[ 倉橋ヨエコライブレポート ]

「ヨエコの部屋2005総集編 ヨエコとうめ吉」

2005年12月29日 at 下北沢440

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 倉橋ヨエコさんの「下北沢440」での4daysライブ「ヨエコの部屋2005総集編」のレポートです。29日はいよいよ最終日。うめ吉さんとのツーマン「ヨエコとうめ吉」でした。

 まず、共演のうめ吉さんの話を少し。うめ吉さんは、三味線を弾きながら民謡・都々逸・戦後すぐあたりまでの歌謡曲を歌う「俗曲師」。落語芸術協会所属で、寄席の他自身でもライブを主催している。
 普段なかなか見る機会のないステージを見ることが出来て、嬉しかった。今回の編成は、うめ吉さんが三味線と歌で、サックス(&フルート)、和洋両方の太鼓、アコーディオン。そしてダンサー。全員が和服姿で、独特な世界観が印象的だった。曲も、「おてもやん」・「ソーラン節」・「買い物ブギ」・「三味線ブギ」・「東京音頭」、それに都々逸などを、和洋折衷のビッグバンドといったアレンジで披露。
 MCで下北沢の雰囲気にそぐわなのではという話もご本人からあったが、見ている側としては楽しかったなあ。

 続いて、ヨエコさんの話。セットリストは次のとおり。本日も、初日の26日と同じく「MeganeWrench(メガネレンチ)」こと古城康行(ベース)・一ノ瀬久(ドラム)とのトリオ編成でした。

[ 倉橋ヨエコ : ボーカル・キーボード ]
[ 古城康行 : ベース ]
[ 一ノ瀬久 : ドラム ]

1.喫茶 スキャット
2.東京
3.ロボット
= MC =
4.シーソー
5.金魚想う
6.線を書く
= MC =
7.裏返し
8.沈める街
9.赤い靴
= MC =
10.卵とじ
11.春の歌
= MC =
12.人間辞めても
13.楯
14.(アンコール)はないちもんめ
15.(ダブルアンコール)盗られ系

 レポートの前に、ご了承いただきたく書いておきます。この日はライブを見ることに集中したく、曲目やMCの内容など、最低限の内容のみメモを取りました。そのため、記憶に頼っている部分もいくつかあります。勘違いなどありましたら、owner-moero-garakuta@freeml.comまでメールにてお知らせください。

 ヨエコさんのスキャットと一ノ瀬氏のドラムが印象的な「1.喫茶 スキャット」で幕を開ける。続いて「2.東京」、「3.ロボット」。実は「ロボット」を聴いている途中で、「あ、曲目をメモするの忘れている」ということに気が付いた。なんというか、それくらい聴き入ってしまう。それで、今日は必要最低限の内容だけメモをして、後はひたすらライブを見て、聴きたいと思ったのである。
 「ロボット」のメリハリの効いた曲の展開は、何度聴いてもすごいなあ。最初のヨエコさんの歌のみの部分から、歌とピアノ・ドラム・ベースのセッション、そして終盤の前衛音楽のごとく激しい間奏。演奏する方も真剣勝負だし、聴くほうも真剣勝負。いい意味での緊張感が感じられる。

 その後のMCでは、共演のうめ吉さんへのお礼、そして今日もニューアルバム『ただいま』からの新曲他、色々な曲を歌って、お客さんにも楽しんで欲しいし、自分も楽しみたいとの話がありました。

 つづいて「4.シーソー」・「5.金魚想う」・「6.線を書く」。「シーソー」は、ヨエコさんの声の表現力が強く感じられる。寂しい感じの歌詞なのに、歌声がやさしげに感じる部分や、伸びやかな歌声から一気に力強い歌声に展開する部分など、印象的。
 「金魚想う」は久々に聴いた。この曲は古城氏とヨエコさんが入れ替わりにコーラスとボーカルを担当しながら歌う。古城さんのボーカルもいい声だよなあ。
 「線を書く」は、何度聴いても泣ける。もちろんCDバージョンも名曲なのだが、わずか2メートルくらい前で実際にヨエコさんが歌っているのを聴くと、やっぱり臨場感が違う。

 次のMCでは、グッズの紹介。CD、ライブチケット、タワーレコードとコラボレーションしたTシャツ(「夏をふたつくらい先取りして」という言葉がよかった)など。メガネレンチのCDとレコ発ライブの案内もありました。メガネレンチレコ発ライブ(2005年1月29日@新宿 紅布(red cloth))には、ヨエコさんも鍵盤とコーラスで参加するとのこと。

 続いて「7.裏返し」・「8.沈める街」・「9.赤い靴」の三曲。「沈める街」は、俺自身はライブで聴いたのは初めて。歌詞は恨み辛みを歌った内容なのだが、力強い感じで、ノリノリの雰囲気。これは不思議な感じだった。「赤い靴」は「フィーチャリング(featuring)古城君バージョン」ということで、古城氏とヨエコさんが交互にボーカルを担当する特別バージョン。そういえば「赤い靴」は、2005年7月のライブ「ヨエコとアナタ」でも、ANATAKIKOU北條氏をフィーチャーして披露されたなあ。ツインボーカルがうまく合っている曲だと思う。改めて聴くと、「赤い靴」は曲は明るいけれど、歌詞は切ない。

 次のMCは、この4daysライブについてのお礼。各日のゲストのみなさん、会場の440(入り時間も歌う時間も同じだったので、会社に出勤するような感じで楽しかったそうです)へ、それぞれありがとうの言葉。ヨエコさんの楽しいライブだったという言葉が、見ていた側としても嬉しかった。

 続いての「10.卵とじ」「11.春の歌」では、会場全体が盛り上がる。
 そして、お客さんへの「年末の忙しい中来てくださってありがとうございます。来年もいい年になりますように」の感謝の言葉の後、「12.人間辞めても」。
 実はこのあたりのことは、俺は細かくは覚えていません。ただ、とにかくヨエコさんが歌うのを見て、聴けることが幸せだと強く感じていた。それだけははっきりと覚えています。

 最後に、次の曲がラストとのコメント、そして改めて会場の440へのお礼の後、ピアノ弾き語りで「13.楯」。この曲には、この一年間のヨエコさんの色々な思いを感じた。
 前作『東京ピアノ』の発売後、各地でライブを行いながら、夏前からアルバム『ただいま』の製作に入って、傑作といえるアルバムが出来て、「楯」がシングルになって、そしてそれらの曲をライブで歌っている。その一年の集大成のような歌だった。
 見ている俺個人にとっても、今年になってからそれまでCDだけで聴いていたヨエコさんのライブに行くようになって、生の歌を聴くたびに感激して、という一年。その今年一年を思い出した。
 いつもライブで聴くと涙が出そうになる「楯」ですが、今日はより強い思いを感じて、聴きながら泣きました。

 大きな拍手に見送られて、ステージを後にするヨエコさん。しばらくしてから拍手が手拍子に変わる。そしてアンコールに応えて、再びトリオで「14.はないちもんめ」を披露。力強い演奏で、客席も盛り上がる。
 もしかしたら、このアンコールはヨエコさんたちも多少は想像していたかもしれない。これまでの三日間もアンコールに応えてくれたので。でも、「はないちもんめ」を終えてステージを降りたヨエコさんに、再び手拍子が起こったのは予想外だったかもしれない。俺は前の方でステージを見ていて、少し見えたのが、まずスタッフの人が袖から客席をうかがう様子。その後少しして、ヨエコさんが一人で登場し、一旦袖に戻って三人で登場(歌う前に「一人では心細かったのでメガネ兄さんたちもさそって来ました」との言葉がありました)。

 このダブルアンコールは、客席の素直な思いだったと思う。俺も「はないちもんめ」を歌い終えたヨエコさんを見て、「もう少しだけでもこの時間が続けばいいのに」って思ったので、自然に再度手拍子をしていた。
 本当に最後の曲、「15.盗られ系」。この4daysライブの最初を飾った(26日の一曲目)「盗られ系」が再び披露されて終了。

 なんというか、とにかくすごいいいライブだった。うまい言葉が見つからなくて、そんな表現しかできないけれど。
 2005年に見たあらゆるライブの中で一番だったと思う。ライブが終わってからも、気持ちが高ぶってしまって、なかなか席を立てなかったですよ。

 そして、2006年もずっとヨエコさんの歌を聴き続けたいと思ったのでありました。


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