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木の葉燃朗のがらくた小噺

その十八 −− 特撮ヒーロードラマかよ(2006.1.29)
その十七 −− 睡眠ぐ(2005.10.10)
その十六 ――俺の恥ずかしの思い出(2004.11.22)
その十五 ――コント「レストラン」(2004.8.17)
その十四 ――上司と部下(2004.6.2)
その十三 ――ランチは15時までです(2004.5.19)
その十二 ――六畳一間の空想野郎(2004.2.10)
その十一 ――冬になったらはやるもの(2003.12.11)
その十――がらくたミステリー劇場 その2(2003.9.26)
その九 ――勘違いにもほどがある(2003.9.13)
その八 ――生兵法は怪我のもと(2003.7.20)
その七 ――がらくたミステリー劇場〜異説イヌガミケノイチゾク〜(2003.7.2)
その六 ――じゃあ、クイズを出すね(2003.1.13)
その五 ――ほんだなだな(2002.10.17)
その四 ――燃朗小噺
その三 ――なんですか?
その二――自動ドア〜私小説風に〜
その一 ――まんじゅう、こわい


その十八 −− 特撮ヒーロードラマかよ(2006.1.29)

 木の葉燃朗、一応へっぽこサラリーマンを生業としています。
 仕事でも、結構な数のメールをやり取りしています。それで、先日送ったメールで、ひとつ失敗をしてしまいました。「期限までに書類を提出してね」というメールだったんですけれどね。こんな感じの内容でした(もちろん実際のメールとは全く内容が異なります)。

各位
 先日連絡をしました書類の提出の件、締切一週間前となりました。未提出の方は、締切厳守でお願いします。
 以上、ご期待ください。

 「以上、ご期待ください」
 特撮ヒーロードラマの次回予告かよ。「以上、ご確認ください」と書くところを、なぜか間違えてしまいました。我ながらへっぽこサラリーマンだ。

 ……えー、すみません作り話です。いくらなんでもこの間違いはないわ。
 仕事用の手帳に、なぜか「内視鏡」と書いていて、後から自分で見ても謎だったことはあるけれどね。別に診察を受ける予定があったわけでもなく、似たような単語を書こうと思って間違えたんだろうなあ。

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その十七 −− 睡眠ぐ(2005.10.10)

 電車の中で、中年の女性二人がこんな話をしていました。

「最近あんまり眠れなくてねえ」
「あらあ、よくないわよ」
「そうよねえ」
「この間テレビで見たけれどねえ、睡眠時間が多いほど、老化を防ぐんですってよ」
「あら、そうなの」
「そうそう。えーと、たしか、エントロピーが増大するのよ

 エントロピーが増大……。
 いやいやいやいや、エントロピーは増大しねえよ。

 多分、老化を防ぐということなので、成長ホルモンの分泌とか、そういう話だったんだろう。
 しかし、「エントロピーの増大」って単語が出てくるとは思わなかった。

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その十六――俺の恥ずかしの思い出(2004.11.22)

 今回は、実話です。しかも俺燃朗の話。
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【その1】
 「指サック」・「紙めくり」と呼ばれる商品があります。紙をめくる時に指にはめるゴムのことです。 事務仕事をする方は普通に使うと思いますが、俺は社会人になって初めて使いました。最初、コピーした資料をまとめる時に渡されて、使い方が分からなくて。とりあえず指にはめるみたいなのではめて。
 そのはめた指で紙をしっかり押さえて、もう一方のなにもつけていない指で資料をめくっていました。
 周囲の人たち大爆笑。「おまじないじゃないんだから」と言われて。
 その後、指を逆にしてめくったらたしかに便利で。「こりゃ便利ですね」と言ってまた周囲は大爆笑。
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【その2】
 風邪や花粉症の時につけるマスク。最近、ワイヤーが横に入っているタイプのものが多いです。これは、鼻の形にあわせてつけて、フィットさせるようになっています。
 俺、上下さかさまにつけていた。つまり、あごの形にあわせてフィットさせていました。
 先日、マスクに「鼻の形にフィット」と書いてあるのを見て、そのとおりにつけてみました。たしかにフィットします。あごにあわせてつけていたのはなんだったのかと思うくらい。
 「こりゃ便利だわ」。

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その十五――コント「レストラン」(2004.8.17)

 客、看板を見上げるようにして、

客:「イタリアンレストラン、フジヤマ」か。今日の昼はここにするか。

 客、ドアを開けて中に入る。

ウェイター:いらっしゃいませ。どうぞこちらへ。

 ウェイター、客を椅子に案内。

ウェイター:メニューはこちらでございます。

 客、メニューを見ながら、

客:ランチメニューはあるの?
ウェイター:はい。本日は「シェフのまぐれパスタ」でございます。
客:まぐれ?
ウェイター:さようでございます。
客:「気まぐれ」じゃなくて?
ウェイター:「まぐれ」、でございます。
客:……
ウェイター:……
客:参考までに伺いたいんだが。
ウェイター:どうぞ。
客:「シェフのまぐれパスタ」というのは、どういう?
ウェイター:はい。まぐれで非常にご満足いただける味のものがご用意できます。
客:……
ウェイター:……
客:じゃあ、それ。
ウェイター:かしこまりました。「シェフのまぐれパスタ」、おひとつですね。

 ウェイター、一度奥に入り、皿を持って再び登場。

ウェイター:お待たせいたしました。

 客、しばらく皿を眺め、フォークを持って一口食べる。

ウェイター:いかがでございましょう。
客:食べてごらん。
ウェイター:……わたくしですか?
客:ああ、いいから食べてごらん。
ウェイター:しかし。
客:構わないから。
ウェイター:……では、失礼いたします。

 ウェイター、一口食べる。

ウェイター:ああ、これは。

 客、「な?」という目でウェイターを見る。

ウェイター:これは、まぐれの方ですね。
客:え?
ウェイター:はい。
客:これは、まぐれでうまく出来た方なの?
ウェイター:さようでございます。
客:本当に。ウェイター:ええ。

 客、身を乗り出してウェイターに「本当に?」と目で再度問いかけ。ウェイター、うなづく。

客:……
ウェイター:……
客:「シェフのまぐれパスタ」をもうひとつ。
ウェイター:もうひとつ、でございますか。
客:ああ。まぐれでないものが食べてみたい。

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その十四――上司と部下(2004.6.2)

上司「えー、君ね」
部下「はいっ! なんでしょうか?」
上司「これね、私の携帯電話なんだけれどね」
部下「はい」
上司「さっき番号非通知から電話がかかってきたんだけれどね。これ、折り返し電話できる?」
部下「……」
上司「……」
部下「……いえ、できません」
上司「ああ、そうなの」
部下「ええ。それが番号非通知というものですから」

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その十三――ランチは15時までです(2004.5.19)

店員「ありがとうございましたー」

 満足げな表情で出てくる、一組のカップル。

女「ああ、おいしかった」
男「なかなかいい店だったね。また来ようか?」

 女、店のチラシを見ながら

女「あ、ここ、お昼はランチビュッフェやってるんだって。行ってみたーい」
男「へえ、いいねえ」
女「ねえ! いいよね」
男「ところで、ランチビュッフェって、なあに?」
女「……バイキングなら、わかる?」
男「ああ、バイキングね。そっちの意味のランチビュッフェね」

 女、他にどんな意味があるんだよと思いつつ、

女「ね、ねえねえ、いつ来ようか? いつがいい?」
男「……」
女「……」
男「……?」
女「……?」
男「お昼」
女「……うーん……」

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その十二――六畳一間の空想野郎(2004.2.10)

 俺は最近、どうでもいいようなことをふと考えたりするのです。たとえばどんなことかというと… …。 

その1
 この間ワープロで「あつぎきち」と打ったら、「厚木基地」ではなく「厚着基地」と変換された。そうしたらもう頭の中で「厚着基地」がどんなのかを想像し出して止まらなくなった……。
 コートとかジャンバーとか着こんだたくさんの人たちが、狭い部屋で鍋焼きうどんとか激辛カレーとかを、はふはふ言いながら汗だくになって食べている様子が浮かんできて、想像しているだ けで暑苦しくなった。
 しかし、なんの基地なんだ、ここ。見ようによってはただの「暑さがまん大会」だな。

その2
 この間電車に乗っていたら、「次は、浜松町、浜松町です」というアナウンスが聞こえた(東京のJR山手線です)。その時、「浜松町」が「はままっちょー」に聞こえて、そうすると当然「はまマッ チョ」が思い浮かぶわけで、そうしたらもう「はまマッチョ」がどんな駅かを想像し出して止まらなくなった。
 もちろん、駅員さんは全員ボディービルダー。電車が駅に入ってくる時には、全員でポーズをとってお出迎え(この時は上半身はシャツを脱ぎます)。駆け込み乗車やキセルをすると、屈強 な駅員さんに取り囲まれますので、絶対にやめましょう。
 半年に一回くらいは、なかやまきんに君や寺門ジモンが一日駅長に招かれ、自慢の肉体を披露します。
 ……しかし、いやだなあ、こんな駅。

【解説】 題名には意味はないです。我ながらどうしようもないことばっかり考えていますな。

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その十一――冬になったらはやるもの(2003.12.11)

「寒くなってくると、風邪が心配だねえ」
「風邪も心配だけれど、インフルエンザや、去年流行した肺炎も心配だ。冬になると、また流行するんじゃないかって言われているから、気をつけないとねえ」
「特に木曜日は感染の可能性が高いって言われているから、要注意だな」
「へえ、そんな統計があるの」
「いや、統計はないけれど、なにしろ『サーズデイ』っていうから」
「……」
「……」
「この間うちの息子が幼稚園に通い始めまして」
「そうですかあ」

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その十――がらくたミステリー劇場 その2(2003.9.26)

「…ん。だい……か? も……さん」
「ううん。はっ!」
 自分の上げた声の大きさで、俺は目を覚ました。まわりをぐるりと見渡す。目に見える世界は、もやがかかったようになっていた。
「ここは……? ああ、みなさん」
 その言葉に、その場にいたすべての人間が、俺の方を見た。
「気がついたのね、燃朗さん」
 ひとりの女性が俺に話し掛ける。そうだ、俺の名前は燃朗。徐々に思い出してきた。ひとつの記憶が、別の記憶を引き上げ、次々と記憶の糸が手繰られていく。
「そうか、乗っていた船が沈んで…。気絶していたわけか」
 半ば独り言の俺の言葉に、先ほどの女性が答える。
「よかった。随分長いこと気を失っていたんですよ」
 そう、俺は名探偵木の葉燃朗。今回は久々の休暇に、豪華客船クイーン・エラリイU世号に乗って、優雅な船旅を楽しむはずだった。しかし、船は沈没し、何名かがこの無人島に漂着した のであった。
「でも、どうして気を失っていたんだ? …そうか」
 更に記憶がはっきりしてくる。その時、俺の頭のそばにあったヤシの実が目に入った。これですべてがはっきりした。
「俺は何者かに頭を殴られた。このヤシの実で」
 その時、みながハッと息を飲んだ。俺は、ここぞとばかりスマートに立ち上がった。ズボンについた土を払うのもそこそこに話しはじめる。
「みなさん、犯人がわかりましたよ。私を殴って気絶させた犯人がね。まあ、どんな罪に問われるかはわかりませんが」
 関係者を前にした解決編。これでこそ名探偵だ。俺は得意げに話し出した。

《さて、名探偵木の葉燃朗の頭をヤシの実で殴った犯人とは、果たして誰か? 落胆と苦笑が入り混じる解決編はこのあとすぐ》

「犯人は、あなたです」
 俺はひとりの女性を指差した。先ほどから俺に話し掛けていた女性だ。
「そんな! なぜ、そんなことを」
 女性は芝居がかった動きで驚きを表現する。
「なぜなら、この無人島には私とあなたしかいないからですよ、みなさん」
 そう。この島にいる人間はたったふたり。俺、木の葉燃朗と、目の前にいる女性――たしか名前は「虹ヶ崎みな」だったか――このふたりだけ。
「単純な話です。これはもはや推理とすらいえない。しかし、あなたが私を殴った動機は聴くに値するのではないでしょうか……」
 ゴン! 突然、硬いものが俺の後頭部に叩きつけられた。しまった、油断をして彼女に背を向けて話したことが失敗だった。ヤシの実を持って立ち尽くす彼女の姿を見ながら、俺は徐々に意識を失 っていった……。

(この小噺のはじめに戻る)

【解説】 なお、この小噺の副題は、「無人島ふたりぼっちです」。しかし、いいんだろうか、こんな小噺書いていて。

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その九――勘違いにもほどがある(2003.9.13)

 これは、木の葉燃朗が学生だった頃のエピソードです。
 いつものように文芸部の部室で、俺を含む何人かがだらだらとおしゃべりをしていた時でした。理工学部のS先輩が部室にやってきて、
「誰か、硝煙反応について詳しい人いない? 今度推理小説書こうと思ってさあ、ちょっと知りたいんだよねえ」
 と言ってきた。みんなが「うーん」と考え込む。俺も詳しくなかったので、
「でも、Sさん以上に煙硝反応に詳しい人、うちにはいないでしょう」
 と答えると、S先輩は、
「そうかなあ、そんなことないと思うけれどなあ」
 と返す。
「だって硝煙反応って、ナトリウムを燃やすと黄色くなるとかカルシウムはオレンジとかっていうあれですよね」
 そう言った俺に対し、その場にいたみんながいっせいに、
「それは炎色反応だ!」
 とつっこんだのでした。

【解説】
 硝煙反応というのは、「発砲・爆発のあと、周囲にのこる亜鉛酸による化学反応。犯罪捜査などに用いる」(広辞苑第五版)。拳銃を撃った人間の手にも硝煙反応が残るといいます。
 炎色反応も化学反応ですが、これは「アルカリ金属やアルカリ土類金属などの塩類を無色の炎の中に入れて強熱すると、各金属に特有の色を呈する反応。例えば、ナトリウムは黄、カリウ ムは赤紫。定性分析の手段の一。ブンゼン反応」(http://dictionary.goo.ne.jp/search.php? MT=%89%8A%90%46%94%BD%89%9E&kind=jn)。
 まあ、要するに、硝煙反応と炎色反応は全然違いますな。

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その八――生兵法は怪我のもと(2003.7.20)

 先日とあるパソコン屋さんでソフトコーナーをうろうろしていた時、お客さんと店員さんの会話が聞こえてきた。お客さんはスーツを着たサラリーマン風のおじさん。店員さんは30歳前後ぐら いだろうか。
「私のパソコンね……」
 と言っておじさんは自分のパソコンの型や、使われている性能についてひとしきり説明。その間店員は口を挟まずに聴いている。
「で、このソフト、私のパソコンにインソールできるかねえ」
「ええ、お客様のパソコンでお使いいただけます」
「そう。インソールできる。じゃあ買おう」

 えー、インソールというのは靴の中敷きですね。パソコンでソフトを使えるようにするのは「インストール」ですから。

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その七――がらくたミステリー劇場〜異説イヌガミケノイチゾク〜(2003.7.2)

 ……ポン・ポン・ポンポンポン。
 小さな船が、小さな島を目指して進む。乗っているのは、船頭の他は一人の男だけ。薄汚れた着物に、ランプシェードのような帽子を被り、帽子からはみ出した長髪を風に なびかせて船首に立っていた。
「あれが、その島ですだ」
 何時の間にか、船頭が男の横に立っていた。海の上に浮かぶ島の一つを指差す。その島は、徐々に大きくなって来る。そして、桟橋というには余りに小さい、島から突き出 た部分に、速度を落としながら船は近づいた。
「どうぞ、お気をつけて」
「有難う」
 船頭の言葉に男が答える間もなく、船は逃げるように島を離れていった。

「さて」
 桟橋から島の中に向かって歩き始めた男の目に、一人の老婆の姿が止まった。老婆はこちらに向かってゆっくりと歩いてくる。年の頃は七十歳から八十歳といったところか。しかし、足取りはしっかりしている。
「全田一様で」
 これも見た目よりしっかりした感じの声で、老婆は男に言った。
「ええ。では、あなたが斑野さん?」
 全田一と呼ばれた男の返事に、老婆は首を立てに振ると、
「お待ちしておりました」
 と言って、踵を返してゆっくりと歩き始めた。男は、先日送られてきた手紙を思い出しながら、老婆の行く先に従う事にした。東京で探偵業を営む男の元に、瀬戸内海のとある島に住む「斑野」という珍しい名字の人物から手紙が届いたのは、一週間程前の事だった。

「私の住む島で人が殺されるかもしれません。ついては先生に是非調査を依頼申し上げたく、お手紙差し上げた次第で御座います」

 そのような奇妙な文章で始まる手紙に興味を持った全田一は、汽車と船を乗り継ぎ、この島までやって来たのであった。一見すると平穏そうなこの島に、一体何が有るというのか……。

「ワン! ワンワン!」
 5分程歩き続け、この島で最も大きな邸宅に辿り着いた頃、全田一は、敷地の中から一匹の小さな犬が大きな鳴き声を挙げながら現れるのを目にした。とその時、これまで無愛想であった老婆が、急に相好を崩し、犬を迎えるように屈み込んだ。
「おお、ミケや」
 男は老婆の言葉に、違和感を覚えずにはいられなかった。男は思わず尋ねていた。
「珍しいですな。ミケというのは猫に付ける名前だとばかり思っていたが。それに、その犬は黒と白の斑模様だ。三毛という訳ではないでしょう」
 すると老婆は、犬を抱いたまま顔だけを男に向けて言った。
「我が斑野家では、代々飼い犬にミケという名を付けていますでの」
 その老婆の言葉には、えもいわれぬ不気味さがあった。男は、
「なるほど、斑野一族では代々、犬がミケと名付けられている訳ですか」
 と答えるのが精一杯であった。

 ……犬がミケの一族。

(完)

【解説】
 えー、我ながら馬鹿馬鹿しい話ですね。大学生の頃、このアイデアで本当に短編小説を書こうと思っていたのだから、若いというのは恐ろしいことです。ちなみに、横溝正史『犬神家の一族』(角川文庫)はこんな話じゃないですからね。舞台も瀬戸内海の島ではないし。『犬神家の 一族』は、映画やドラマにもなっていて、ビデオやDVDも出ていますので興味がある方はこちらもどうぞ(この小噺で興味を持つ人がどれだけいるかはわからんが)。

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その六 ―― じゃあ、クイズを出すね(2003.1.13)

「じゃあ、クイズを出すね」
「よしきた!」
「吉本興業の女性漫才師ハイヒール。メンバーの一人はハイヒール・モモコ。では、もうひとりの芸名は?」
「ううんと……」
「……」
「……」
「…降参か?」
「いや、ここまで出かかっている……」
「……」
「……」
「…5、4、3、」
「待て。わかった!」
「答えは?」
「バナナだ!」
「……」
「……」
「…ああ。吉本だけに、ね」
「…??」

【解説】 本当の正解は、「ハイヒール・リンゴ」ですね。ところで、この小噺のなにが面白いのかわからなかった人は、メールででもお問い合わせください。

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その五 ―― ほんだなだな(2002.10.17)

 先日、自分の本棚の写真を掲載しまして、ささやかながら感想をいただきました。その中のひとつ。
「いやあ、すごいねえ、あの本棚」
「そう」
「とくに、ティッシュの箱で作った本棚がすごかった」
「ああ、あれね」
「おまえ、あんなにティッシュ使ったんだね。あんまり頑張りすぎるなよ」

 えー・・・。注目したのはそっちかよ! しかも「頑張りすぎるなよ」ってなんだよ。
 以上、木の葉もーえろでした。

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その四 ―― 燃朗小噺

 この小噺は、わたくし燃朗の頭の中で考えたことの他にも、燃朗が見聞きした面白いエピソードも含まれているわけです。しかし、あまり他人様のことを笑うのも申し訳ないわけで、たまに は自分にまつわる小噺でもお話しましょう。てなわけで、自分にまつわる小噺三題でございます。

1.よ、読めねえ・・・
「しかし、このあたりにはおしゃれな店が多いねえ」
「そうでしょう。たまにはこういう街をぶらぶら歩くのもいいよね」
「うん。…へえ、『ボーティキュー ウタマロ』か。なかなか渋い店だね。ボーティキューって、なんだろうね?」
「……。ひょっとして、『ブティック』のこと?」
「……。あ、そうか」 

"boutique"で「ブティック」なのね。フランス語って、難しい。

2.はがせよ!
「燃朗君、トイレに消臭剤を置いておいてくれたまえ」
「はい! かしこまりました、先輩」

―― 1週間後 ――

「燃朗君、この間置いてもらった消臭剤だがね」
「ええ、先輩」「君ね、一旦このフタをはずして、中についているフィルムをはがさないと、これ全然意味ないのよね。なにしろ、1週間経っても、中身が一向に減っていなくて、おかしいと思ったのよね」
「ああ、すみません」

 …ええ、実話ですとも。当分笑いのネタにされましたとも。

3.きれいにしましょう
 あれは5歳の頃、ある夏の日。大きなわたあめを買ってもらった俺は、上機嫌でわたあめを握りしめて庭で遊んでいた。
 しかしあまりにはしゃぎすぎたため、転んだ拍子にわたあめを離し、地面に落としてしまった。だが幸い地面についたのは一部分。今なら、そこだけちぎって捨て、残りを食べたはずだ。
 しかし当時の俺は、「汚れたものは洗ってきれいにする」というしつけをしっかり守っていた。そこで庭の水道で、わたあめを水洗いする俺。みるみる溶けて排水口に吸い込まれて行くわた あめ。そして、わたあめがきれいに洗い流されたわりばしを握って、呆然と立ち尽くす俺。

 いやあ、当時は素直な子どもだったんだなあ。

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その三 ―― なんですか?

 ・・・喫茶店、夢を語る若い男女。
「もし俺の書いた小説がすごく売れて、映画になったら・・・」
 男はどうやら小説家志望らしい。
「そのときは絶対おまえを主演女優に推薦する」
「嬉しい。じゃあそれまでに私もしっかり勉強しなくちゃ」
 女は女優の卵のようだ。

「試写会には、二人でヘリコプターで乗り付けるんだ。俺はタキシードで決めて、おまえはドレスにビロードの織物を羽織る」
 と男。
「素敵ね」
 と女。
 ・・・ヘリで試写会って、ハリウッドでもそんなのねえぞ。
「いつか絶対実現しようぜ。ところで・・・」
「なに?」
「ビロードって、なに?」
 ・・・。おい男、おまえには小説家は無理だ。今すぐ考え直せ。

【解説】 ビロードとは、表面の毛が立っている比較的厚めで柔らかい織物です。まあ、感覚的に分かっていて使う言葉って、あるよね。

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その二 ―― 自動ドア 〜私小説風に〜

 ある休日の昼下がり。俺は駅で電車を待っていた。
 隣のホームに、電車がやってくる。ドアが閉まりかけた頃、一人のおばちゃんがホームに駆け込んできた。
 しかし、すんでのところで間に合わず、無常にも閉まるドア。ホームに残されたおばちゃん。そのとき。
 おばちゃんが、二回ほど、ドアの前でぴょん、と跳ねた。
 それを見て、俺は五秒くらい考えた。そして、思った。「おいおいおばちゃん。店の自動ドアじゃねえんだから。前に立っても開かねえよ」

 ・・・休日は、平和に時間が流れる。

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その一 ―― まんじゅう、こわい

 温泉街にて。若いカップルが、店をひやかしている。
「わあ、温泉饅頭だって。本当に温泉の湯気で温めてるんだね」
 女の言葉に、男が答える。
「おいしそうだね。買ってみようか。すみませーん、ふたつください」
「はいよ、あったかいところをふたつね」
 紙の箱に入れてもらい、ふたつ受け取る。早速箱から出し、歩きながらまんじゅうをほおばる2人。
「あつつ、でも、おいしいね」
 満足そうな女に対し、怪訝そうな顔の男。やがて、意を決したように言う。
「……ねえ、俺のまんじゅう、ちょっと見てよ」
 まんじゅうをひっくり返すと、下のほうが、湯気でぬれてふやけてしまっていた。受け取ったときには、箱に入っていたのでわからなかったのだ。
「あーあ、残念、はずれをひいちゃったね」
 しばらくまんじゅうを見つめていた男が、女に言う。
「ねえ」
「なーに?」
「ふやけてるまんじゅうのほうが、いい?」
 …いいわけねえじゃん。女は心の中で、そう思ったに違いない。

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