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2003.9.28(日)こちかめ!(こちら葛飾区亀有駅前古本屋)〜葛飾区亀有  古本屋めぐりの巻〜(2003.11.16掲載)

 今回は、わが町葛飾区の古本屋めぐり第一弾をお送りしましょう(今後シリーズ 化できるかは未定ですが)。訪れたのは、葛飾区亀有。秋本治氏の漫画『こちら葛 飾区亀有公園前派出所』で名前は知られていますが、実際どういう所かとなると、 あまりイメージがわかないのではないでしょうか。せいぜい「下町」程度かもしれま せんね。
 まあ、駅前は普通の商店街で、そこからしばらく歩くと住宅街、という町です。特 別なにかがあるわけじゃありません。それでも、駅から歩いて10分くらいの距離に 古本屋が6店舗あります。新古本屋が多いのですが、古本日記で紹介するには充 分な数でしょう。最近の古本日記は初めて訪れた街がなかったし、新鮮な気持ちで 読んでいただけるのではないでしょうか。
 そして、なんと地図もつくりました。これはなかなか貴重ですよ。この日記を読ん で、「よし、行こう! 亀有!」と思った人(すごく限られた人だな)は是非ご活用くだ さい。
 それでは、はじまりです。

■まずは北口へ
 亀有駅南口前でバスを降りる。亀有には、バス以外で来ることはめったにない。 電車はJR常磐線の各駅停車が止まるのだが、我が家からでは電車を使うとえらく 遠回りになってしまう。というわけで、今日もバスでやってきました。
 存在が確認できている古本屋6店舗のうち、駅の周囲にある3店舗は過去に行っ たことがあるのだが、残り3店舗は初めて行くことになる。迷わないよう、あらかじめ つくった自作の地図を片手に、早速歩き始める。
 亀有駅前は、南口は何年か前に再開発があり、大きなビルも建ち、バスターミナ ルも新しくなった。それに対し北口は、昔ながらの商店街が広がっている。この対 比は面白い。というよりも、昔は駅の高架下も、今とは違って店もなく、南口も少し 歩いた商店街に入らないとなにもなかった。そう思うと変わったなあ、この町も。
 そんな感慨にふけりながら、駅の北口へ。まずはここにある栄眞堂書店という新 刊書店に行く。この本屋がすごいという噂を聞いていたので、見てみたかったので ある。外見は、どこの駅前にもありそうな普通の本屋だった。だが、中に入ってわ かった。たしかにここはすごい。
 入口がふたつあり、左から入ると雑誌と漫画、右から入ると雑誌と単行本の棚が 並ぶ。そして奥には文庫の棚がある。雑誌は一般的なものが多いが、単行本・文 庫本はサブカルチャーとエロ関係が充実していた。演芸関係の本や、音楽・映画・ 演劇の本も新刊を中心に揃っている。文庫も、出版社別の棚とは別に、「江戸・東 京」、「個性派エッセイスト」などのテーマ別に並んでいる棚もある。駅前の小さめの 本屋としてはかなりの密度の濃さだろう。
 購入はなかったが、ここはいい。これからも来た時には立ち寄ろう。

 そのまま駅から離れるようにして北へ向かう。商店街の中を5分くらい歩くと、コミ ック館亀有店にたどり着く。ここは、漫画とCDとゲームが売り場のほとんどを占め る。活字の本は、入口入ってすぐの棚にある文庫本のみ。並んでいる本は一般的 な品揃えだが、文庫は2冊まで100円。それならばということで、購入への敷居が低 くなる。6冊見つけて購入。
・山口瞳『考える人たち』(1982年,文春文庫)
 連作短編集。氏が当時住んでいた国立が舞台になっていて、主人公も山口氏自 身をモデルにしているようだ。山口氏はエッセイも好きだが、日常的なことを取り上 げた小説もまたいい。
・赤瀬川原平『少年とグルメ』(1993年,講談社文庫)
 タイトルどおり、食に関するエッセイ。とはいえそこは原平氏なので、おそらく独特 な視点で食べ物について書いているのであろう。
・尾辻克彦『吾輩は猫の友だちである』(1993年,中公文庫)
 尾辻克彦は赤瀬川原平氏のペンネーム。猫を飼い始めて起こった様々な出来 事を綴った内容らしい。しかし、尾辻克彦名義で出版されているということは、単な るエッセイではなく、脚色もあるかもしれない。この、フィクションともノンフィクション とも知れないような内容は、赤瀬川(尾辻)氏の本には結構多い。
・カート・ヴォネガット・ジュニア『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵み を』(1982年,ハヤカワ文庫SF)
 意外に思う方もいるかもしれないが、俺はカート・ヴォネガット・ジュニアもちょこち ょこと読んでいる。大学生の頃、SF小説を読み始めた頃に出会った作家だ。魅力 をうまく紹介できないのだが、読むと面白いんだよなあ。
・外山滋比古『ことばの力』(1990年,中公文庫)
 言葉に関するエッセイ集。最近、外山氏の本は見つけると買うようにしている。専 門的な内容の本は敬遠しているが、言葉や勉強法についてのエッセイは少しずつ 読んでいこうと思っている。
・星新一『きまぐれ指数』(1973年,新潮文庫)
 星新一氏の本も、やはり少しずつだが読んでいきたい本のひとつ。最近は氏の エッセイを読むことが多かったが、久々に小説もと思って購入。これは氏の数少な い長編のひとつ。

 コミック館を出て少し西に行くと、比較的大きな通りに出る。この日は結構暑かっ たので、通りにあったコンビニエンスストアでペットボトルのお茶を買い、飲みなが ら通りをちょっと北へ。ここにあるのが東和書房。色々な本がバランスよく並ぶ普 通の古本屋といった雰囲気。置いてあるのは小説の単行本と、文庫と漫画、という ところ。ただ、ノンフィクションや専門的な本はちょっと少ない。ここでは文庫本を2 冊購入。
・外山滋比古『日本語の論理』(1987年,中公文庫)
 これは、先ほど外山氏の『ことばの力』を買ったため、連鎖反応で買ったような感 じだ。これも、言葉に関するエッセイ集。
・赤瀬川原平:編『トマソン大図鑑 空の巻』(1996年,ちくま文庫)
 これも先ほど赤瀬川氏の本を2冊買ったことと関係があるだろう。それとともに、 この本に掲載されている写真の面白さに惹かれた。街にあるちょっと変な建築物・ 看板などを集めた本。トマソンというのは、町の中にある無用の建築物などを意味 する赤瀬川氏の造語。俺好きなんですよ、トマソンとか路上観察(トマソンなどを探 して町を歩くこと)とか。

■まだまだ続く北口編
 いったん駅の方に戻るようにして歩き、JRの線路沿いにあるアーバンブックス へ。ここは奥行きがあって、結構広い。文庫と漫画が中心の品揃えながら、奥には 歴史関係の本も少しあり、画集や写真集などの大判の本もある。ここでは、1冊購 入。
・とみさわ明仁『ゲームフリーク 遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ 集団』(2000年,メディアファクトリー)
 ゲームフリークは、テレビゲーム『ポケットモンスター』をつくった会社。ポケモンの 話題だけでなく、ゲームフリークがどんな集団なのかを丁寧に紹介している。ちな みに著者は元ゲームフリークのメンバー。

 アーバンブックスを出て、JRの線路に沿って西に進む。住宅街に入りかけた、他 にはあまり店のない場所にブックマート亀有がある。ここは漫画とゲームが中心。 活字の本は、文庫・単行本ともすべて100円。しかも、単行本はすべて店頭のワゴ ンで、文庫本が店内。なんか、本に対する価値観が普通の古本屋とは違う気がす る。まあしかし、意外な本が安く手に入る可能性はあるわけで、チャンスといえばチ ャンスなわけだ。2冊購入。
いしかわじゅん『漫画の時間』(1995年,晶文社)
 マンガ家のいしかわ氏によるマンガ評論。文庫版も出ているのだが、かなり状態 のいいものが100円なので、思わず買ってしまった。
・GAME PAPA:編著『ぼくらのTVゲームHistory ファミコン10年!』(1995 年,角川スニーカー・G文庫)
 ファミコン(ファミリーコンピュータ)発売から10年目に、「あんなゲームやこんなゲ ームがあった」という感じの思い出話のようなコラムを集めた本。著者の「GAME  PAPA」は、ゲーム関連の仕事をしているライター、編集者の集団。執筆者のプロフ ィールも本の中で紹介されているし、ゲーム雑誌『マルカツファミコン』をつくってい た角川書店の発行なので、けっこうちゃんとした本のようだ。テレビゲームに関す る本って、事実誤認があったりいい加減な書き方をしていたりする本もある。今は ちゃんとした本がほとんどだけれど、ちょっと前は執筆者の記憶だけに頼って書か れたような本もあったのですよ。

■そして駅の南口へ
 JRの高架をくぐって、駅の南側へ。ブックセンターカメアリが見えてくる。ここは、 先ほどの東和書房があった通りを南にまっすぐ進んだ所にある。漫画が多く、CD やゲームなども一部置いてある。あとはアダルト雑誌もある。
 ここでは山岸涼子『日出処の天子 第二巻』(1994年,白泉社文庫)を見つけ る。これであとは最終巻の七巻を購入すれば文庫で全部揃う。漫画やシリーズも のの本をバラで揃えていくのも、結構楽しい。もちろん、急いで全部読みたい場合 は事情が違うし、場合によってはセットを買った方がお金も手間も省ける場合もあ りますが。

 ブックセンターカメアリを出て、東へ。駅から南へ伸びる道路沿いに、BOOKランド がある。ここもCDやゲームを扱っているが、雑誌・漫画・文庫・単行本など、一般的 な本がひととおり揃っている。値段は、定価によって決められている。つまり、「定 価500円までの本は300円、1000円までの本は500円」という感じですね(値段の設 定は今俺が適当につくった、この店がそのままの設定をしているわけではありませ ん)。こういう価格設定の店は、よく探すと面白い本が安く見つかることがある。特 に古い本ほど定価も安いので、意外な掘り出し物があったりする。
 本日は単行本を2冊見つける。
・太田垣晴子『くいしんぼマニュアル』(2001年,竹書房)
 食にまつわる色々な話題を取り上げたエッセイマンガ。とはいえ、いわゆるグル メの本ではない。太田垣氏らしい独特の視点で書かれている。
・岩永正敏『輸入レコード商売往来』(1982年,晶文社)
 「シリーズ<就職しないで生きるには>」の一冊。自分で店をはじめた人たちの 日々を書いているシリーズである。これはタイトルどおりレコード店を経営していた 著者による本。

 以上で、今回予定していたすべての店をまわった。そこそこの量の本を抱えて、 帰りのバスに乗るために再び亀有駅に向かって歩き始めた俺であった。結構疲れ たが、帰りのバスの中でその原因に気がついた。昼飯も食わずに歩き回っていた からだ。古本熱が高まっていると、時々食事や休憩を忘れて歩き回ってしまうこと もある。ううむ、恐るべし古本魂。古本熱とか古本魂とか、自分でも意味を理解せ ずに使っていますが。

■まとめ
 ということで、地元亀有の魅力を非常に偏った視点から紹介した今回の古本日 記。まあ、「遠くからでもぜひいらっしゃい」とまでは言えませんが、近くの方は一回 くらいは歩いてみるのも面白いと思いますよ。今回は古本屋の話ばかりでしたが、 駅の周りには商店街などもあって、なかなか面白い街です。




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