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2003.1.24(金) 東急渋谷大古本市 〜 古本馬鹿は渋谷を目指す の巻 (2003.2.20掲載)

 1月というのは、デパートで行われる古本市が多いのです。ちょっと列記してみる と、
  ・1月2日〜7日 新春蔵開き古書市(京王百貨店新宿店)
  ・1月2日〜7日 銀座古書の市(松屋銀座)
  ・1月15日〜21日 松屋浅草古本まつり(松屋浅草)
  ・1月23日〜28日 東急渋谷大古本市(渋谷東急東横店)
  ・1月23日〜27日 伊勢丹浦和店古本市(伊勢丹浦和店)
 などがありました。これに加えてほぼ毎週のように行われる神保町や高円寺の 古書展もあるし、各地の古本屋ももちろん営業しているし、インターネットの古本屋 では目録が掲載されるし、古本好きはお金と時間と気力がいくらあっても足りないく らいですな。お年玉などあっという間になくなってしまうことでしょう。
 …お年玉をもらえる世代の人がどのくらいいるかは疑問ですが。むしろ親戚の子 どもにお年玉をあげなければいけないわ、古本は欲しいわで大変かもしれないで すね。

 さて、俺はこの中で、「東急渋谷大古本市」に行ってきました。銀座や浅草にも行 ってみたかったのですが、休みがうまく取れずに断念。ということで、開催2日目の 渋谷東急を目指し、いつものごとくJR山手線に飛び乗ったのでありました。

 結構な冷え込みがあったこの日。しかし、会場の渋谷東急はJR渋谷駅と直結し ているので、寒さにひるむこともなく、道に迷うこともなく無事到着。
 しかし、デパートの古本市はいつ来ても気合が入るなあ。この広さが原因だろう な。デパートの催事場ひとフロアまるまるに、本が並ぶのである。これを全部まわ って、色々な本を探し出してやるんだと思うと、否が応にも期待は高まる。
 ちなみに、俺はデパート古本市に行く際、事前にインターネットやチラシで、どん な店が出展して、どんなジャンルの本を並べるのかを調べたりはしない。気力と体 力に任せて、全部の棚を眺めて行く。その方が、思いも寄らない本に出会える可 能性が高いからだ。その代わり、レジで会計する頃にはへろへろになっているの がお決まりのパターンなのだが。
 今日ももちろん、端から順番に棚を見ていくのであった。しかし、平日にもかかわ らず人が多い。しかも色々な人がいる。これは古本好きの雰囲気をぷんぷんと発 している中高年の男性が多い神保町の古書展との大きな違いだろう。
 例えば、女の子が美術書を熱心に探していて、その隣で彼氏が手持ちぶさたな 感じのカップルがいた。彼氏の興味のなさは見ていて痛々しいほどで、仕方なく昔 の漫画雑誌の表紙だけ次々眺めたりしていた(中身はビニールでパックされてい るので読めないのである)。
 また、ある本を目の前にして自分がそれを持っているかどうか悩んでいるおじさ んはちょっと面白かった。家に電話をして、おそらく奥さんに聞いているのだが、話 がうまく通じていない。「本棚の上から三段目に○○というタイトルの本はあるか?  え、そうじゃない。じゃあそこにある本の著者名を全部言ってくれ」などと、会場の 隅で携帯電話で話している。奥さんはきっと「ええ? 知らないわよ、そんなの!」と 思っているんだろうな。
 そうかと思えば、レジで「『真珠夫人』という本が欲しいの。どこにあるの?」と聞い ているおばあさんもいた。そんなのレジ係の店員(これはデパートの人)に聞いても 無理だろう。出展している古本屋だって自分の店で持ってきていなかったら無理だ ぞ。しかし、もしも菊池寛の『真珠夫人』なら、新刊書店に復刊された文庫が並んで いるんじゃないか。まあ、実際に話を聞いてみないとわからないけれど。
 …いかん! すっかり「古本市おもしろ人間観察記」みたいな話になっている。自 分が買った本の話をしなければ。ということで、二時間くらい会場をうろうろして購 入したのは次の五冊。

●佐藤雅彦『佐藤雅彦全仕事』(1996年,マドラ出版)
 佐藤雅彦氏といえば、CMプランナーとして多くの作品を手がけた。この本にはそ うしたCMの他、漫画・イラスト・対談なども掲載されている。特にCMについて興味 があったので購入。氏の手がけたCMを列挙すれば、誰もが「ああ、あれか」と言う のではないか。ためしに列挙すると、湖池屋「スコーン」・「ポリンキー」・「ドンタコ ス」、NEC「バザールでゴザール」JR東日本"ジャンジャカジャーン"・"もっともっと "、サントリー「モルツ("うまいんだな、これが")」「ピコー」、トヨタ「カローラU」、住 友銀行(現三井住友銀行)「バンクー」、などなど。俺の記憶に残っているだけでも これだけある。この人の頭の中をちょっとでも覗いてみたいと思い、購入。
●安田輝男『パロディ広告大全』(1984年,誠文堂新光社)
 広告関連の本が続くが、これは偶然です。この本はタイトルどおり、映画やテレ ビ、ことわざ・文学などのパロディになっている広告を集めて紹介したもの。個人的 には団しん也ディナーショーの広告「しん也・営業」がなんともいえないおかしさを感 じさせた。
 いつの時代の広告かはっきりしないものがあるのがちょっと残念だが、それぞれ の広告について写真も掲載されているし、見ているだけでも面白そうなので購入。
唐沢俊一『唐沢俊一のB級裏モノ探偵団』(1999年,大和書房)
 「例によって、また雑事ばかりがテーマのエッセイ集である」(p.1)と「まえがき」に ある。何度も書いていることだが、氏の著作の中ではこのジャンルの本が一番好 きだなあ。どうでもいいといえばどうでもいい話しが続くのだが、こういう知識を得る ことに知的好奇心を覚える。
●ハナ肇『あっと驚くリーダー論』(1985年,主婦と生活社)
 かつて「ハナ肇とクレージーキャッツ」のリーダーとして一世を風靡した故・ハナ肇 氏の本。タイトルにあるように、自身のリーダーとしての経験をもとに、リーダーとい うのはどういうものかを書いている。しかし、決して堅苦しい話ではない。自身はも ちろん、クレイジーキャッツや多くの芸能人のエピソードが登場する。しかも「あっと 驚くタメゴロー」の言葉とともにサインも入っている。これは買うしかないと思った。
●雑誌『奇想天外 1976年10月号』(奇想天外社)
 表紙にあった「星新一氏に25の質問」に興味を持って購入。『奇想天外』は、そろ えて読もうと思うまでの興味はないが、気になる号があればこれからもちょこちょこ 買っていこうかと思っている。

 というわけで、まあそれなりの収穫であった。その後、渋谷に来た時のお決まり のコースとなりつつある渋谷古書センターブックファースト渋谷店などに行ってみ るが、購入はなし。その後HMVの渋谷店にCDなど見に行くが、ここでも購入はな し。
ということでラーメン食べて帰りました初めて康竜という店に行ってみた。実は九州 を中心に展開している一蘭が、この康竜に対し店の雰囲気やシステムを模倣して いるとして提訴している。で、どのくらい似ているものか見る意味も含めて行ってみ ました。我ながら趣味が悪いというか、意地が悪いが、気になったもので。ちなみ に一蘭は、アトレ上野にある店舗にたまに行きます。
 結論からいうと、店の雰囲気は似ている。しかし、ラーメンの味は異なる。これは 好みが分かれるところだろう。康竜はサイドメニューも含め、一蘭よりもメニューが 多い。しかし、個人的には一蘭のスープは好みだ。どちらにしても、たまに食べる ならいいかな、という印象。まあ、毎日ラーメン食べるのはつらいわな。
 …古本日記が最後はラーメン日記みたいになってしまった。ともあれ、本年最初 の渋谷行きはこれにて終了!



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