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木の葉燃朗の週刊ほんトーク
およそ週刊ペースで、気になる本の小ネタ、最近読んだ・読んでいる本を紹介していきます。
メールマガジンでも配信。
2008年6月
■本の小ネタ
●神奈川近代文学館/(財)神奈川文学振興会|生誕80年 澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン
http://www.kanabun.or.jp/te0159.html
◇会 期 2008年(平成20年) 4月26日(土)〜 6月8日(日)
休館日は月曜日(5/5は開館)
◇開館時間 午前9時30分〜午後5時(入館は4時30分まで)
◇会 場 神奈川近代文学館展示室
●NIKKEI NET(日経ネット):小学館、週刊ヤングサンデー休刊発表
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080530STXKF024130052008.html
単行本などは売れていても、雑誌の売り上げは落ちているらしい。
●小学館コミック -週刊ヤングサンデー-
http://www.youngsunday.com/
●ブックファースト新宿店がモード学園コクーンタワーにオープンします!:Topics | ブックファースト
http://www.book1st.net/blog/topics/index.php#a005508
●マガジンサーチ - トップ
http://magazine.jp.msn.com/
マガジンハウスの雑誌が閲覧可能。現在は「Tarzan」・「Hanako」。全文検索も可能らしいです。
●japan.internet.com Webマーケティング - 雑誌のバックナンバーを無料閲覧、記事検索できる「MSN マガジンサーチ」
http://japan.internet.com/wmnews/20080530/3.html
●MSNで雑誌のバックナンバーの無料閲覧開始:ニュース
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20080529/1003598/
●TSUTAYA、手塚治虫作品の動画/電子コミック配信を開始 - ニュース - nikkei BPnet
http://www.nikkeibp.co.jp/news/it08q2/573202/
デジタルTSUTAYA BOOKSで購入可能。
●コミック、小説、グラビア…携帯で楽しむ電子書籍サイト デジタルTSUTAYA BOOKS - 【TSUTAYA online】ツタヤオンライン
http://dejitb.jp/pc/
■読んだ本
宇都宮 徹壱『股旅フットボール―地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影』(東邦出版) オンライン書店bk1・Amazon.co.jp・楽天ブックス
日本各地でサッカーの地域リーグを取材したノンフィクション。書評は下記のとおり書きました。
混沌として、それゆえ情熱にあふれた日本のアマチュアサッカーの今:宇都宮 徹壱『股旅フットボール―地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影』
http://www.h5.dion.ne.jp/~garakuta/dokusho/a3.html#080527do
*上記の書評を一部編集してオンライン書店bk1に投稿したものが、2008/05/30-2008/06/05の「今週のオススメ書評」に選ばれました。
自分がいいと思った本や面白いと思う本を、自分の書評を通して多少なりとも他の人に知られる助けになれば幸いです。
『ライノクス殺人事件
(創元推理文庫 M マ 8-3)』 フィリップ・マクドナルド 霜島 義明 東京創元社 オンライン書店bk1・楽天ブックス・Amazon.co.jp
久しぶりに推理小説を。1930年の作品。
当座の危機を乗り切れば経営が上向くことが確実なライノクス無限責任会社。しかし、社長のF・X・ベネディックが彼に恨みを持つ男に射殺されてしまう。息子のアンソニーは会社の建て直しに奔走するが、そこに新たな人物が現れて、というストーリー。
最初に「結末」が来て、最後に「発端」があるという、凝った構成。途中で、なんとなくトリックが分かるのだが、それでも面白い。古きよきイギリスの推理小説という感じ。
■読んでいる本
『「ダイヤモンドサッカー」の時代』 JDFA エクスナレッジ Amazon.co.jp・楽天ブックス・オンライン書店bk1
内田百間『御馳走帖』 (中公文庫) Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
■本の小ネタ
●野田昌宏氏=SF作家 おくやみ 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20080606-OYT1T00766.htm
●時事ドットコム:野田昌宏氏死去(テレビプロデューサー、SF作家)
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2008060600808
作家としてはもちろん、私にとってはご本人が出演してSFについて解説された下記の番組も思い出深い。ご冥福をお祈りします。
●SFWJlibrary-199807g:「NHK人間大学 宇宙を空想してきた人々−SF史に見るイメージの変遷」
http://www.sfwj.or.jp/library/1998/07/199807g.html
●asahi_com:漫画の原画なくされ提訴 「金色のガッシュ!!」作者 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0606/TKY200806060301.html
●小学館が人気漫画原画を紛失、著者が賠償求め提訴 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080606-OYT1T00654.htm
この件に関して、漫画家からの意見表明は下記のとおり。小学館のサイトを見てみましたが、この件については掲載されていない。そもそも、上場していないためだろうが、企業からのIR情報が一切ない。
●(株)小学館を提訴。 雷句誠の今日このごろ。-ウェブリブログ
http://88552772.at.webry.info/200806/article_2.html
●Bob Dylan(ボブ・ディラン)が絵本を出版 | doops! - music blog
http://doops.jp/2008/04/bob_dylan_1.html
「Forever Young」を元にしたものとのこと。
●セブン−イレブン、オリジナル書籍「ペーパーバックスK」販売開始。第1弾は「大沢オフィス」所属の3氏・3作
http://itnp.net/category_betsu/20/1437/
宮部みゆき「ステップファザー・ステップ」、京極夏彦「薔薇十字探偵 I 」、大沢在昌「女王陛下のアルバイト探偵」。書店でも販売するとのこと。
■読んだ本
桜
玉吉『おやじ文庫 (ビームコミックス文庫)』 エンターブレイン Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
桜 玉吉さんの、「おやじ」をテーマにした四コマ漫画集。「しあわせのかたち」連載当事に発表されたものが多いが、下ネタあり、いじわるなネタありで、後の「漫玉日記」シリーズに通ずる雰囲気がある。
『「ダイヤモンドサッカー」の時代』 JDFA
エクスナレッジ Amazon.co.jp・楽天ブックス・オンライン書店bk1
第三部のインタビューは、中にはあまり面白みのない内容の方もありました。しかし、第一部の大住良之氏による番組放送当時の日本サッカーの紹介、第二部の岡野俊一郎・金子勝彦氏の対談は読み応えがあった。
内田百間『御馳走帖』
(中公文庫) Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
途中までは頑固さが感じられる文章が多かったが、優しさをしみじみと感じさせる文章もある。お酒の徳利が小さいことから、かつて仕えてくれた給仕を思い出す「一本七勺」とか、汽車での思い出「車窓の稲光り」とか。
■読んでいる本
筒井康隆
『パプリカ (中公文庫)』 中央公論社 Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
以前アニメ映画化されたのを見て、面白かったので買った原作。しばらく未読でしたが、ふと読み始めたらやはり面白い。
他人の夢を映像化できる機械、さらに他人の夢に入り込める機械という道具立ての面白さ、精神科の研究所での派閥争いから生まれる事件のサスペンス、千葉敦子=パプリカを中心とした登場人物の魅力、など、色々な要素が組み合っている。
■本の小ネタ
●新鮮な中吊り広告をデスクトップにお届け|今日のナカツリ
http://nakatree.jp/
ブログパーツ、またはデスクトップのガジェットとして。
●東大 柴田教授が責任編集 こだわりの文芸誌、創刊にいたるまで - 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080604/1013906/
『monkey business』について。
『モンキー
ビジネス2008 Spring vol.1 野球号』 柴田元幸 ヴィレッジブックス Amazon.co.jp
●小学館と小プロがアマチュアコンテンツ投稿サイトを開設 マンガ投稿は6月19日からスタート - 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080604/1013974/
ケータイ小説のような広まりを、マンガ・イラスト・音楽など他ジャンルにも当てはめようという目論見があるらしい。
●みんなの知恵蔵 - ニュース、時事問題がわかる事典サイト
http://chiezou.jp/
●ECナビと朝日新聞など、現代用語の無料解説サイト「みんなの知恵蔵」 - ニュース - nikkei BPnet
http://www.nikkeibp.co.jp/news/it08q2/574710/
良くも悪くも、コントロールされたWikipediaという感じ。今後は実名での用語編集も予定しているようです。
●旺文社がヤフー内で全国一斉模試を実施。受験料無料、広告で収益
http://itnp.net/category_betsu/20/1470/
●講談社「KING」「Style」9月発売号で休刊 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20080614-OYT1T00091.htm
よくよく考えると、私は今回のニュースまで、講談社の『キング』よりもかつて少年画報社から出ていた『少年キング』(「少年ヤング」じゃないぞ)のからの連想で、マンガ雑誌だと思っていた。それに、書店でもあまり見かけなかった記憶がある。
『KING
(キング) 2008年 06月号 [雑誌]』 講談社 Amazon.co.jp
■読んだ本
たかぎなおこ『浮き草デイズ
1 (1)』 文藝春秋 Amazon.co.jp
イラストレーター、マンガ家の著者が、そのキャリアをスタートした時期を振り返ったエッセイマンガ。絵はのんびりした雰囲気だけれど、状況は結構厳しい。コネクションや仕事はない状態で、夢をかなえるために東京へ上京し、アルバイトをしながら絵を描く生活。
しかし、成功するだけの芯の強さがあるんだろうなあと思わされる。
友沢ミミヨ『まめおやこ』 長崎出版
オンライン書店bk1・Amazon.co.jp
マンガ家の著者による子育て四コマ。『テレビブロス』に連載されているマンガです。絵柄はなんとなくガロ系だし、表紙の色使いもサイケデリックですが、内容は親子の実話をネタにしているようで、ほのぼのしている。
「まめおやじ」というのがお子さんなのだが、実は女の子。そう思って読むと、また面白い。
益田
ミリ『すーちゃん』 幻冬舎 Amazon.co.jp
30代、独身で、決してお金持ちではない女性、「すーちゃん」を主人公にしたマンガ。絵はゆるい感じなのだが、登場する話は結構切実。女性にとっての結婚やお金、自分の将来についての問題・悩みが綴られる。
これは、今30代の人にとっては男女を問わず切実な問題なのではないかと思う。もちろん、女性には女性の、男性には男性の特有の悩みもあるのだと思うけれど。
高岡
永生(絵)・綱本 将也(原作)『Goal Den Age 1 (1)』 講談社 Amazon.co.jp
高岡
永生(絵) 綱本 将也(原作)『Goal Den Age 2 (2) (少年マガジンコミックス)』 講談社 Amazon.co.jp
高岡
永生(絵) 綱本 将也(原作)『Goal Den Age 3 (3) (少年マガジンコミックス)』 講談社 Amazon.co.jp
サッカーのユース年代をテーマにしたマンガ。原作者の方は、『U-31』や『GIANT KILLING』と同じ方です。
『U-31』や『GIANT KILLING』に比べると、戦術やシステムなどについての話は抑えられている印象。でも、ある部分にとんがった能力を持つ選手の魅力や、サッカーへの情熱は、強く感じる。
それから、Jリーグやワールドカップを通過した、21世紀のサッカーマンガという印象もある。『キャプテン翼』の、いかにもマンガらしい面白さ(あれはあれで魅力だと思うのです。私も好きだったし)とは違った、現実のサッカーと地続きになっている面白さがある。
■読んでいる本
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(伊藤典夫:訳)『故郷から10000光年』(ハヤカワ文庫SF) オンライン書店bk1・楽天ブックス・Amazon.co.jp
なんとなく、J.ティプトリー・ジュニアが読みたくなって、買ったまま未読だったこの短編集を。
途中まで読んでいる限りでは、宇宙や性別がテーマになっている話が多い。それから、地球外の未知の生物と、地球の人間の関係が、地球内での人種間・民族間の差別、支配・被支配の歴史を連想させる。
筒井康隆
『パプリカ (中公文庫)』 中央公論社 Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
あと本当にちょっとというところで、読むのを中断している。
■本の小ネタ
●株式会社小学館集英社プロダクション発足|小学館集英社プロダクション
http://www.shopro.co.jp/news/080617/1.html
●小学館と集英社、キャラクター/コンテンツ事業で共同出資会社を発足 - ニュース - nikkei BPnet
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q2/575350/
こういう事業は、一社だけでは厳しいということなんですかね。
●秋に史上最大の売場面積のヴィレッジヴァンガードができるそうです。
イオン越谷レイクタウン店。550坪。下記のとおりスタッフを募集しています。
アルバイト情報 ヴィレッジヴァンガード 通販できる雑貨屋
http://vgvd.jp/vv/html/backroom/recruit/recruit.htm
■読んだ本
筒井康隆 『パプリカ (中公文庫)』 中央公論社 Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
■読んでいる本
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(伊藤典夫:訳)『故郷から10000光年』(ハヤカワ文庫SF) オンライン書店bk1・楽天ブックス・Amazon.co.jp
「苦痛志向」や、服の中に女の子が住み、タンスと戦う男が登場する「ドアたちがあいさつする男」のシュールさも面白い。
「苦痛志向」は、吾妻ひでお先生のマンガのようなシュールな絵が想像される。
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■本の小ネタ
●文学作品を学習教材に無断掲載、役員男性を逮捕〜ACCS が報告 - japan.internet.com Webテクノロジー
http://japan.internet.com/webtech/20080624/3.html
「家庭用学習教材計19冊を、東京都の女性をはじめとした7人の客に対し、計357万4,000円で販売していた」(上記記事より)らしい。
ということはひとりあたり約50万円だし、1冊あたりでも約19万円ということになる(それぞれ、357万4千円を7と19で割ると)。かなりの金額です。
下のページでは、会社名なども分かるので、会社のサイトを読んでみました。学習用パソコンソフトも販売しているので、このソフトの価格なのかもしれない(だとしても高額だと思うが)。
●お知らせ -JVCA 日本ビジュアル著作権協会:文藝作品の無断使用で大阪府警南警察署が学習教材製作出版会社社長を逮捕(平成20年6月23日)
http://www.jvca.gr.jp/oshirase/oshirase6.html
●X BRAND Presented by Yahoo! JAPAN
http://xbrand.yahoo.co.jp/
●ヤフー、雑誌20タイトルからコンテンツを掲載するサービス開始:ニュース
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20080623/1005371/
雑誌の記事をまとめたサイト。「おっしゃれー」な雑誌が多いですけれどね。
■読んだ本
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア(伊藤典夫:訳)『故郷から10000光年』(ハヤカワ文庫SF) オンライン書店bk1・楽天ブックス・Amazon.co.jp
J.ティプトリー・ジュニアの第一作品集。これまでも何冊か短編集を読んでいるのだが、それらの収録作とはやや雰囲気が違うことを感じた。例えば、ティプトリーの作品としては珍しく感じたタイム・トリップものの「ハドソン・ベイ毛布よ永遠に」。しかも、そのトリップのルールに意外性があり、これがラストシーンにうまくつながる。
それから、ティプトリーの小説には「やや難解。しかし面白い」ものが多いという印象を持っていた。しかし、この本の中には、もっと純粋にエンタテインメントとして楽しめる短編もある。それぞれ、各惑星の動物がスピードを競うレース場と、他惑星への物品輸送のチェックを行うセンターを舞台に、異文化のぶつかり合いとユーモラスでスピーディに描いた「われなりに、テラよ、奉じるはきみだけ」と「セールスマンの誕生」などは、、これまでティプトリーに抱いていたイメージとはずいぶんと異なる。
しかしこれらの作品の中にも、ティプトリーらしいシリアスさは見えるし、地球の中での人種、文明、文化のギャップを、地球人と宇宙人のそれに置き換えた「愛しのママよ帰れ」、「ピューパはなんでも知っている」、「スイミング・プールが干上がるころ待ってるぜ」などは、SF小説らしい小説。
こうしてみると、後のティプトリーの作品にも見える特徴から、初期の作品独特の特徴まで、J.ティプトリー・ジュニアという作家の持つ引き出しの多さと奥深さを感じさせてくれる短編集だった。
長嶋
有『ぼくは落ち着きがない』 光文社 オンライン書店bk1・Amazon.co.jp・楽天ブックス
高校の図書部員を中心に、学校の面々に起こる出来事を描いた小説。
まず、部室という場の面白さがある。しかも図書部室は、図書室内の一部をベニヤ板で区切ったという、外部との境があるようなないような不思議な空間で、それが様々な出来事を起こす。
それから、元は月刊連載されたためか、途中から物語の雰囲気が変わってくる面白さも感じた。はじめは、良くも悪くものほほんとして、だらだらとした空気が漂うのだが、途中で急に小説の世界の動きが加速していく。このライブ感は、連載中にリアルタイムで読んでいたらもっと感じられただろうという気がする。例えるなら、伝説的コンサートのライブ盤CDを聴いた時の気持ちに近い。
また、小説が何重もの構造になって、物語の目線が上下に移動する感覚も、長嶋氏の小説であまり感じたことがなかったので新鮮だった。
それから、最後で小説の世界が閉じていないのも、私にとっては嬉しかった。もちろん、最後にどんでん返しがある小説も、うまくまとまって終わる小説も、私は好きです。でもこの小説は、ラストの閉じていない感じ(開放感、とは違う)が好ましく感じた。
もちろん、長嶋氏の小説の魅力である、細かな場面やセリフの面白さも充分に堪能できた。
■読んでいる本
武満
徹(小沼 純一:編)『武満徹対談選―仕事の夢 夢の仕事 (ちくま学芸文庫 タ 26-1)』筑摩書房 Amazon.co.jp・オンライン書店bk1・楽天ブックス
武満徹の対談をまとめた本。最初が、テレビ番組『徹子の部屋』での会話をテキストにしたもの、というのが、親しみやすかった。
「木の葉燃朗のがらくた書斎」トップ>>木の葉燃朗の週刊ほんトーク>>2008年6月