「夜想リターンズ展」レポート
2004.7.2 西日暮里HIGURE 17-15 CAS(2004.7.7掲載)

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 7月2日(金)、「夜想リターンズ展」に行ってきた。『夜想』というのは、ペヨトル工房が刊行して
いた雑誌。なお、ペヨトル工房は2000年に解散してしまいましたが、『夜想』は2003年に復刊さ
れました。
 俺は、ペヨトル工房の本は新刊では買ったことはなかった。しかし、『銀星倶楽部』
『WAVE』『ur』などの雑誌は、時々古本屋で見つけて買っている。ペヨトル工房の本は、内容
ももちろん興味深いのだが、デザインやレイアウトも心惹かれるものがある。だから、個人的に
は展示内容のうちペヨトル工房の本と雑誌をすべて展示する「ペヨトル工房・全ブック展」を楽し
みにして行った。

 開催されていたのは、「HIGURE 17-15 CAS(ヒグレ・イチナナ・イチゴー・キャス)」というギャ
ラリー。場所は荒川区西日暮里。ということで、JR山手線の西日暮里駅を降りて、会場へ向か
う。地図を見ると、ギャラリーはどうやら住宅街の中にあるらしい。途中、狭い一車線なのに車
が頻繁に通る道路を、車とすれ違いながらぶらぶらと歩く。しかし、暑いなあ。
 途中の自動販売機で買ったジュースを飲みながら歩いていると、目指すギャラリーに到着す
る。屋上にラクダのオブジェがあり、非常に目立つ。
 今回は入場無料。平日の昼(13時頃)ということもあって、お客さんは俺だけであった。じっく
りと見ることにする。
▼HIGURE 17-15 CAS
 

 中の様子は、下のような感じだった(各階見取り図▼)。
 

 1Fの@とAがペヨトル工房の本の展示です。@は通常版の雑誌・単行本で、『夜想』『銀星
倶楽部』『WAVE』『ur』などのすべてのバックナンバーはもちろん、単行本もすべてある。
女子プロレスの北斗晶の本や、戯曲の本があったのはちょっと意外で面白かった。実際に手
に取ることも出来たので、何冊かを眺めたが、やっぱり欲しくなるなあ。本棚にあるだけでもか
っこいいと思う。
 それからAは、ガラスケースの中に限定本が展示されている。オブジェの付いた『夜想』の第
二号や、三上晴子『ART SCULPTURE CIRCUIT TYPE』などが並んでいた。三上氏の
「本」は、基盤などのオブジェや、写真を入れたパネルなどをまとめたもの。1991年当時、限定
50部・定価190000円で発売されたようだ。俺は後にペヨトル工房の雑誌で広告を見て、「すご
い」と思っていたのだが、その現物を見ることが出来たのは感動であった。今回の展示で一番
印象に残ったかもしれない。
 それから、1Fにおいてあった大きな機械は、もともとギャラリーにあるものか、展示品か、よく
分からないのだが、ものすごい存在感があった。

  

 各階の青色の部分が、写真展「記憶と記録」の展示。ちなみに図の中の「○」は椅子です。
1Fが藤部明子・森川健人の両氏、2Fが花代氏、B1Fが黒川未来夫氏の作品。
 花代氏の作品では、街角にいる外国の少女を撮影した写真がなかなかかわいらしかった。
それから、2Fに上がってすぐのところにあるうんこのオブジェは、いきなり目に飛び込んでくる
ので印象に残った(写真じゃないけれども)。黒川氏の写真は、B1Fの雰囲気もあって結構不
気味だか、なんだかエロチックな感じもした。被写体がなんなのか、はっきり分からないので、
余計に印象に残った。地下は、照明も暗く、壁・床・天井も暗くて、おまけに天井は低い(多分
2mくらい)。まさに「アンダーグラウンド」という雰囲気。

 以上を見て、ギャラリーを後にする。

 その後、近くにある古本屋「古書ほうろう」に行く。ここにくるのは二回目だ。店内は結構広く
て、品揃えは文学・思想の本や、美術・映画・音楽・演劇の本(雑誌も含む)、それから文庫や
新書、漫画など。新刊のミニコミや、CDなども入口付近に並んでいる。奥には100円均一(3冊
200円)、300円均一(2冊500 円)の棚もある。
 一時間近く店内を歩き、7冊購入。

・雑誌『ur No.5 特集:ノンジャンル・ミュージック』(1991年,ペヨトル工房)
 これは「夜想リターンズ展」の影響であることは間違いない。細野晴臣氏やクライズラー&カ
ンパニー(葉加瀬太郎・竹下欣伸・斉藤恒芳)へのインタビューが収録されている。他には、永
瀬唯氏が当時の大森望氏を批判したコラムが面白かった。
・雑誌『東京人 2001年5月号 特集:古本道』(都市出版)
 ちょっと俺の欲しかった内容よりもレベルが高い感じがする。それでも、永江朗氏の「2001年
古本業界勢力図」や、花ア真也氏の「メイキングオブ古本屋さん」などは面白そう。
・村松友視『村松友視からはじまる借金の輪』(1996年,角川文庫)
 村松友視(視は正しくは「示+見」)氏からスタートして、知り合いに借金をお願いする文章とそ
の返答の文章を載せた本。
 武田花、南伸坊、吉本ばなな、みうらじゅん、西城秀樹、野口五郎などの諸氏が登場する。
 こういう変わった本、好きだなあ。
・川本三郎『東京おもひで草』(2002年,ちくま文庫)
 「懐かしい東京」の姿を、小説・映画や、著者の体験に沿って書いたエッセイを集めた本。川
本氏の東京の本は、面白い。
・泉麻人『コラムダス』(1997年,新潮文庫)
 色々な話題のコラムを、テーマの五十音順にまとめた本。
・泉麻人『泉麻人の大宴会』(1993年,新潮文庫)
 「まえがき」によれば、「宴会大国ニッポンの若者と宴について考察を重ねていく」(p.11)らし
い。「ディスコパーティー」・「お座敷宴会」・「カラオケ」・「ホームパーティー」・「怪奇譚」・「披露
宴」の六つに分けて書かれている。
・イッセー尾形『いつでもやりたい』(1993年,廣済堂)
 長編小説。あとがきによると「青春小説」らしい。

 以上を持って、古書ほうろうを出る。帰りは、JRの日暮里駅まで行くことにする。不忍通りか
ら谷中ぎんざに入り、商店街を抜けて日暮里駅まで歩く。
 ということで、今回は終了。最後におまけとして、夕焼けだんだんという階段の上から撮影し
た谷中ぎんざの様子と、「夜想リターンズ展」のチラシをご覧ください。

▼夕焼けだんだんより谷中ぎんざを臨む


▼「夜想リターンズ展」チラシ




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