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2003.4.12(土) 吉祥寺・西荻窪 古本屋めぐりの巻 (2003.5.16掲載)

 本日は久々に吉祥寺、それから西荻窪の古本屋をまわってきました。第一の目 的は、明大前から吉祥寺に移転した古本すうさい堂を訪ねること。第二の目的は、 吉祥寺に比べて最近ごぶさただった西荻窪の古本屋を訪れること。ということで、 いつものようにJRの中央線で西へ西へと向かったのでありました。
 あ、ちなみに前回・前々回と掲載した古本マップですが、今回は省略します。機 会があれば描きたいと思っていますので、ご了承ください。

吉祥寺 前半戦
 11時前には吉祥寺駅に到着。ううむ、我ながら気合が入っている。まあ、このくら いの時間に到着しないと、目当ての店舗をすべてまわるのは到底無理だ。という わけで、まずはいそいそと吉祥寺古本センターへ。吉祥寺の古本屋めぐりは、い つもこの店から始まっているなあ。個人的には入口近くの百円均一コーナーが面 白いと思う。本日は百円均一コーナーと文庫の棚から1冊ずつ見つけて、購入。
・小学館ドラネット編集部 編『インターネットがばっちりわかる本 ドラえもんの "ほいほい"インターネット』(2000年,小学館)
 いまさらインターネット入門でもないのだが、まあおさらいしておこうかと思ったん ですよ。子ども向けの本は、なにかあらためて勉強したいときに結構重宝するので ある。これは本当の話。
・ぼくらはカルチャー探偵団 編『知的新人類のための現代用語集』(1985 年,角川文庫)
 これは、テーマごとに担当者を決めて書かれた用語集。1980年代らしい雰囲気 が漂いますな。執筆者はなかなか豪華。まえがきに浅田彰。思想を中沢新一、文 学を高橋源一郎、ノン・ジャンルを泉麻人、風俗を田中康夫がそれぞれ担当してい る。ちなみに風俗というのは、別にいやらしい話ではなく、まあ当時の若い人の生 活の話です。こういう本は、ぱらぱらと拾い読みすると面白かったりするのですよ。
 以上2冊を持って古本センターを出る。今日はここから北口のヴィレッジヴァンガ ードへ出る。ここも久しぶりだなあ。しかし、広い。最近お茶の水店に通っているの で、ここはずいぶん大きく感じる。例えば、お茶の水店なら俺は踏み台に乗ればた いていの棚に手が届く。しかし、ここははしごに登らないと絶対に届かない棚もあ る。すごいよなあと思いながら、店内をうろうろする。
 しかし、ここで購入したのはチョコレートのみ。本やCDの購入はなし。しかし、ヴィ レッジヴァンガードは中を歩くだけで楽しい。こういう店は、俺にとっては珍しいな あ。
 ヴィレッジヴァンガードを出て東に向かい、アーケード街(サンロード)に入る。ここ を北に出たところにある藤井書店へ。店内は相変わらずごちゃごちゃしていて、お 客さんも多い。しかし、意外な本に安い値段がつけられている。個人的には入口ま わりの百円均一棚と、2階への階段の壁面にある二百円均一棚が面白いと思う。 本日は2冊購入。
・太田垣晴子『オトコとオンナの深い穴』(2001年,メディアファクトリー)
 エッセイマンガ。太田垣晴子は、マイペースな視点で色々なことを観察したマンガ が多い。最近、『わたくし的読書』『サンサル@〜A』(いずれも2003年,メディアファ クトリー)と、続けざまに著作が文庫化された。この本は、タイトルどおりの内容です よ。ホストクラブ潜入、SMクラブ潜入、ストリップ劇場潜入(潜入ばっかりだな)など など、性に関する現場を取材したレポート。といっても、リラックスして読めそうな内 容になっている。さすが太田垣晴子。
 ちなみに、この本は著者の直筆サインとイラスト入りです。でも、均一棚にありま した。
・天野祐吉『おかしみの社会学』(1993年,マドラ出版)
 かつてテレビ東京で放映された「夜中の学校」(1991〜1992年)の講義録。「夜中 の学校」は、1名の講師につき1ヶ月(4回)講義を行う形式で、1年2ヶ月続いた番組 のようだ。天野祐吉の回は、広告の話が中心だったようである。気軽に読めそうだ し、興味のある内容だったので、購入。
 ちなみに、この「夜中の学校」シリーズは、俺は淀川長治『美学入門』(1992年,マ ドラ出版)を持っている。他にも荒俣宏『図像学入門』中沢新一『宗教入門』デー モン小暮『悪魔の人間学』などもあり、集めてみたいシリーズのひとつである。
 藤井書店での購入は以上2冊。そのまま東に向かって歩き、古本すうさい堂へた どり着く。ここは、もともとアンティークとオリジナルグッズの店たご舎が店舗を構え ていた場所だ。店主さんにあいさつした後、店内を一通り見て、次の5冊と1枚を購 入。
・イッセー尾形『イッセー尾形の遊泳生活』(1995年,角川書店)
 イッセー尾形氏のエッセイ集。イラストも入っている。氏のひとり芝居の戯曲はこ れまでにも読んでいるが、エッセイ集は初めてだなあ。
キリングセンス『スキスキコンビニ』(1997年,アスペクト)
 かつて雑誌『テレビブロス』(東京ニュース通信社)で連載されていたエッセイ。タ イトルどおり、コンビニエンスストアに関する話を集めたもの。キリングセンスという のは、コント中心のお笑いコンビ。爆笑問題と同じタイタンという事務所に所属して いる。メンバーのひとり、萩原正人氏がエッセイを書き、もうひとりの河崎健男氏が イラストを描いている。萩原氏のコンビニでのアルバイトでの経験やエピソードも多 く、面白そう。ちなみに、萩原氏は1998年に肝硬変になり、アメリカで肝臓移植を受 けたことでも知られている。
西条昇『笑伝・三波伸介』(1999年,風塵社)
 お笑い関係の本が続くなあ。俺は、三波伸介をテレビで見た記憶はあまり残って いない。氏が亡くなったのが1982年で、当時俺は5歳だからねえ。それでも、『笑 点』(日本テレビ系)の司会や、『三波伸介の凸凹大学校』(テレビ東京系)などとい った番組は、なんとなく記憶に残っている。まあ、これは後からお笑いに関する本 やテレビで得た情報を、当時見聞きした情報と錯覚しているのかもしれないけれ ど。
 なお、著者の西条昇氏は、お笑いに関する評論、企画で知られている。著作も、 お笑いに関する紹介や評伝が多い。
・ケラ『ライフ・アフター・パンク・ロック』(1990年,JICC出版)
 現在、劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチとしてとして活躍する氏が、 1980年代に書いたエッセイを集めたもの。当時はバンド「有頂天」のメンバーであ り、劇団「健康」の主宰者であり、インディーズレコードの「ナゴム」の代表であっ た。
・実相寺明雄『実相寺明雄のナメてかかれ』(1995年,風塵社)
 実相寺氏といえば、テレビ『ウルトラマン』『ウルトラセブン』、映画『帝都物語』 (1998年,東宝)他の様々な映像作品の監督として知られている。その氏のエッセ イや対談を集めたもの。ちなみに、この本のプロデュースは、映像作家河崎実。プ ロデュースというのは、企画・編集というくらいの意味のようですね。
・CD『ルパン三世 テレビ・オリジナル・BGM・コレクション』(28CC-2291, 1988年,日本コロムビア)
 アニメ『ルパン三世』のサントラCD。「旧シリーズ」「第一シリーズ」と呼ばれる1972 年〜1973年のシリーズのもの。家に帰ってから聴いたが、これはかっこいい。『ル パン三世』の根強い人気の要因には、音楽のよさもあるよなあ。

 店内を見ながら、しばらく店主さんと色々な話をする。吉祥寺の状況や、店の様 子などを聞く。駅前にブックオフもオープンする(4月19日)ようで、色々と大変そう だけれど、是非頑張っていただきたいと思う。ちなみに俺の訪れた1時間くらい後、 杉並北尾堂の店主、北尾トロ氏もすうさい堂に来店したらしい。すうさい堂ご主人と の話の中で北尾氏も話題に上っただけに、その偶然にちょっとびっくり。
 すうさい堂を出て、今度は駅に戻るようにして歩く。中央線の高架線にあたったと ころで、線路に沿って東へ。線路下にあるりぶる・りべろにたどり着く。ここでは表 の均一台コーナーを見る。今回は購入はなし。りぶる・りべろは店頭を見て終わり ということが多い。特に理由はないのだが、なんとなく店内には足を踏み入れない なあ。
 りぶる・りべろを出て、すぐそばにあるbanana(バナナ)で昼食。カレーと洋食の 店。ロースカツ丼を食べました。かなりボリュームがあって、安い。大盛りを頼んだ ら、相当な量だった。

吉祥寺後半戦 そして西荻窪へ
 腹も膨れたところで、古本屋めぐりを再開。高架線をくぐって、駅の南側に向か う。まずはよみた屋へ。本当はすべての棚をじっくり見たいのだが、時間の関係も あるので、今日は興味のある棚を中心に見る。文庫本を2冊購入。
・火浦功『遊んでて悪いか!!』 (1995年,アスペクト ログアウト冒険文庫)
 小説家火浦功氏の1992年から1995年の日記。日記の中にとり・みき、ゆうきまさ み、出渕裕などの諸氏の名前も出てきて、面白そうだったので購入。
・谷崎潤一郎『痴人の愛』(1947年,新潮文庫)
 特に理由はないのだが、なんとなく興味を持って購入。
 それから、よみた屋の少し東にあるブックステーション和へ。ここもよみた屋と同 じくらい広いので、やはり興味がある棚を見ていく。ここでも1冊購入。
・糸井重里『ほぼ日刊イトイ新聞の本』(2001年,講談社)
 最近自分がホームページを作る上で、色々と参考になることの多い糸井重里氏 の「ほぼ日刊イトイ新聞(略称:ほぼ日)」。そのほぼ日がどのようにできて、どのよ うにやってきたかの記録。

 ブックステーションを出て、そのまま西荻窪を目指し、東にに向かって歩く。吉祥 寺から西荻窪までは電車で一駅だし、ぶらぶら歩いていこうと思ったのだ。とはい え土地勘がないので、中央線の線路に沿って迷わないように歩いていく。歩いてい る途中に、雨もぱらぱらと降ってきた。これはおとなしく電車に乗った方がよかった かと思い始めた頃、見覚えのある西荻窪の風景が見えてきた。
 西荻窪に到着して、まずはブックスーパーいとうへ。ここは文庫とマンガが中心の 店。棚をざっと眺めるような感じで見ていく。それでも、綱島理友『全日本お瑣末 探偵団』(1996年,講談社文庫)を購入。これは様々な雑誌に掲載したコラムを まとめたもの。
 その後、音羽館へ。ここに来るのも久々の気がする。店内には、10人近いお客さ んが入っていた。それほど大きくない店内に、人がぎっしりという印象を受ける。店 頭の均一棚、店内とも時間をかけて見る。ここまでに買ってきた本が少し安い値段 で並んでいたりして、「しまった」という思いも抱く。しかし、まあこればっかりはしょう がない。古本との出会いは一度逃したら終わりと思わないといけない。同じ本が別 の店にもっと安く並んでいるとは限らない。
 残念ながら音羽館での購入はなし。音羽館を出て、東に歩いていく。ちょっと古本 を離れて、ニヒル牛へ行く。ここはアートギャラリー。色々な人が30cm平方くらいの スペースに、自作のグッズを展示し、販売している。小さめの店の中に、200人くら いの人々がつくったさまざまなものが並んでいる。見ているだけで飽きない。本もあ ればCDもあるし、アクセサリーなどの小物もある。
 購入はなかったが、色々な人の作品を見て刺激になった。自分もなにかつくって みたいという思いを抱かせてくれる店だ。
 ニヒル牛から、JR線の北側を西荻窪駅に戻るようにして歩く。途中にある古本屋 比良木屋へ。ここでは店頭にあった2冊のマンガを購入。いしいひさいち『スク ラップスチック4』(1988年,少年画報社)いしいひさいち『いしいひさいちの 大政界』(1990年,チャンネルゼロ)。店内は美術や音楽に関する本が多い。入 口を入ってすぐにはマンガに関する本も並ぶ。棚以外にも本が詰まれており、思わ ずその山も見たくなってしまった。
 いったん西荻窪駅前に戻ってきて、駅前のファミリーレストランで夕食。少し休ん で、更に古本屋をまわることにする。そうです、まだ終わらないのですよ。

ラストスパート!
 駅の南に向かい、スコブル社へ。ここは深夜0時過ぎまで営業しているそうで、あ たりのお店が閉店した後でも、ここは明かりがついている。いつも思うが、この店 はとにかく本が積まれているという印象を受ける。「知的」という言葉を、迫力を持 って感じることができる。その本の山の中から2冊を購入。
・都筑道夫『七十五羽の烏 都筑道夫コレクション《本格推理編》』(2003年, 光文社文庫)
 光文社文庫が、今年の初めから都筑道夫の作品集を刊行している。なぜか買い 逃していた第1巻を購入。スコブル社には、最近刊行された文庫や新書が比較的 早く並ぶ。それも、なんでもかんでもではなくて、きちんと厳選されているんだよな あ。
森村泰昌『芸術家Mのできるまで』(1998年,筑摩書房)
 芸術家森村泰昌氏の自伝。実は厳密な意味では自伝ではないが、子どもの頃 からの色々なエピソードを集めたもの。俺は、氏の作品にも興味があるし、『美術 の解剖学講義』(2001年,ちくま学芸文庫)『踏みはずす美術史』(1998年,講談 社現代新書)などの美術論の本も面白いと思う。ということで購入。
 スコブル社を出て、駅に向かう。これで本日の古本屋めぐりは終了、のはずだっ た。しかし、駅の近くにもう1件、ねこの手書店を見つけて、立ち寄ることにする。こ こはいわゆる新古本屋だが、サブカルチャー関連の雑誌や本もあり、人文・社会 科学関連の本もありと、ちょっと独特の品揃えである。ちなみに、この店名はちょっ と(あるいはかなり)変わっているが、系列店の名前も変わっている。くわしくは不 明だが、闘牛百科書店(渋谷)キノコクニヤ書店(高田馬場)どですか書店(小 岩)などがすべて系列店らしい。どですか書店は自宅からも近いので何度か行った ことがある。
 ねこの手書店は、ひととおり見たが、購入はなし。「本日もなかなかの収穫であっ た」と思いつつ、本の詰まったバッグを背負って、西荻窪の駅に向かったのであり ました。

おわりに
 ということで吉祥寺、そして久々の西荻窪の古本屋めぐりは終了です。しかし、帰 りの電車の中で興居島屋ハートランド花鳥風月などに寄っていないことを思い 出し、「ううむ、近いうちにまた来てやるんだ!」と決意を新たにしたのでありまし た。




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