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2003.7.19(土)・9.2(火) 渋谷古本屋めぐり 〜都会の人ごみかき分けて、 今日も古本探す俺〜(2003.9.8掲載)

 渋谷というと、ちょっと古本とは縁遠いイメージがある街だと思う。だが、そういう 街にも古本屋はあるのです。個人的には、なにか用事がないとまず行かない街な のですが、ここ2ヶ月の間に2回訪れたので、その際に古本屋に立ち寄った様子を 披露いたしましょう。
 それでは、「古本買うボーイ」木の葉燃朗の、渋谷古本屋めぐり。はじまり〜、は じまり〜。
 あ、ちなみに、今回も地図をつくってみました。こちらもどうぞご覧あれ。

■前半戦 〜 7月19日(土)
 この日はまず、渋谷古書センター店頭の均一台がすごかった。あれよあれよとい ううちに、5冊の本を見つける。古本屋めぐりをしていて、ひとつの店で立て続けに 欲しい本が見つかるという経験をした人は多いと思う。俺にも何度かそんな経験が あるが、今日の均一台はすごかった。 購入したのは次の本。
・夏目房之介『夏目房之介の恋愛学』(1989年,ネスコ・文藝春秋)
 夏目房之介氏の本は漫画も含めてかれこれ20冊近く読んでいるが、まだ見ぬ本 もあるのだねえ。これは恋愛に関する漫画、エッセイを集めた本。文庫にもなって いないはずだから、個人的にはなかなか貴重だと思う。
・成井豊『キャラメルの素』(1997年,演劇集団キャラメルボックス)
 演劇集団キャラメルボックスの作・演出を担当する成井豊氏のエッセイ集。雑誌 『東京ウォーカー』(角川書店)と、雑誌『シアターガイド』に連載されたもの。
 ただ、この本自体は自費出版のようだ。調べてみたら、公演が行われた劇場で 販売されたものらしい。状態もかなりよく、値段の安さもあり、購入。ちなみに、俺 はキャラメルボックスの公演を劇場で見たことはないのだが、NHK-BSで時々放送 される劇場中継は見ている。その程度の興味です。
・山崎浩一『なぜなにキーワード図鑑』(1987年,新潮文庫)
 当時流行した物事をキーワードとして取り上げ、考察したコラム集。最近、個人 的にますます興味のある1980年代を取り上げている(しかも当時の視点で)という 点に惹かれて購入。注釈・写真・イラストも多い。
・大島弓子『大島弓子選集10 ダリアの帯』(1985年,朝日ソノラマ)
 漫画です。普通、均一台に全集や選集が並ぶ場合、バラでまとまってということ が多いが、今回はなぜかこの巻だけが並んでいた。ただ、この巻の中には映画化 された「金髪の草原」が収録されているので購入を決める。映画の方は先日テレビ で放送しているのを録画しているので、これも見ようと思っている。読んでから見る か、見てから読むか、ですな。別に角川映画はまったく関係ないですが。
・現代用語の基礎知識編集部:編『1990人物ファイル』(1989年,自由国民 社)
 これもまた1980年代に関する本といっていいのではなかろうか。文学・芸能・スポ ーツから、自然科学・社会科学・ビジネス・政治まで、当時のキーパーソンを紹介し ている。登場する人物には、現在も第一線で活躍する人もいれば、亡くなった人や いまや刑務所の中にいる人、「そういえば、あの人はなにをやっているんだろう」と 思いを馳せてしまう人もいる。立ち読みしている最中も、時間を忘れそうになった。

 その後、店内も見て歩く。1階は小説・雑誌・文庫・ビジネス書が多い。アダルト雑 誌も一部置いてあって、ここは立ち読みしている男の人が多い。そのあたりは避け つつ文庫を中心に眺めるが、購入はなし。
 地下は、画集や写真集など美術系の大きな本が並ぶ。ちょっと俺の探す本とは ジャンルが違うのだが、ひょこっと文庫のコーナーがあったり、思いもよらない雑誌 が置いてあったりするので、時間があれば立ち寄るようにしてある。しかし、残念な がら購入はなし。
 さて、古書センターの2階ですが、今年の初め頃に改装されていて、「Flying Books」という名称になっている。置いてある本は、もとからあった音楽・映画・社会 科学・歴史などに加え、洋書の雑誌や画集・写真集も扱っている。詩のコーナーも 出来ていて、実際にポエトリーリーディングなどのイベントも開かれているようだ。 本棚が移動できるようになっているので、イベント時にはかなり広くなるのではなか ろうか。

 古書センターを出て、東急百貨店本店に向かって歩き出す。ちょうど北へ北へ と、渋谷に点在する坂を横切って歩くような形になる。そうすると、ブックファースト の前に出る。ブックファーストは1階の新刊と、2階の文芸書・サブカルチャー、地下 の音楽・映画などのコーナーをざっと眺めるが、購入はなし。ブックファーストを出 てセンター街に入る。このあたりにも二軒古本屋があるのです。
 ひとつはブックルック。ここはいかにも街の小さな新古本屋といった感じのお店。 雑誌・文庫・漫画が中心。Hな雑誌やビデオもあります。比較的新しい本が多い。 あまり期待はせずに、機会があればといった感じで立ち寄ることにしている。文庫 や漫画で意外な本が安く手に入ったりする。ただし、本日は購入はなし。

 もう一軒は、漫画好きの方にはおなじみまんだらけ。宇田川通りと井の頭通りに 挟まれた部分にあるBEAMSの地下二階にあります。ちなみにここ、地下一階と地 上一階はナムコの経営するゲームセンターINTIが、四階には中古CDショップの RECOfanがある。
 まんだらけは、入口からは想像できないくらいの広さがある。この「地下に広がる 巨大な売り場」というのは好きなんだが、いかんせんちょいと大きすぎて、体力と好 奇心が好調な時でないと歩き回るのはつらい。それほど漫画を集めているわけで もないからねえ。まあ、CDやゲームソフト、おもちゃ(プラモデルや塩ビのフィギュア など)もあるので、歩いていて飽きないけれどね。なお、本日は購入はありませんで した。

 さて、ここで文化村通りに出て、東急本店の周囲をうろうろする。このあたりにあ るらしい古本屋「闘牛百科書店」を探していたのだ。名前や大まかな場所はいくつ かのページで紹介されているのだが、詳しい場所が不明で、何度か探したのだが 見つからなかった。今回は、これまで行ったことのない通りを歩いてみる。すると、 見つかりましたよ! 駅から向かうと、東急本店の右の通りを2〜3分くらい北に進 んだところにあります。
 しかしまあ、この闘牛百科書店、期待はずれの店ではなかったが、期待以上の 店でもなかった。置いてあるのは雑誌・文庫・単行本・漫画が中心。社会科学や歴 史などの硬めの本もあるが、どちらかといえば新らしめの一般書が多い品揃え。 それから、気になったのは貼り紙が多いこと。店頭の均一本には「小銭を用意して ください」、店内には「立ち読みをしないでください」など、客のモラルが低いのかな あと思わされてしまった。それから、均一台が漫画だけなのも個人的には寂しい。 と思ったが、店内には活字本の均一棚もあった。ここで、綱島理友『イマイチ君の 東京トボトボ探検隊』(1991年,サンマーク出版)を見つけて購入。これは綱島 氏が、東京の周辺(つまり、他県との境)を歩いて一周する様子を描いたレポート。 といっても、東京の北西は山だし、簡単な道のりではなさそうだ。内容とともに、安 かったこともあり購入。
 それから、文庫の棚で藤子不二雄A『妻たおれ夫オロオロ日記』(2000年,中 公文庫)を見つけて購入。これは、A氏の奥さんが突然脳内出血を起こし、半身麻 痺、言語障害を負ってから、再び歩き、話せるようになるまでを記録した10年間の 日記。しかしA氏の日記は詳細だなあ。

 というところで、本日はおしまい。渋谷駅の東側を少し歩けば、青山ブックセンタ もあるし、青山学院大学もあるので古本屋もあるのかもしれないが、その探索は また今度ということで。

■後半戦 〜 9月2日(火)
 今日の目的は渋谷の東急東横店で行われている(9月3日まで)東急渋谷大古本 。最終日前日で、平日、更に夏休みも終わりということで、人はそれほど多くな かった。
 それでもまあ、3時間くらい会場を歩いて、下記の本を購入。
・荒俣宏『図像学入門』(1992年,マドラ出版)
 「夜中の学校」というシリーズの1冊。かつてテレビ番組で放送された講義を活字 にしたもの。このシリーズは見つけるたびにちょこちょこと集めている。短めの本な ので、気軽に読めそう。ちなみにマドラ出版は、雑誌『広告批評』を出版しているこ とで知られています。
・柴田武『その日本語、通じていますか?』(2002年,角川書店)
 日本語や言葉に関する本は、最近特にたくさん出ている。俺は学生時代からこ の著者の本は何冊か読んでいて、結構信用している。この本は、話し方の問題を 色々と取り上げている。といっても、あまり堅苦しくなく、これまた気楽に読めそう だ。
・泉麻人/いとうせいこう『コンビニエンス物語』(1990年,太田出版)
 著者がコンビニで買ったものの記録。一部の店は地図も載っている(まあ、今は ないかもしれないですが)。なんとなく興味があって購入。このコンビによるエッセイ というのがまたなんとも面白そうだ。
・ジャック・マシューズ『バトル・オブ・ブラジル−「未来世紀ブラジル」ハリウッ ドに戦いを挑む−』(1989年,ダゲレオ出版)
 テリー・ギリアム監督の映画『未来世紀ブラジル』にまつわるノンフィクション。もっ と言ってしまえば、映画の制作から公開まで、いかにもめたかを書いた本。この間 見た『ロスト・イン・ラ・マンチャ』といい、テリー・ギリアムの監督した映画って、こん なんばっかかよと思ってしまった。
 ちなみに、実は『未来世紀ブラジル』の映画は見たことがないのだが(我ながらモ グリだとは思います)、テリー・ギリアムはもちろん知っているし、面白そうなので購 入。それから、訳者は柴田元幸氏です。

 以上、まあ、まずまずの収穫でした。

■番外編 〜 渋谷の隣の駅前に、小さいが渋い古本屋があった
 その後、ちょっと色々あって、渋谷では渋谷古書センターの店頭を見るだけにと どまる。その後JRで恵比寿駅へ行く。ここで、西口の駅前に戸川書店という古本屋 があるのを見つけたので、寄ってみる。岩波文庫や文学・歴史などの硬い本が多 く、整然と並んでいた。自分の欲しい本とはちょっとジャンルが違うが、好感の持て る店。ここで、南伸坊:編『日本の名随筆 別巻62 漫画』(1996年,作品社) を見つけて、購入。漫画についてのエッセイを集めた本。執筆者も漫画家・小説 家・評論家など多彩。目次は出版社の公式ページでどうぞ。

 ということで、やや短めですが、渋谷の古本日記は以上で終了します。しかし、燃 朗の都会の古本屋めぐりはまだまだ続くのであった。
 次回、「都会の荒波乗り越えて、新宿で本を探す俺よ!(仮題)」にご期待くださ い。




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