[ 倉橋ヨエコライブレポート ]

「ヨエコの部屋2005総集編 ヨエコと野狐禅」

2005年12月26日 at 下北沢440

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 2005年12月、下北沢440で行われた倉橋ヨエコさんの4daysライブ「ヨエコの部屋2005総集編」。すべて見て来ました。それぞれの日について、簡単ですがレポートを。  まずは野狐禅とのツーマンライブ「ヨエコと野狐禅」です。

ヨエコと野狐禅

 最初に、共演の野狐禅について。野狐禅は、竹原ピストル(ボーカル、アコースティックギター)・濱埜宏哉(鍵盤、コーラス)の二人組。自分達の思いを強くぶつけるようなメッセージ性の強いフォークソングが印象に残った。情熱が剥き出しの(でもシャイそうな)竹原氏、落ち着いて見えるが、情熱を内に秘めていそうな濱埜氏が、それぞれ個性的。二人の熱さに感動した。「鈍色の青春」という曲は、泣けたなあ。

 続きましてヨエコさんについて。セットリストは右のとおり。「MeganeWrench(メガネレンチ)」こと古城康行(ベース)・一ノ瀬久(ドラム)とのトリオ編成でした。

 ライブはインストの「1.狂鍵」の、ピアノ・ベース・ドラムの息がぴったり合ったセッションで幕を開け、「こんばんは! 倉橋ヨエコです!」のあいさつの後、「2.盗られ系」。比較的テンポの早いアレンジに合わせて、伸びやかに歌う。この辺で、俺は既にステージに引き込まれていました。
 「3.つぶつぶ」では、交互に披露されるヨエコさん歌声と古城氏のコーラスが印象的。ヨエコさんの表情も楽しそうで、ヨエコさん自身のライブへの期待、そして自信を感じさせた。

 最初のMCでは、今回の4daysライブについて、そして本日共演の野狐禅を改めて紹介。その後バンドメンバーを紹介し、12月16日に発売されたアルバム『ただいま』を発表したことと、ニューアルバムからの曲も披露していくとの話があった。

[ 倉橋ヨエコ : ボーカル・キーボード ]
[ 古城康行 : ベース ]
[ 一ノ瀬久 : ドラム ]

1.狂鍵
2.盗られ系
3.つぶつぶ
= MC =
4.線を書く
5.春の歌
= MC =
6.部屋と幻
7.裏返し
8.昼の月
= MC =
9.残り者
10.ここにいる
11.はないちもんめ
= MC =
12.楯
13.(アンコール)流星


 「4.線を書く」は、ライブで聴いてもやっぱり切ない。でも、ヨエコさんの歌声はやさしい。表情も、曲の中で真顔になったり笑顔になったり、すごく豊か。「5.春の歌」は、CDと同じようなアレンジ。ドラム・ベースの力強さが、ヨエコさんのピアノ・歌の力強さとうまくあって、聴いていると本当に元気が出てくる。ラストのアレンジはCD版とは少し異なるアレンジで、より雄大な、世界が広がっていくような感じがする。

 次のMCでは、グッズ販売(タワーレコードとのコラボレーションによる新作Tシャツ他)、ライブで配布しているフリーペーパー「ヨエコくらぶ」のリニューアル、2006年のライブ告知を行う。今回の「ヨエコくらぶ」は、ヨエコさんと近しい方々によるアルバム『ただいま』へのコメントが載っており、興味深い。
 また、バンド「MeganeWrench(メガネレンチ)」のCD発売と、レコ発ライブの告知。レコ発ライブ(2005年1月29日@新宿 紅布(red cloth))では、「MeganeWrench」のライブにヨエコさんも参加するとのこと。

 その次は、ちょっと懐かしい「6.部屋と幻」。2000年発表のミニアルバム『礼』に収録されている曲。今のヨエコさんが歌うと、また違った魅力と迫力がある。
 最初の弾き語りから、ベース・ドラムとのセッション、そしてラストは再びピアノ弾き語りと、曲の中での構成や表現にもメリハリがあって、圧倒された。
 続いてアルバム『ただいま』収録の「7.裏返し」と「8.昼の月」。それぞれ、「裏返す」と「ずるい波」というフレーズの繰り返しが印象に残る。この二曲を聴きながら、ヨエコさんと歌の関係をふと考えた。
 一番最初にヨエコさんの歌をCDで聴いたのは2003年のこと。そしてライブには2005年から本格的に行くようになった。そうして聴く中で思っていたのは、「歌が憑依している」ということ。歌の世界観や迫力が、ヨエコさんに乗り移っているようだった。
 でも、今日のライブを見ていて、「憑依『して』いる」のではなく「憑依『させて』いる」のではないかと考えが変わった。ヨエコさんという芯がしっかりとあって、歌の世界を取り込んで、表現する。そういう、表現者としての強さを感じた。歌の中での喜怒哀楽も、声や表情で豊かに表われて、聴く側はどんどんと聴き入ってしまう。

 次のMCでは、「寒い中来ていただいて」という感謝の言葉と、グッズコーナーにあるパーカーの案内。それから、受付で「ヨエコの部屋」らしくお客さんを出迎えたヨエコ家の面々(普段ヨエコさんの家のピアノの上にいるぬいぐるみたち)の紹介。更にアンケートのお願い。そしてライブは終盤に。

ヨエコ家の面々

 「9.残り者」は、MCでの穏やかな雰囲気から一転、テンポはゆっくりしていながらも、愛する人との分かれと自己嫌悪を激しく歌い上げる。MCと歌の、いい意味でのギャップが印象的。そのまま「10.ここにいる」へ。ここでは3人揃っての「いないもいっしょ」の繰り返し、後半の間奏でのピアノ・ドラム・ベースのセッションが力強い。そして「11.はないちもんめ」へ。ライブバージョンは、出だしからファンキーな雰囲気で、聴いていると気分がどんどん盛り上がる。「ここにいる」・「はないちもんめ」は二曲続くと、より盛り上がりが強く感じるなあ。

 ラスト一曲前。共演の野狐禅に改めて「ありがとうございました」のお礼の後、みなさんの声でシングルになった曲を、ということで「12.楯」を弾き語りで披露。
 伸びる高音に惹きこまれ、すべてを忘れて歌に集中して聴いてしまった。

 アンコールの声に答えて、最初に次回ライブ(1月のインストアライブ、2月のツアー)告知をした後「13.流星」。ここでもスキャットを3人のハモリで聴かせてくれて、トリオの呼吸が合っていることを強く感じた。  こうして、あっという間に終わってしまったという印象だった。全体的な感想は、「とにかくすごくいいライブだった」ということに尽きます。ヨエコさんの歌もピアノも表情も、バンドとの息がピッタリだったところも、すべてが素敵だった。

 あと、今日のヨエコさんはなんだかいつも以上に色っぽかったなあ。後の方で見ていたので、衣装は詳しくは分からなかったのですが、黒のキャミソールの上に赤い羽織という、和装スタイルでした。
 それから、会場の440は初めて行きましたが、音響設備がいいと感じた。音が小さすぎず、うるさすぎず、ライブらしい臨場感を味わうことが出来た。  翌日からの三日間に期待しつつ、会場を後にしたのでありました。

【 参考 】
[ 倉橋ヨエコ公式ページ http://www.kurahashiyoeko.com/

[ 倉橋ヨエコ CD ( リンク先はAmazon.co.jp ) ]

2006.1.30 木の葉燃朗


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