはミッション系だろうし、女子校だし、偏差値も高すぎず低すぎずあっているし、まあ良さそうじゃないか」と、一家でそれなりに検討しての決定ではあった。しかし学校についてそれほど詳しく調べたわけではなかった。そもそも、他に現実的な選択肢もなかったわけだし。

「この学校ではね、部活動間の争いで勝った者が真の勝者よ」
「ぶ、部活動が争うんですか? 部活同士がってことですか?」
「そう。職員室を除いて、学内のあらゆる施設は、戦いに勝った部が使うことになるわ。もちろん戦いはいつでも行われるから、どんな部も安泰ではないし、どんな部にもチャンスはある」
「でも、それって野蛮じゃないですか?」
 そんなの、体育会系、それも格闘技系が圧倒的に有利じゃないのか。
「あら、そんなことはないわよ。ケンカをするわけじゃ、ないもの」
「どういうことですか?」
「勝負の方法はね、勝負を挑まれた方が決めるのよ。だからこの間も、数学研究会がセンター模試でラグビー部を退けて、体育館を死守したわ」

 な、なんなんだそのシュールな話は。

「でも、それだと攻める側の勝機がないのでは?」
「そこは『共闘』よ」
 つまり、攻め込む相手にあわせて、タイプの違う部が協力することがあるらしい。もちろん守備側もそれを見越して援軍を求める。かくして、音楽室を奪取すべく攻め込んだ「なぎなた同好会+吹奏楽部+水泳部」連合を、「サッカー部・化学部・コーラスサークル」同盟が迎え撃ち、勝負の内容が「百人一首」だったりするという。

 どうしよう、面白すぎる。

「場所によっては、部との相性もあるわ。プールなら水泳部、体育館なら演劇部、校舎裏ならスケ番が、普段の倍の力を出せる。だから、勝負が始まってみないと、なにが起こるか分からないわ」
「お、奥が深いんですね」
 でも、スケ番って、部活じゃないのでは? しかし、そんな私の疑問をよそに、彼女は話を続ける。

「それに、真正面から攻め込むだけじゃないわ。スパイ、わいろ、アジ演説……、味方を増やし、相手を貶める策略は様々。戦いを避けて、学内のどこかにあるという噂の玉璽を探している人たちもいる。あまりやりすぎると、街をパトロールしている婦警さんの目に留まっちゃうけれどね」
 ここ、本当に「聖って付くからにはミッション系だろうし、女子校だし、偏差値も高すぎず低すぎずあっているし、まあ良さそう」な学校だったのだろうか。自分も含めて、家族会議までしておきながらなんとなく転校先を決めた我が家の能天気さを、少し後悔していた。

「そして毎年、もっとも多くの部室を獲得した部活から生徒会が選出され、一年間実質的にこの学校を支配するの。これがこの聖大安学園の掟」
「なるほど。よく分かりました」
「そう、それは良かった。それで、その上でも帰宅部になさる?」
「いや、どこかに入ります」
 ここまで聞けば、さっき彼女が言っていた「部活に入らないのはこの学校では生きていないのと同じこと」の意味が分かる。

「文学系の部活は、あるんですか?」
「あるわよ、たくさん。あなただったら、古典文学研究会なんか喜ぶと思うわ。なにしろお名前がいいもの」
「ああ、いや、でも私古典文学はちょっと」
 たしかに、式部紫乃なんて名前だったら、なんとなく文学少女を連想されるのは仕方ないし、これまでもそう思われたことがある。でも前の高校で入っていたのは、文芸部という名前ではあったが、実際は文芸部に漫研と落研を足して七味とうがらしを大量に振りかけたような、「よく分からないけれど面白いことはなんでもやる」部だったので、とても正統派の文学系ではない。古典文学の思い出なんて、中原先輩が文化祭で披露して喝采を浴びた、「春はあけぼの、YO! YO! YO!」から始まるラップ版『枕草紙』くらいしか記憶にない。
「他にも、SF研究会とか、図書館自警団とか『たほいや』同好会とか、面白い人たちがたくさんいるから、見学してお好きなところに入部したらいいわ」

「ところで、い」
 委員長は良くないね。みんなそう呼んでいなかったし。たしかこの人の名字は、
「い、伊集院さんはどんな部活に入っているんですか?」
 良かった。「い」から始まる名字だったので、不自然な言い方にならずに済んだ。
「わたし?」
 そういうと、伊集院さんはなんとなく不思議な表情をした。嬉しいようにも照れているようにも、あるいは困っていたり苦笑いのようだったり、色々な感じ方ができる表情。
「わたしが参加しているのはね、『白百合の会』っていうのよ」
「ふうん」
 なんだか秘密結社みたいだが、そう素直に言うのはさすがにはばかられた。
「華道とか園芸とか、そういう方面の活動の会ですか?」
 私の質問を聞いて、彼女はまた不思議な表情になった。それでも、さっきよりはなんとなく私の言葉を聞いて、笑いをこらえているように見えた。
「あなた、やっぱり興味深い方ね」
「はあ、おそれいります」
「まあ、部活については、よくよく考えた方がいいわ。これからの生活を左右することですものね」
「はい」
 なんだか、この学校では色々と面白いことに出会えそうだ。

カードゲーム『パニハイ!』の予約は下記から

「全ファミ。」ブログ編 パニックハイスクール
http://zenfami.blog91.fc2.com/blog-category-52.html

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