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2002.11.15(金)24(日) 灼熱の渋谷 2DAYS!! の巻(いつもどおり意味不 明)

 「灼熱の渋谷 2DAYS!!」などと書くと、コンサートみたいだが、例によって古本日 記です。そもそも、11月に灼熱でもないですな。まあ、俺の心は燃えているというこ とで。
 さて、今回の舞台は渋谷です。古本とはあまり関係なさそうだが、今回はパルコ Part1で行われていた「オンライン古書店顔見せ興業」に行ってきたのである。これ は、インターネット上で古書店を営む8業者が、パルコPart1地下、ロゴスギャラリー にて期間限定の店舗を開催する、というもの。普段はインターネットでの通販だけ に、その店の本を手にとって眺めたり、店主さんに実際にあったりする機会は少な いので、是非行ってみたいと思っていたのだ。というわけで、開催中、序盤の15日 と終盤の24日の2回行ってきました。では、まず15日の日記から、はじまりー、はじ まりー。

■11/15
 JR渋谷駅、ハチ公口から外に出る。この街はどうも苦手だ。人の多さと、複雑な 地形のせいだろうか。まあ、迷子になったら坂を下へ下へ歩けば駅にたどり着くの で、その意味では安心だが。しかし、いつまでたっても自分にとっては新宿・池袋と 同じくらい苦手な街だな。
 などど言ってもいられないので、一路パルコPart1を目指す。今日の目当てはここ の地下で行われている「オンライン古書店顔見せ興行」である。運良く迷うこともな く、パルコに到着。さっそく地下へ。ここには、パルコブックセンター渋谷店や、洋書 ロゴス渋谷店がある。その一角にあるロゴスギャラリーが、今回の会場である。
 思ったよりもこぢんまりとしたスペースに、結構お客さんが入っていた。入口まわ りには、写真集や画集のような美術系の本が並び、人目を惹く。中では、8つの古 書店がそれぞれの棚を持ち、さらに特集として合同で特定のテーマの本を並べて いる。出店しているのは下記の8店。
 オヨヨ書林書肆月影杉並北尾堂チャチュカ・ブックスハートランド 雅新泉堂ユトレヒトれいど・ばっく
 各店舗とも、オンラインで扱っているものと同じようなジャンルの本を並べている ようだ。それぞれの棚で特徴がはっきりしていて、見ていて面白かった。普段はあ まり見ないような絵本や洋雑誌なども時間をかけて眺める。見ているだけでも面白 いなあ。
 活字本も、俺の好きなジャンルが多く、見ごたえがある。特集は、YMOとそれ以 前を中心とした音楽本・荒木経惟の著作・文庫本・500円均一本。
 会場内を1時間近くうろうろして、下記3冊を購入。じっくり見ていると、あっという 間に時間が過ぎてしまう。

●雑誌『東京人 特集 ふるほんの宇宙』(1996年,都市出版)
 まあ、古本に関する本は買ってしまうのですね。これは、神保町に限らずテーマ 別に広範囲の古本屋を紹介している。1996年のものなので、新古本屋(ブックオフ など)が新しい形態として取り上げられていたり、まんだらけが注目されたりしてい るのも当時を思わせる。
●唐沢なおき『唐沢なおきのうらごし劇場』(2001年,メディアワークス)
 様々なライターのエッセイと、そのテーマに関係のある唐沢なおき氏のマンガとい う珍しい取り合わせの本。取り上げられているのは、やはりマニアックな話題が多 い。
●『FIFAワールドカップUSA94 アジア地区第1次予選グループF パンフレ ット』
 これが個人的にはなかなか珍しく、嬉しかった。1993年4月、日本で行われたサッ カー、アメリカワールドカップのアジア1次予選のパンフレット。選手の顔ぶれも懐 かしい。今でも日本代表に呼ばれているのは中山雅史くらいになってしまった。
 間に入っている広告にも時代を感じさせて、いいですねえ。

 3冊を購入後、ロゴスギャラリーを出て、同じフロアのパルコブックセンターをうろ うろする。デザイン系の雑誌や本も多く、渋谷らしい雰囲気を感じる。もちろん、一 般的な書籍の並びも充実しているのだが。
 その後、パルコを出て、南に歩く。東急ハンズブックファーストの渋谷店を覗い たりしながら、駅の南口の方へ。南口のそばに、渋谷古書センターがある。
 ここは俺の知る限り、渋谷駅周辺の唯一の古本屋である(他の店をご存知の方 は是非教えてください)。しかし、なかなかいい本に出会えることもあり、渋谷に来 るとだいたい立ち寄っている。
 まず表の100円均一棚を物色。お、ゆうきまさみ『マジカルルシィ』(1987年,ラ ポート)がある。これは初期作品を集めた短編集で、俺はB6サイズのもの(1995 年,ラポート)を持っているのだが、買ってしまう。収録されているマンガは同じだ が、解説文や一部のカットに違いがあるので。まあ、100円なんだし。そのまま店内 に入る。店は地下1階・地上2階の計3階からなる。
 まずは1階を見る。ここは単行本・文庫本が中心。雑多に本が並んでいる印象を 受けるが、棚を眺めていると意外な本が目にとまったりする。本日はオカシ屋ケン 太『おやつストーリー』(1991年,講談社)を見つけ、先程の『マジカルルシィ』とと もに購入。『おやつストーリー』は、近所のお菓子屋さんで気軽に買えるようなお菓 子についてあれこれ書いたエッセイ集。前に読んだ綱島理友『お菓子帖』(1995 年,朝日文庫)と同じような感じだろうか。
 その後地下へ。地下は美術・デザイン関係の本、写真集などが並ぶ。俺の興味 がある分野とは異なるが、本が詰め込まれた空間が、なんともいえない雰囲気を かもし出している。しかし、本日は地下では購入はなし。
 続いて2階へ。ここが個人的には気に入っています。入口そばにあるマガジンラッ クには、『STUDIO VOICE』『WIRED』などのサブカルチャー雑誌が並び、そこを入 るとすぐ300円均一の棚がある。その奥には、宗教・社会学・哲学などの本が並 ぶ。各社の新書や、岩波・講談社学芸・講談社文芸・ちくま・ちくま学芸・中公など の文庫も充実している。他にも音楽・海外文学・山に関する本・本に関する本の棚 もある。今回は、300円均一棚から『マスコミによく出る 短縮語・略語解読辞 典』(1992年,創拓社) を購入。ちょっと前の古さが面白そう。もちろん、読み物と しての面白さだけでなく実用性もありそうである。まあ、刊行された年が年だけに、 「IT」や「WWW」などの用語は載っていないけれど。
 本当はもっといろいろ見てまわりたかったのだが、体調もあまりよくないので、本 日はこれにて終了。

■11/24
 気温も低く、天気もあまりかんばしくないこの日、俺は再び渋谷の駅に降り立っ た。本日も15日と同じような店を回ろうと思う。今日は、まず渋谷古書センターへ。 しかし、このお店、日曜祝日は1階のみが営業している。ううむ、2階がお気に入り なだけに少し残念。だからというわけではないが、購入はなし。
 そのまま、オンライン古書店顔見せ興行の会場、パルコPart1を目指す。しかし、 日曜日の渋谷はすごい人だ。しかも雨模様で、多くの人が傘をさしているので、歩 きにくいことこの上ない。
 ようやくパルコに到着。本日は杉並北尾堂が一日店長のため、北尾トロさんが店 の奥にいる。まずは北尾さんにあいさつ。その後、各店舗の棚を見て行く。前半と は各店舗が並べている本の傾向も異なり、また特集棚もファッション関係の本・宝 島バックナンバーなど、前半とは異なる品揃え。こうしたイベントや、古書展では、 「ここで買えなかったら二度と買えないかもしれない」という思いが働いて、つい力 が入ってしまう。やはり前回同様1時間近く店内をうろついて、下記の本を購入。
●都筑道夫『死体を無事に消すまで』(1973,晶文社)
 都筑道夫のミステリー論集。結構値は張ったのだが、たしか文庫化されていない はずだし、たぶん掘り出し物として手にする機会(均一棚でひょっこり見つけたりす る可能性など)も少なかろうと思い、思い切って購入。
●戸田覚『あの人の「手帳」が見たい!』(1997,ダイヤモンド社)
 ビジネス書である。しかし、他人の手帳を覗くというのがなんとも気になって購 入。俺は人の部屋や本棚を見るのが好きなのです。それも気取った「よそいき」の ものではなく、日常的な姿を見るのが好きです。我ながらあまりいい趣味ではない と思うけれども、まあ仕方ない。そんな趣味を持った俺にとっては、この本はたまら ないですね。
●山中伊知郎『オヒョイさんになりたい』(1998,風塵社)
 「オヒョイさん」とは俳優・タレントとして活躍する藤村俊二氏。この本はそんなオヒ ョイさんについてのあれこれが語られた本である。この手の俳優さんや芸人さんに ついて書かれたノンフィクションも、俺は好きなのです。
●雑誌『太陽1995年8月号 特集:昭和博物館』(平凡社)
 これは、特集に惹かれて買いました。戦後の様々な風景・モノを紹介している。な んだか、最近こういう本に興味が出てきた。自分が子どもの頃や生まれる前の時 代に、家の中や町にあったものに対して、なんとも懐かしいというか、いとおしいと いうか、そんな思いを抱くようになったのである。

 以上4冊。あまり数は多くないが、個人的にはなかなかいい本を手に入れること が出来て満足である。
 パルコを出て、ブックファースト渋谷店へ。先日はあまりゆっくり見られなかった ので、今日は時間をかけて見てみる。1階は新刊と雑誌のフロア。ここで柳家花緑 『柳家家緑と落語へ行こう』(2002,旬報社)を見つける。落語に興味はあるけれ ど、詳しくはわからないという人に向けて書かれた本、という印象を受ける。資料と しても面白そうだし、気になる落語家である柳家花緑が案内役になっていることも あり、購入。その後、地下の音楽・芸能系のフロアも見るが、ここでは購入はなし。 2階に上がって、文芸書・文庫・新書のフロアへ。ここで、倒産してしまった社会思 想社の現代教養文庫の半額セールを行っているのを見つける。正直なところ、俺 は現代教養文庫を読んだことは、ほとんどない。江戸川乱歩『新版 探偵小説の 「謎」』 (1999年,現代教養文庫)くらいか。まあ、あまりいい読者ではなかったわけ だ。それだけに、なんとなく申し訳ない気持ちと寂しさを感じ、下記2冊を購入。
●M・ガードナー著/市場泰男訳『奇妙な論理T』(1989,現代教養文庫)
●V.N.ブスレンコ著/藤川誠訳編『ロボット君−第一世代から第三世代へ』 (1988,現代教養文庫)
 以上でブックファーストを出る。本日は以上で書店めぐりは終了。

■まとめ
 ということで、渋谷での古本購入日記は(一部古本以外もあるが)、以上です。渋 谷は古本屋は少ないし、人の多さには辟易することもあるが、新刊書店は結構多 いし、なんとなくぶらぶらするのも悪くないかな、と思える。まあ、積極的に行きたい と思う街ではないけれども。
 渋谷について詳しい方は、おすすめの店など教えて下さい。




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