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2002.12.29(日) 2002年古本買い納め 新宿伊勢丹大古本市 の巻 (2003.1.11掲載)

 年の瀬も差し迫った12月29日。大掃除も終えた俺は、JR新宿駅にいた。2002年 の古本買い納めということで、新宿伊勢丹で行われている「大古本市」へ行って参 りました。この「大古本市」は年2回開かれており、俺は今年8月にも行っています。 詳しくは2002年8月10日の古本日記をご覧ください。
 ということで、「デパートで開催される古本市とはなんなのよ」という話は8月にも書 いたので割愛。
 今回の開催期間は12月26日〜30日。だから、「まあ29日はもう最終日前日だし、 年末だし、人は多くないだろう」と思って、のほほんと出かけた。しかししかし、なか なかどうして会場は多くの人でにぎわっていた。世間は冬休み、正月休みだし、新 宿のデパートならたまたま立ち寄る人も多いのだろう。なんとなく、人は多いのだが のんびりした雰囲気が漂っていた。
 しかし、古本以外のものは目に見えていないような人々と、逆に古本なんて見て もいない子どもも多かったのには参った。まわりに人がいるかどうかなんて関係な く自分の欲しい本に手を伸ばす人もいて、俺なんかも押しのけられてちょっと不愉 快な思いをした。それと、親に連れられたものの、飽きて大騒ぎする子ども。仕方 ないとは思うけれど、なんとかならんものか。
 などと愚痴ばかりこぼしていても仕方ない。俺だって、まわりの人から見たら、「あ の兄ちゃんは図体がでかくて邪魔だなあ」と思われているのかもしれないしねえ。

 さて、古本日記といえば、「こんな本を買いましたよ」と書くのがいつもの俺なの に、なぜ今回はなかなかそういう話に入らないのか。早い話、あんまり買わなかっ たのです。購入したのは下記の2冊。
 これは、古本市の品揃えがイマイチだったわけでは決してない。どちらかというと 俺の気持ちの問題ですね。興味を惹かれた本、面白そうだなと思った本はたくさん あった。しかし、なんとなく「よし、買おう!」という気持ちになれなかった。これは本 に限らず、他のものを買う場合にもある。同じものが同じ値段で売っていても、日 によって(それも2、3日の違いで)なんとなく手が出なかったり、思い切って買ってし まったりするのである。古本の場合なんかは、前に見たときよりも値段が高いなの にどうしても欲しくなることもある。
 こんな気持ち、だれか共感してくれるだろうか。
 などと、そんな話ばかりだらだらとしていても仕方がないので、さっさと買った本の 紹介に入りましょう。

●雑誌『奇想天外 1978年9月号』(奇想天外社)
 『奇想天外』は、1970年代から1980年代に刊行されていたSF雑誌。俺が調べた ところでは、この雑誌、全部で3つの時期に分かれるようだ。時期によって刊行して いる出版社も違い、雑誌の方向性も異なる(http://homepage1.nifty.com/ta/index. htmlを参考にしました)。
・初期:『奇想天外』 (盛光社/すばる書房盛光社,1974年 1月号〜1974年10月 号)
 →海外SFの紹介が中心。
・中期:『奇想天外』 (奇想天外社,1976年 4月号〜1981年10月号) 
 →日本SFの紹介が中心となる。この時期には別冊奇想天外、マンガ奇想天外な ども刊行されている。これは自分の経験だが、この奇想天外社時代のものが古本 屋でも一番多く見かける。
・後期:『小説奇想天外』 (大陸書房,1987年12月号〜1990年 6月号)
 →この時期も日本SFの紹介中心。
 じつは俺はこれまで『奇想天外』を買ったことはなかったのだが、この号は表紙で 紹介されていた藤子不二雄と小野耕世(漫画・アニメーション評論家)の対談に興 味を持った。ビニールパックされていて詳しい内容は不明だったが、結構(当時の 定価よりも)安かったので購入を決めた。そうしたら、なんと式貴士「カンタン刑」 掲載されている。これは偶然とはいえちょっと嬉しい。ちなみに式貴士という作家名 と、「カンタン刑」という短編小説は、SFや幻想文学などを読んでいる人の多くが、 どこかで見聞きする名前ではないだろうか。グロテスクな短編小説としてその名を 知られている。読んでみたい人は『鉄輪の舞』(1993年,出版芸術社)なら、まだ新 刊で手に入るだろう。この中に掲載されている。あとは古本屋さんで『カンタン刑』 (1982年,角川文庫)を捜すかだなあ。興味がある方は「式貴士研究サイト 虹星人 http://www05.u-page.so-net.ne.jp/kb3/gosho/)」を覗いてみるのもいいのでは。 個人で作成しているページだが、丁寧に調べている。
 ちょっと本題からずれた話になったなあ。ともかく、『奇想天外』は初めてなので、 じっくり読んでみようと思う。

●『ARCHITECTURE IN AUSTRIA A SURVEY OF THE 20TH CENTURY』 (1999年,Birkhauser)
 洋書、しかも写真集。俺が買う本としては珍しいですよ。タイトル通り、20世紀オ ーストリアの建築物の写真集。出てくる建物がかっこよかったというだけの理由で、 英語もドイツ語もろくに読めないのに購入。紹介文が英語で、写真や図面が多い ので、どういう建物なのかはなんとなくだがわかる。しかし、そういう難しいことを抜 きにしても、とにかく出てくる建物がかっこいい。更に、本のつくりもかっこいい。サ イズは20cm四方の正方形、本の厚さ5cmというなかなか重厚な本。このかっこよさ を、どう伝えればわかってもらえるのだろう。
 出版元のホームページ(http://www.birkhauser.ch/)を見ると、スイスのバーゼル で科学や建築に関する本を出している出版社らしい。英語のページから情報を拾 っている限りなのではっきりしたことは言えないが。バーゼルといえば、ドイツやフ ランスとの国境沿いにある都市だから、こうした本を出しているのかもしれない。
 最近の俺は、この本をぱらぱらとめくっては「ほー」とか「へー」とか言っていま す。

 ということで、あまりに短くてはなはだ恐縮ですが、2002年最後の古本買い納め はこうして終わったのであった。実は、今回はあくまで「古本」の買い納めであっ て、翌日12月30日には別の「本を探す冒険」があったのですが、それは近いうちに 掲載予定なのでお楽しみに。




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