[ 倉橋ヨエコ : ボーカル・キーボード ]
[ 根上誠二 : ギター ]
[ 矢島秀治 : マニピュレーター ]
1.人間辞めても
2.ロボット
= MC =
3.シーソー
4.雨降り
= MC =
5.白い旗
6.東京
7.あなたのあたし
= MC =
8.屋上にて
9.森へ行く
10.楯
= MC =
11.卵とじ
12.(アンコール)春の歌
本日は、ヨエコさんのプロデューサー根上誠二氏と、アルバム『ただいま』のアートディレクター矢島秀治氏とのスペシャルユニット、その名も「ヤジガミヨエコ」によるライブ。根上氏がギター、矢島氏がマニピュレーター(リズムマシーンの操作など)、VJ(=ステージ後ろのスクリーンへの映像表示)を担当。
ヨエコさんの衣装も、普段の和装から一転、黒の帽子(ピンキーハット、だと思います)にオリジナル(タワーレコードとのコラボ)Tシャツ、ジーンズといういでたち。この姿もまた素敵だった。
実はこの日は、チケットの整理番号が早いのをこれ幸いと、最前列の右側でライブを見ました(入場が整理番号順だったのです)。で、TOMOVSKYさんのライブが終わって、一旦ステージに幕が下りて、ヨエコさんのステージのセッティングをしていた最中、ステージの右に影が映ったんですね。もちろんステージそのものは見えないのですが、その影が帽子をかぶっていて、「おお!」と思ったのであった。
そんなこんなで、もうライブが始まる前から気持ちがわくわくしてしまいました。
「1.人間辞めても」は、スクリーンにPV(プロモーションビデオ)を映しながらの演奏。「人間辞めても」は、PVを見たことがなかったので、そのインパクトに目を奪われる。後ろのスクリーンも見たいし、演奏しているヨエコさんたちも見たいし、目のやり場に困ってしまう。言葉の使い方間違っているけれど、そんな感じだった。
そして「2.ロボット」。今日はリズムが打ち込みなので、いつものライブバージョンよりもCDバージョンに近い印象を受けた。バックでは人々が工場で働く映像や、なんとなく懐かしい感じの工場やビルの映像、更には『モンティ・パイソン』(※1)のコントの一場面などがさまざまに入れ替わりながら映る。
※1『モンティ・パイソン』(Monty Python)。1970-80年代に活躍したイギリスのコメディグループ。映画監督のテリー・ギリアム(Terry
Gilliam)もメンバーの一人でした。
その後の最初のMCでは、今回の4daysライブについて、バンド編成について(矢島氏を紹介する際、「マ、マニピュレーター、で合ってますか」とちょっとたどたどしかったのが微笑ましかった)、本日も12月16日発売のニューアルバム『ただいま』からの新曲を披露する、などのお話がありました。
つづいて「3.シーソー」。CD版の印象から、ギターとピアノのしっとりしたアレンジかと思いきや、結構強いリズムにあわせた歌い出しに意表を付かれた。
後半はエフェクトのかかったノイジーなギターや、ノイバウテン(※2)のような激しいリズム、そしてヨエコさんの叩きつけるようなピアノという、なんだか前衛音楽のようなすごい雰囲気の演奏になる場面も。その中で高音の歌声を響かせるヨエコさん、かっこよかった。表現力の幅広さを感じたなあ。
※2 ノイバウテン=アインシュツルテンデ・ノイバウテン(Einsturzende Neubauten)。ドイツのバンド。「ノイズ」、「インダストリアル」と呼ばれる音楽にジャンル分けされる。激しい金属音が特徴的。好き嫌いは思い切り分かれると思います。
「4.雨降り」では、根上氏のアコースティック・ギターとピアノという、CD版に近いアレンジ。そこに雨の音の効果音が入り、更にスクリーンには映画『雨に唄えば』の名場面にエフェクトをかけた映像が表示される。よく見るとジーン・ケリーが雨の中歌うシーンだと分かるのだが、あえて画像をぼやけさせたり、色を変えたりして、幻想的な雰囲気になっていた。そういう技術のすごさにも驚いてしまうが、その前で歌うヨエコさんの歌声がやっぱり圧倒的。
次のMCでは、共演のTOMOVSKYさんの話。実はTOMOVSKYさんの最初の歌の歌詞の一部(5文字のフレーズ)を考えて欲しいと言われていたヨエコさん。本番直前にTOMOVSKYさんに「歌詞考えてくれた?」と訊かれて、すっかり忘れていたらしい。
会場の一番後ろでステージを見ていたTOMOVSKYさんとヨエコさんの掛け合い、そしてヨエコさんの「後で私の持ってきたお菓子を進呈しますので」の言葉に、会場から笑いが起きる。
その次の「5.白い旗」、「6.東京」、「7.あなたのあたし」はいずれもソロでピアノ弾き語り。じっくりと聞かせる「白い旗」、イントロのピアノに「すごい!」と思って、最後まですごかった「東京」、かわいらしい「あなたのあたし」、いずれもピアノと歌でこれだけ心を揺さぶってくれるのはすごいと、改めて思った。
次のMCで、翌28日はすべて生ピアノの弾き語りであることを改めて告知。また本日の衣装(オリジナルのTシャツ)について紹介。
再び「ヤジガミヨエコ」の3人にて「8.屋上にて」と「9.森へ行く」。「屋上にて」ではヨエコさんの歌声のスウィングするようなノリが心地いい。後の映像も屋上の風景だったり、洗濯機の中を思わせるCGだったりして、曲にマッチしていた(涙を拭いたタオルを洗濯機で洗う、という歌詞が出てくるのです)。「森へ行く」は、ライブで聴くのは初めてなのだが、マーチのようなリズムにあわせたはねるような歌声が、元気になれる。
いつもはソロで弾き語りの「10.楯」も、この日は打ち込みのリズムにあわせ、また後ではPVを流しながらの演奏。このバージョンも、またいいなあ。
最後のMCで、「ヤジガミヨエコ」は楽しかったので、またどこかでライブをやりたいというヨエコさん自身の感想と、アンケートなどで感想をお願いしますという話。それから2006年1月7日のタワーレコードのインストアライブ、さらに2月10日の渋谷O-Westでのワンマンライブの告知があり、ラストの曲へ。
「11.卵とじ」。ライブ初披露で、CDの時から曲も歌詞も明るい楽しい歌だと思っていたが、ライブで聴くとまた楽しい。後には『モンティ・パイソン』の映像も流れ、非常ににぎやかな雰囲気のまま、ライブが終わる。
その興奮覚めやらぬまま、アンコールへ。ここで根上・矢島の両氏が、銀色のジェイソンマスクのようなお面を付けて登場。ヨエコさんは「こういう場合はどうすればいいんだろう」と言いつつ、「放置? 放置」と、特に二人になにを言うこともなく、二人はマスクのまま演奏に入る。俺は、YMOがかつてライブや宣伝写真でマスクをつけていたのを、なんとなく思い出した。
「12.春の歌」は、途中から客席の手拍子もあり、終盤には矢島氏がステージ上で紙吹雪を撒き、紙吹雪舞う中で歌うヨエコさんという、大盛り上がりの内容でした。
いやあ、今日は色々と新鮮なライブだった。事前に公式サイトの日記で「ハイテクにぎやかバンド結成。初の試み!面白いサウンドになると思います♪」(※3)とあったとおりの「ハイテク」で「にぎやか」で「面白い」内容だった。ハイテクなだけに、ちょっとだけ音と画像が合わないで「もとい」となった部分もありましたが、そこでもヨエコさんは落ち着いていました。
※3:公式サイト > ぶつぶつぶつ > 2005/12/13 おはよーう! より引用
http://www.kurahashiyoeko.com/butsu.asp
ちなみに、ラストで舞った紙吹雪、客席に落ちてきたものを一片頂いて来ました。
こうして見ると普通の紙片ですが、当日の思い出と空気が詰まっているんです(なんちゃってね)。
【 参考 】
[ 倉橋ヨエコ公式ページ http://www.kurahashiyoeko.com/
]
[ 倉橋ヨエコ CD ( リンク先はAmazon.co.jp ) ]
「礼」(2000年発表,ミニアルバム)
「思ふ壷」(2001年発表,ミニアルバム)
「婦人用」(2002年発表,アルバム)
「人間辞めても」(2002年発表,マキシシングル)
「モダンガール」(2003年発表,アルバム)
「東京ピアノ」(2004年発表,アルバム)
「楯」(2005年,VICB-35002,シングル)
・『ただいま』(2005年,VICB-60010,アルバム)
2006.04.20 木の葉燃朗