きっかけは、ある日の新聞記事だった。
女子W杯へ「力をください」、協会が集客作戦
"ホーム"の力でワールドカップ(W杯)へ――。12日午後3時から、国立競技場で行われるサッ
カーの女子W杯予選プレーオフ第2戦で、メキシコと対戦する日本女子代表を後押ししようと、 日本サッカー協会が、集客作戦を繰り広げている。
5日にメキシコ市のアステカ競技場で行われた第1戦には、10万人の観衆が集まった。日本
は、この重圧と高地のハンデにもかかわらず健闘し、2―2の引き分け。第2戦は、勝ったチー ムが9月に米国で開かれるW杯の最後の出場権を獲得する大一番となった。
日本協会では、入場料を全席自由の1000円(小中高生500円)に設定。協会登録選手、指
導者などは、認定証などを持参すれば無料とし、約5000の登録チームにダイレクトメールを発 送した。テレビ局にも選手たちのインタビュー映像を配布し、盛り上げに一役買ってもらうととも に、試合のスポンサーにも協力を仰ぎ、スタンドを青色に染めようと懸命だ。
日本協会の平田竹男専務理事は「メキシコで頑張ってきたので、必勝態勢を敷くということ。
ファンも結集して応援していただければ」と、期待している。 (2003年7月10日 読売新聞朝刊)
俺はこれを読んで、「国立競技場に行こう!」と思ったのである。我ながら非常に単純だが、そ
れだけに純粋であった。
なにしろ、勝ったらワールドカップ出場である。これは、1997年にマレーシアのジョホールバル
で行われた、男子サッカーのフランスワールドカップアジア第3代表決定戦、対イラン戦と同じく らいの大一番なわけだ。それを国立競技場で観戦できて、全席自由の1,000円というのは、そう めったにある機会じゃない。
ということで、前日からひとり盛り上がり、ホームページでも「行くんだ!」と宣言していたのであ
る。
そして、7月12日当日。まずは自宅近くのチケットぴあで当日券を購入。スタジアムに着いてか
らでも購入できるのだが、どのくらい混むかわからないので、安全策として事前に買っておくこと にした。
その後電車を乗り継いでJR千駄ヶ谷の駅へ。試合開始は午後3時の予定だが、2時前には着
いていた。駅前には既にサッカー観戦だと思われる人々でいっぱいだった。
見で、スタンドの本当に上の方から見ていた。そのときと比べると全然風景が違う。これだけでも 今日来た甲斐があるよ。
まだ試合開始までは相当時間があるので、客席も少しずつ埋まりつつある感じだ。しかし、
色々な人がいる。熱心なサポーターもいるし、家族連れ・少年少女のサッカーチームも観戦に 来ている。俺のようになんとなく興味を持って観戦に来た人もいるのではなかろうか。でも、これ だけばらばらな人たちが、同じ目的で国立競技場にやってくるというのは、考えるとちょっとすご いと思う。ちなみに最終的には、全部で13,000人くらい入ったとの発表があった。見た感じで は、バックスタンド・メインスタンドの座席がだいたい埋まるくらい。
申し訳ないけれど、選手は実はほとんど知らない。澤穂希選手がアメリカのチーム(アトランタ・ ビート)で活躍しているのは知っているが。あとはGKの控えの小野寺志保選手(日テレ・ベレー ザ)は名前を聞いたことがあるなあ。上田栄治監督は、かつてJリーグのベルマーレ平塚(現:湘 南ベルマーレ)や、マカオ代表の監督などを勤めた人だ。
そうこうするうちに、両チームの練習が始まる。両チームとも、あまりぴりぴりした雰囲気はなか
ったなあ。もちろん、スタンドから観戦している人間には詳しいことはわからないけれど。
なかった光景を目にして、結構感動してしまった。日本代表の試合を実際に見るのは、男子チ ームも含めて初めてだったけれど、これは気分が高揚するなあ。選手入場の時は、理由もなく 涙が出てきた。自分でも全然理由がわからんのですが。
いよいよ試合開始。ここからは、俺はサッカーの観戦を始めてたかだか10年程度の人間なの
で、ピントのずれたことを書くかもしれませんが、俺なりの感想ということでご容赦ください。
日本のメンバーは次のとおり。
かといってメキシコに押され続けるわけでもなく、どちらにもチャンスはあるが、ゴールを決めら れない。メキシコがコーナーからあわやゴールかというシュートもあったが、これは山本絵美選 手(田崎ペルーレFC)がゴールラインギリギリのところでクリアした。日本も小林弥生選手(日テ レ・ベレーザ)のフリーキックがバーに当たるなど、惜しい場面も多かったが、前半はノーゴール に終わった。
後半に入っても、一進一退の展開。でも、日本が両サイドから徐々にゴール近くに突破できる
ようになってくる。左サイドMFの山本絵美選手や、右サイドMFの川上直子選手(田崎ペルーレ FC)が相手DFを振り切ってセンタリングを上げられる機会が増えてくる。ワントップのFW大谷未 央選手(田崎ペルーレFC)もいったんサイドでボールを受けて、その間に中央に澤選手や小林 選手がゴール前に飛び出してチャンスをつくっていた。
そして後半11分に、山本選手のセンタリングに澤選手がヘディングで合わせて日本が先制。
いやあ、すごかった。センタリングはぴったりだったし、ヘディングも力強かった。
その後、日本は遅延行為で何人かの選手がイエローカードをもらったり、メキシコの選手と激
しくぶつかったりと我慢が必要な時間帯もあったが、後半途中で小林選手に代わり丸山桂里奈 選手(日本体育大学)が投入される。ワントップからツートップへの変更で、1点を守りきるのでは なくもう1点取るという監督の意思が感じれられた。
そして後半38分に、キャプテンの大部由美選手(YKKフラッパーズ)のフリーキックから交代で
入った丸山選手がシュートを決めて2-0。これでほぼ試合は決まり。見事日本女子代表はワー ルドカップ出場を決めたのでありました。
拍手や手拍子をずっとしていたため、試合後は手がむくんだようになってしまった。しかし、い
い試合を見ることが出来て嬉しかったなあ。個人的に印象に残ったのは、左サイドの山本選手 ですね。前半のあわやゴールというシュートをクリアした場面や、攻撃での左サイドからのセンタ リングなど、試合のポイントになるプレーを見せていた。
間をみつけてまた行くようにしたいなあ。それと、女子サッカーの面白さも知ることができて、非 常に貴重な経験だった。 レポート目次へ戻る |