「古本日記」目次へ戻る
2002.10.20(日) 雨の池袋、一人寂しく本を探す俺よ の巻

 まあ色々ありまして、なかば急遽という感じで池袋の古本屋に行ってみようかと 思ったわけです。
 本日の計画は、ちょうど池袋のP´パルコ池袋大古本祭りが開催されていたの で、まずそれを見て、それから池袋駅周辺の古本屋を見てみようかといった感じで す。
 JR山手線で一路池袋駅へ。しかし、ここはいつ来ても迷うなあ。最近は徐々にわ かるようにはなったものの。そもそも俺、東京に生まれ育ったくせに、はじめてひと りで池袋に来たのは二十歳過ぎてからだからなあ・・・。
 などとどうでもいいようなことを思いつつ、まずはP´パルコを目指す。パルコの他 に、P´(ピーダッシュ)パルコなんてものがあるなんて、昨日初めて知ったよ。池袋 パルコのホームページを見ていて、「古本市が開けるような催事場なんか、ねえじ ゃんか」と首をひねっていたくらいだからねえ。
 ・・・なんだか、俺の田舎者ぶりを公開しているだけのような気がしてきた。とにか くP´パルコ八階の会場へ。10月10日〜22日までの開催なので、もう終盤戦であ る。ということで、あまり力を入れずにのんびり歩く。人手も、日曜日のわりにはそ れほど多くないので、ゆっくりと見られる。この古本市は、音楽・映画・アイドル関係 の本が多い。それも大多数は雑誌や写真集である。このあたりのジャンルにはあ まり興味がないので、流すように見て歩く。それ以外は、一般的な文庫や小説、そ れから社会科学や歴史などの硬めの本が並ぶ。個人的には、サブカルチャーの 書籍を期待していたのだが、そうした本は少なかった。雑誌も、サブカルチャーより は音楽・アイドル関係のものが多く、その点は少し残念だった。
 そんなこんなで、井川遥の水着のポスター(これも売り物でした)に見とれたりしな がらも、下記の本を購入。

・とり・みき『遠くへ行きたい』1〜3巻(1997年・1999年,河出書房新社)
 雑誌『テレビブロス』連載の、サイレント9コマ漫画。連載されているものは毎回欠 かさず読んでいるが、なぜか単行本は持っていなかった。現在刊行されている3巻 までのセットが結構安かったので、購入。
・クラフト・エヴィング商會『どこかにいってしまったものたち』(1997年,筑摩 書房)
 クラフト・エヴィング商會は、俺は勝手に「架空創造者」と名付けたい。この本は、 かつては存在したけれど今はない、つまり「どこかにいってしまったものたち」の資 料や断片を集めたもの。立ち読みしただけで、その雰囲気に魅せられてしまい、購 入を決める。

 池袋大古本祭りでは以上二冊を購入。これから、池袋の古本屋を見てまわるこ とにする。
 まずは駅の東口(サンシャインや東急ハンズのある側)に数店がある光芳書店 へ。今回は、K1ブックス・池袋東口本店・池袋東口支店・池袋東口6号店を訪ね た。いずれも、街の古本屋といった感じだが、店によって雰囲気も異なる。

 K1ブックスは、豊島区役所から明治通りをはさんだ向かいの通りを少し入った あたりにある。店頭の均一台は、文庫が4冊まで100円、ノベルスが3冊まで200 円と、なかなかお買い得。しかし、折から降り出した雨のため、外の台にはビニー ルがかけられて本が見えにくい。店の外壁に面した棚は、ひさしがあるのでビニー ルはかかっていないが、棚の前に立つと雨が斜めに降りかかってくる。
 たまらず店の中へ。入ってすぐのところにHな雑誌やビデオが並ぶ。そこを抜け ると、一般書や文庫が並ぶ。ううむ、普通とは逆だろう。なかなか大胆なレイアウト だ。しかし、そのため店内は18歳未満入場禁止になっている模様。18歳未満の 古本マニアは悔しい思いをしているだろう(か?)。一般書の品揃えは文庫本・単 行本ともなかなかそろっているという感じがする。ここでは購入はなかったが、他の 店舗に期待を持たせる棚だった。

 K1ブックスを出て、そのまま明治通りを北東に進む。首都高が上に見えてきた ら、首都高に沿って南下する。ちょうど東急ハンズを目指すような形になる。する と、光芳書店の本店及び支店が見えてくる。といっても、本店が二階、支店が一 階ということらしい。まずは一階の支店へ。
 一般的な古本屋として、一通りのジャンルがそろっているという感じだ。文庫・新 書に始まり、単行本や漫画も並んでいる。特に、レジのそばにある棚は個人的に 好きな芸能・サブカルチャーの本が多く並ぶ。その他、少し硬めの社会科学系の 本も一部並んでいる。ここでは下記四冊を購入。

・別冊宝島346『これで笑え』(1997,宝島社)
 映画・演劇・ビデオなど、あらゆる「笑い」のガイドブック。現在のお笑い芸人に限 らず、色々なところからネタを引っ張ってきているのが面白そうで、購入。
・居作昌果『8時だヨ! 全員集合伝説』(1999年,双葉社)
 「8時だヨ! 全員集合」のプロデューサーによる回顧録。あとがきを読むと、恨 み言らしきものがつらつらと書いてあるのが気になるが、当時あの番組の送り手 側がなにを考えているのか知りたいため購入。ちなみに、「8時だヨ! 全員集合」 がなんのことかわからない方はいないと思うが、かつてザ・ドリフターズ主演ですご い視聴率をたたき出したテレビ番組です。
・梶井純『トキワ荘の時代――寺田ヒロオのまんが道』(1993,筑摩書房)
 トキワ荘についてかかれた本は数多いが、寺田ヒロオを中心にしているのが自 分にとっては珍しく、気になって購入。ちなみに、「トキワ荘ってなに?」という方は いないと思うが、かつて手塚治虫、藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎らが 暮らし、漫画を書いたアパートの名前です。現存はしていません。
・小野博通『サーロインステーキ症候群』(1986年,ちくま文庫)
 「サーロインステーキ症候群ってなんだ?」という方、これは普通だと思いますの でご安心を。著者は外科医。各種の生活習慣病や運動不足による怪我など、体重 の増加が原因でおこる各種症状をサーロインステーキ症候群と名付けているらし い。まあ、この手の話は現実味を帯びた問題として気になるのです。若い女の子 のダイエットブームと違ってね。
 ちなみに著者は、医者であり作家でもあるようだ。

 なかなかの収穫があった。そのまま二階の本店へも入る。ここは、入口で荷物を 預ける。古書展と同じ方式だな。二階はまた趣きが異なる。文庫も絶版のミステリ ーや文学がほとんど。漫画も絶版のものや、マニアックなものが多い。社会科学や 文学などは、一階よりもこちらの方が断然多い。その他、昔の雑誌・写真集なども 並ぶ。なんというか、かなりごちゃごちゃしていて、好き嫌いが分かれそうな雰囲気 がある。俺は、購入する本は見つからなかったが、雰囲気は嫌いではない。

 本店を出て、さらに東急ハンズの方に歩く。ハンズが見えてきたら、その前を通り 過ぎて駅の方に戻るように歩く。はじめの角を左に曲がると、光芳書店池袋東口 6号店が左に見える。ここは、一般漫画と文庫が中心。普通の街の古本屋さんと いった雰囲気だ。ここでも購入はなし。
 ちなみに光芳書店にはもうひとつ、池袋東口公園前支店があるが、今回はここ は訪ねませんでした。

 そのまま駅に戻り、今度は駅の西へ向かう。駅の西口から出て北に1分ほど歩く と、たもかく本の森池袋店がある。商店街の中にぽっとあるので、しっかり探さな いと見逃しますぞ(俺は見逃して迷いました)。
 ここは、福島県にあるたもかく株式会社の店舗である。この会社は「あなたも本 と森を交換します」ということで話題になった。ご存知の方もいるでしょう。そして、 集められた本はこの池袋店と、福島県南会津郡只見町にある本の街で販売され る。そんな壮大な話を思いつつ、店内を見回す。一階は文庫本中心、二階は単行 本中心。いずれも一般的な本が多いが、比較的新しい本も並び、ジャンル分けも 結構しっかりしていて、好感が持てる。
 ・・・残念ながら購入はありませんでしたが。

 ということで、池袋の古本屋めぐりはこれで終わり。なのだが、もうひとつ、池袋と いえば大型の新刊書店が多いことでも知られている。ちょっと挙げただけでも旭屋 書店(東武百貨店7F)・リブロ(西武百貨店書籍館・イルムス館)・パルコブックセン ター(パルコ)・ジュンク堂書店(西口)・芳林堂書店(東口)などなど。これは立ち寄 らないわけには行くまい。今回は比較的近いリブロとジュンク堂へ。

 リブロは数フロアあるのだが、俺が行くのは地下のフロア。雑誌や文庫、文芸書 が中心に並んでいる。ここでは今、書物同人誌「sumus(スムース)」による 『「sumus」が選ぶ秋の文庫・新書100冊』フェアが開催されていた。「食をめぐる本」 「本をめぐる本」など、こだわりのあるラインナップが並んでいた。池袋店と青山店 で11月10日(日)まで行われているので、興味がある方はどうぞ。
 リブロでは文庫コーナーを中心に見るが、購入はなし。上のフロアはビジネス 書、美術書、社会・人文科学書があるのだが、今日はパスする。

 リブロを出て、少し南にいくと、ジュンク堂が見える。ここはとにかく売り場が広 い。地下一階地上九階という世界最大級の規模だ。しかし、全部まわるだけの気 力がないので一階の新刊及び雑誌、三階の文芸書・文庫、地下の漫画売り場を見 るにとどまる。それだけでも、じっくり見ていると一時間近くたってしまう。一フロアで も、普通の書店の一店舗分くらいあるからなあ。色々見たものの、ここでも購入は なし。

 と、いうことで、池袋の古本屋・新刊書店めぐりは終了。池袋は、すごく数が多い わけではないが、新刊書店・古本屋とも粒がそろっています。それ以外にも、買い 物をするには便利な街なので、時々は訪ねるのもよいのではないだろうか。ただ し、店の場所をちゃんと把握していないと、俺のように迷って無駄な時間と体力を 使うことにもなりかねませんので、ご注意を。




「古本日記」目次へ戻る

inserted by FC2 system