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2003.9.14(日) 「おに吉」不完全制覇! 荻窪・西荻窪・吉祥寺、夏の終わ りの古本屋めぐり(2003.10.12掲載)

■はじめに
 この日は荻窪・西荻窪・吉祥寺の古本屋をめぐってきました。これまでも何度か 行っているおなじみの街ですが、みっついっぺんに訪ねるのは初めてですなあ。今 回は、購入した本の報告を中心に書いて行きましょう。街の様子や、店の様子は、 過去の古本日記でも触れていますので。また、それぞれの場所に立ち寄った時間 も記入し、レポート風にお送りします。いかに無計画に歩き回っているかがよくわか りますよ。
 なお、地図は荻窪・西荻の分はかつて作成したものがありますが、吉祥寺分は 今回はなし。時間を見つけてつくるので、ご勘弁を。
 ちなみに、「おに吉」というのは、「おぎくぼ」「にしおぎくぼ」「吉祥寺」の頭の文字 を取ったものです。同じ名前の無料の古本屋ガイドも、それぞれの街の古本屋で 配布されています。
 それでは、行ってみましょう。

■a.m.11:00・・・JR荻窪駅〜岩森書店
 JR荻窪駅の南口を出る。いい天気で、結構蒸し暑い。まずは駅前の岩森書店 へ。店頭の均一台と、書評・文学評論の棚を中心に見て歩くが、今日は購入はな し。

■a.m.11:30・・・ささま書店
 そこから開店直後のささま書店へ向かう。しかし、表の均一台には既に4〜5人の 人が群がっている。すごいな。そんなつわもの達の間を縫って、俺も棚を見ていく。 5冊購入。

・紀田順一郎『読書の整理学』(1986年,朝日文庫)
 資料(本)をどう買って、情報をいかにまとめて書くかについての本。掲載されて いる情報が古いのは仕方ないが、なかなか実践的の内容のようだ。
・都筑道夫『ホテル・ディック 探偵は眠らない』(1991年,新潮文庫)
 浅草のホテルを舞台に描かれるサスペンス。浅草の街の様子も現実に即して書 かれているそうで、面白そう。
・太田垣晴子『焼酎ぐるぐる』(2003年,ワニブックス)
 九州地方を旅して焼酎の蔵を歩いたマンガエッセイ。俺は酒は弱いのだが、ファ ンである太田垣晴子の本だし、食べ歩きのエッセイとしても楽しめそうだし、なによ りこれだけ新しい本が均一台にあることの驚きもあり、購入。
・サブカルチャー世界遺産選定委員会:編『サブカルチャー世界遺産』(2001 年,扶桑社)
 サブカルチャーの作品紹介と、コラム・インタビューからなる本。音楽・マンガ・ゲ ーム・アニメ・映画・アダルトビデオなどの作品で、20世紀中の傑作と呼ばれるもの を紹介している。インタビューには中森明夫をはじめ、みうらじゅん・町山智浩・宮 台真司などが登場する。コラムの書き手も、宝泉薫(歌謡曲)、武熊健太郎(オウ ム真理教)、永江朗(書籍)など、そうそうたる面々。好き嫌いはあるだろうが(俺が 嫌いな人も何人かこの本に登場している)、いかにもサブカルチャーらしい雰囲気 が漂う。
・広告批評別冊『大貫卓也全仕事』(1992年,マドラ出版)
 広告デザイナー大貫卓也氏の作品を集めたもの。驚くほど安かったのと、作品 の写真が数多く掲載されているので、興味を持って購入。

 店内は、文庫と小説とマンガの棚を見る。ここでは購入はなし。店頭の5冊を清 算してささま書店を出る。他の書店も見たいのはやまやまだが、時間の関係で泣く 泣くあきらめる。総武線に乗って吉祥寺へ。

■a.m.12:20・・・吉祥寺駅〜古本センター
 まずは南口の駅前にある古本センターへ。均一棚、文庫棚を中心に、ひととおり 店内を見ていく。今日は購入はなし。
 しかし、吉祥寺はお祭りで、お神輿も出ていて大変な賑わい。人出もすごい。そ んな中、すうさい堂を目指して歩く。

■p.m.1:00・・・すうさい堂
 ご主人に声をかける前に、まずは店頭の均一台を覗く。2冊見つける。
・石ノ森章太郎『スカルマン』(1997年,講談社)
 「仮面ライダー」の原点である1970年の読みきり作品(『週刊少年マガジン 1970 年3号』講談社 掲載)。この本は、たしかコンビニエンスストアを中心に流通した廉 価版のはずだ。今の廉価版マンガのはしりのような本ではなかっただろうか。
・雨上がり決死隊『雨上がり決死隊の天使と悪魔』(2001年,ぴあ)
 お笑い芸人「雨上がり決死隊」の本。コラムや悩み相談、更には写真や原作を担 当した漫画も掲載されている。なんとなく興味を持って、購入。

 これを持って店内に。ご主人にあいさつし、店内の本を見ながら色々な話。また、 ご好意により俺のつくったフリーペーパー置いてもらう。その後、webサイトの作成 を手伝っている工藤伸一さんも加わり、3人で色々と話す。本や映画の話を中心に 面白い話がたくさん聞けた。あまりに面白く、2時間近く店内に居座ってしまう。我 ながら迷惑な客かもしれんと思う。
 すうさい堂では、店内でも2冊見つけ、購入。
電気グルーヴ『電気グルーヴのメロン牧場−花嫁は死神』(2001年、ロッキ ング・オン)
 音楽雑誌に連載された電気グルーヴのトーク(雑談に近い)をまとめた本。内容 は本当にどうでもよさそうなのだが、かつての『電気グルーヴのオールナイトニッポ ン』を彷彿とさせる。また、1997年から2001年までの分が掲載されているが、この 間はメンバーまりんの脱退(1999年)や、石野卓球が設立したイベント「WIRE」の開 始(1999年)など、結構節目となるできごとがある。そのあたりが話に出てくるのか (多分出てこないだろうなあ)というのも楽しみ。
・高田文夫:監修/鈴木啓之・吉田明裕:編『コミックソングレコード大全』 (2002年,白夜書房)
 タイトルどおり、コミックソングのジャケットを掲載した本。かなり分厚く、オールカ ラーである。紹介されているのは、明治時代のSP盤レコードから、1990年代の芸 人まで、幅広く紹介している。これは、眺めているだけでも飽きないなあ。

■p.m.3:30・・・りぶる・りべろ
 すうさい堂から、JRの高架下にあるりぶる・りべろへ向けて歩き出す。朝の晴れ から一転、雨が降ったり止んだりの天気になってきた。しかし、蒸し暑いのは変わ らない。そんな中、りぶる・りべろの店頭から3冊購入。なんだか今日は店頭から の購入本が多い。
町田忍『路上ポップ・ドールのひみつ』(1998年,扶桑社)
串間努久須美雅士『ザ・飲みモノ大百科』(1998年,扶桑社)
 どちらも共通したデザインで、著者は違うけれどシリーズものだろうと感じさせる2 冊。どちらも、かつて町の中にあったものを取り上げて考察した本。町田氏も串間 氏も、こうした「なつかしもの」の著作には定評があるだけに、楽しみだ。写真も豊 富。
・安部公房『人間そっくり』(1976年,新潮文庫)
 最近少しずつ読んでいる安部公房の小説。これはSF長編。脚本家の元に、火星 人を自称する男がやってきて、という発端から始まる。

■p.m.4:00・・・よみた屋
 よみた屋のある井の頭通り周辺は、お祭りのためか近所の人々がたくさん歩い ていた。よみた屋の店頭や店内も多くの人でにぎわっていた。よみた屋では文庫を 4冊購入。店頭で3冊。店内で1冊。
・出久根達郎『本のお口よごしですが』(1994年,講談社文庫)
 作家であり、古本屋店主である(現在も営業しているかは未確認)出久根氏によ る、本にまつわるエッセイ集。
・眉村卓『おしゃべり迷路』(1981年,角川文庫)
・眉村卓『出たとこまかせON AIR』(1979年,角川文庫)
 SF作家眉村卓氏のエッセイ集。氏の小説は、短編を中心に何冊か読んでいる が、エッセイ集は初めて。SF作家のエッセイ集は、面白いものが多いという印象が あり、期待して購入。
・ぼくらはカルチャー探偵団:編『読書の快楽』(1985年,角川文庫)
 ブックガイド。執筆者とジャンルは、高橋源一郎「少女マンガ」、澁澤龍彦「ポルノ グラフィー」、浅田彰「ノン・ジャンル」など、結構そうそうたる面々。

 よみた屋を出て、ブックオフは無視して、駅の北口へ。ハモニカ横丁を歩く。ここ は古本屋はないが、飲食店を中心に、たくさんの店が細い路地にそってたくさん並 んでいる。一度歩いてみたいと思っていたのである。人が非常に多く、既にかなり の古本を抱えていたので、ゆっくり見ることは出来なかったが、なかなか面白かっ た。

■p.m.5:30・・・外口書店・さかえ書房・藤井書店
 ハモニカ横丁を出て、北口の商店街サンロードへ向かう。しかし、前回来た時に はあった商店街のアーケード(屋根)がない。そのため、雰囲気がまったく違うもの になってしまい、最初道に迷ったのかと錯覚してしまった。初めての経験だが、あ れはびっくりするものだ。
 サンロードの中にある外口書店さかえ書房とも、店頭の均一台のみ眺めるが、 購入はなし。商店街を抜けたところにある藤井書店へ。ここで1冊購入。
・ボブ・ホープ『ボブ・ホープ自伝 ギャグとジョークで綴るアメリカ50年史』 (1992年,徳間書店)
 この間亡くなったアメリカの喜劇俳優、ボブ・ホープの自伝。前から古本屋では見 かけていたのだが、改めて読んでみたいと思い、自分にとってはちょっと値が張っ たのだが購入。

■p.m.6:00・・・ヴィレッジ・ヴァンガード(まだ吉祥寺にいます)
 既に夕方になりつつあるが、ヴィレッジ・ヴァンガードに行かないわけにはゆか ぬ。しかし、ここも人が多い。今日の吉祥寺は本当に人が多い。連休中の日曜で、 お祭りもやっているとあれば無理はないか。
 ひととおり店内を見て、CDを購入。
・「JAZZI CLIFFORD BROWN」
 名前さえ聞いたことがないミュージシャンのCDだが、えらい安かったので購入。 家に帰って聞いたら、なかなかかっこよく、買って正解であった。

 ここで、いよいよ吉祥寺に別れを告げる。しかし、まだ西荻窪が残っているの だ!

■p.m.7:00・・・西荻窪駅〜カノポス〜ハートランド〜音羽館
 西荻窪着。既に夜である。とりあえず、吉祥寺で買った本を駅前のコインロッカー に入れ、身軽になってから歩き出す。まずは駅南のカノポスを目指す。たしかここ は、日曜は平日より閉店が早いはずだと思い、先に行っておこうと考えたのだ。し かし、今日は休みのようで、シャッターが閉まっていた。こうなると予定が狂ってしま う。仕方がないので同じ駅の南にあるスコブル社に行こうと思うが、北口にあるハ ートランドの方が閉店時間が早いことを思い出し、とりあえず北口の古本屋を先に まわることにする。しかし、今日は西荻窪もお祭りらしい。地元の人たちがハッピを 着て、家の前に集まりお酒を飲んでいた。そんな中を歩き回る俺。
 ということでハートランドへ。閉店前の30分程度で店内をひととおり見るが、今日 は購入なし。
 それから音羽館へ。今日は店頭では購入なし。店内で2冊見つけ、購入。
・綱島理友『全日本荒唐無稽観光団 こんな迷所知っていますか』(1995年, 講談社文庫)
 日本全国にある変な名所を訪ねる本。しかも訪ねるのは、ささいな物事でも面白 く紹介してくれる綱島氏ということで、これは面白そうだと思い購入。
・春風亭柳昇『柳昇の新作格言講座』(2001年,講談社)
 柳昇師匠のつくった格言を集めた本。立ち読みしてみたが、決して冗談半分では なく、なかなか鋭く本質をついている。それでいてユーモアがある。まあ、手に取っ た時には既に買おうと思っていた。

 音羽館を出たところで、あることに気がついた。家で朝食を食べてから、食事をし ていなかった。途中でジュースを飲んだり、おかしを食べたりしつつ歩いてはいた が、本格的な食事はとっていない。そこで、あることを思い出した。

■p.m.8:30・・・太陽食堂〜興居島屋〜スコブル社
 前回西荻窪に来た際に、太陽食堂で夕飯を食べようと思っていたが、準備中だ ったのである。今日は大丈夫だろうと思い行ってみると、営業していた。ここでにん にくチャーハンを食べる。あまりにんにくのにおいもきつくなく、おいしかった。
 その後、太陽食堂からしばらく北に歩いたところの興居島屋(ゴゴシマヤ)へ。こ こは本はもちろん、雰囲気もいいよなあ。などと思いながら本を眺める。今日は購 入はなし。
 最後に、駅の南のスコブル社へ。相変わらずの本の多さに圧倒されつつ本を見 ていく。しかし、相当疲れていることが自分でもわかる。とりあえず、ひととおりの棚 を眺めて終了。購入はなし。

■まとめ
 ということで、西荻窪を出たのは午後10時近く。大量の本を抱えて、総武線に揺 られて帰ってきたのでした。我ながら、よくやるよと思ってしまいました。
 以上で、ほぼ半日にわたるおに吉めぐりは終了。最後に今日の記録を。

 ・買った本の重さ:合計5.2kg
 ・本に使ったお金:お札1枚分
 ・補給した水分:500mlのペットボトル3本
 ・古本屋を巡る楽しさ、プライスレス

 …最後のは記録でもなんでもありませんが。




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