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2004.8.13(金) 真夏の夜の古本屋 〜 根津・千駄木古本屋めぐり(2004.8. 24 掲載)

●はじめに
 8月13日(金)、俺は不忍通りを秋葉原から北へ北へと歩いていた。上着こそ着て いないが、スーツ姿に革靴である。この日、東京の最高気温は33.5度。既に夕方 の7時頃とはいえ、まだまだ暑い。そんな中、湯島を抜けて根津まで歩くつもりであ った。
 一体、俺はなぜ、歩き続けるのか。
 目的は、古本屋である。根津に店舗が開店したオヨヨ書林を訪ねるでいた。その 後、千駄木の古書ほうろうにも立ち寄る予定を立てていた。ちなみに、燃朗自作の 地図はこちら

 湯島から根津までは、地下鉄の千代田線で一駅。電車に乗ってもよさそうなもの だが、それほどの距離でもなさそうだし、歩くことにしたのだ。方向としては、会社 帰りにたまに歩く秋葉原→御徒町→上野というルートとほぼ平行である。
 しかし、御徒町・上野に比べて、湯島は随分と趣が違う。にぎやかな中央通りに 比べて、不忍通りは渋い印象だ。でも、こういう通りも俺は好きです。そんなことを 考えながら、途中の自動販売機で買ったペットボトルのお茶を片手に歩く。そのう ち、不忍池が見えてきて、これを右手に見ながら不忍通りを更に北上。左手は、少 し行くと東京大学だ。まあ、あんまり感慨はないです。特に接点のない場所だから ねえ。

●根津 オヨヨ書林
 更に10分近く歩くと、ようやく根津駅にたどり着く。駅の2番出口のすぐそばに、オ ヨヨ書林が見える、はずであったが。
「たぶん、ここなんだろうなあ」
 という、やや不安な思いで、俺は一軒の古本屋さんを見るのであった。事前に準 備した地図からすれば、ここがオヨヨ書林で間違いない。しかし、看板もないし、店 内に入っていいものかどうか、ちょっとためらってしまった。

 ということで、まずは店頭にあるワゴンを見ることにする。しかし、この均一台が 非常に面白い。古い本も多く混じっていて、ジャンルも色々で、見ていて飽きない。 薬の袋と思われる小さな紙袋もあった。そして、本につけられた値札から、ここが オヨヨ書林で間違いないことを確認する。
 この均一台から一冊見つける。

・『広告用語事典』(1985年,電通)
 タイトルどおりの本。A5版、ソフトカバーで300ページくらいの本なので、かなりコン パクトである。辞典なので読破するのは厳しいが、たまにぱらぱらとめくるだけでも 面白そうだ。
 「戦後広告とぴっく史」という、1945年〜1984年までの広告小史も載っていて、こ れまた興味深い。

 この一冊を持って店内へ。店内も、面白い本が多い。個人的には、芸能関係の 本、東京に関する本、本についての本などに特に目が行ったのだが、はじめて見 るような本や、名前は聞いたことがあった本の現物を見ることが出来た。見ている だけでも面白いなあ。
 特定のジャンルの本は、さすがに値付けがしっかりしているが、ノンジャンルで 色々な本が並ぶ棚もあり、掘り出し物を見つける楽しみもある。店内でも二冊見つ けて購入。

・山口瞳『居酒屋兆治』(1986年,新潮文庫)
 この小説は映画にもなったのでご存知の方も多いのではないだろうか。
 東京郊外のモツ焼き屋に集まる人々を描いた長編です。

・赤間剛、ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ、太田東孝、天童竺丸『秘密結社が わかる』(1995年,日本文芸社)
 タイトルからして怪しい。タイトルどおりの本。たまにこういう本を読みたくなるんで すよ。

 以上を購入して、オヨヨ書林を出る。千駄木の古書ほうろうにも、この不忍通りを 北上すればたどりつけるのだが、体力と時間と相談し、地下鉄に乗ることに決め る。とりあえず、根津駅のそばの牛丼屋で豚丼を食べる。

●千駄木 古書ほうろう
 根津から地下鉄で一駅、千駄木の駅から地上に上がると、あたりはすっかり暗 い。比較的店の少ない出口から降りたので、特にさびしい感じがする。その中で再 度不忍通りを北上すると、まもなく明かりが見えてくる。ここが古書ほうろうである。

 古書ほうろうの中では、「第一回モクローくん大感謝祭」として、編集者・ライター の南陀楼綾繁氏のコレクション公開や、氏の所蔵の古本の販売をしているコーナ ーがあった。そのあたりも見つつ、常連さんらしき中年夫婦が大声で本の話をして いるのを聞きつつ、一通り棚を眺める。
 古書ほうろうは文学からはじまり、映画・音楽・美術、思想関係の本に漫画や文 庫と、一通りの本がそろっている。店の中も結構広く、奥には均一棚(1冊100円で3 冊200円、1冊300円で2冊500円)もあり、見ごたえがある。
 本日は一冊購入。

・雑誌『レコード・コレクターズ 2000年5月号』(ミュージック・マガジン)
 特集は「細野晴臣」。普段『レコード・コレクターズ』に目が行くことはまずないのだ が、なんとなく棚を見ていたら偶然目に入った。80ページ以上を費やした本格的な 特集だったため、即購入を決意。

 この一冊を持って、古書ほうろうを出る。帰りは日暮里駅まで歩く。夜も10時近か ったので、さすがに谷中ぎんざはほとんどの店が閉まっていたが、居酒屋などは数 件開いていた。その間を通りながら、日暮里駅に到着。
 これで本日の古本屋めぐりは終了。

●さいごに
 夜、会社帰りの古本屋めぐりとしては、お茶の水→神保町コースが多かったのだ が、今回の根津→千駄木コースも面白いなあ。また歩きに行こう。



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