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木の葉燃朗の週刊ほんトーク

およそ週刊ペースで、気になる本の小ネタ、最近読んだ・読んでいる本を紹介していきます。
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2008年2月

2008年2月3日号

■本の小ネタ

ちくま学芸文庫 復刊投票2007 結果発表
http://www.chikumashobo.co.jp/special/gakugeifukkan/

 『南方熊楠随筆集』が個人的には気になる。

東急ハンズ銀座店、書籍を生活シーンで分類する新タイプの書店を3月オープン - 日経トレンディネット http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20080130/1006561/
 書籍コーナーって感じですかね。

・全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 本屋大賞
http://www.hontai.jp/

 ノミネート作品を見る限り、もはや、「売り場からベストセラーをつくる!」という考えはなさそうです。bk1のノミネート作品紹介ページ

・デアゴスティーニ、"昭和"から"平成"まで、仮面ライダーの完全データファイル - 日経トレンディネット
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20080128/1006514/

 分冊百科って、どこまで得なのか。最後まで買ったら、結構な金額になるし。なんとなく、創刊号を売り逃げることが目的のような気もしないでもない。

・Flashで、ネット上に自費出版物を制作 [パズ] | 東京IT新聞
http://itnp.net/category_betsu/69/914/

 自費出版で書籍刊行の垣根が低くなることは是なのか否なのか。

■読んだ本

福助 1 (1) (モーニングKC)伊藤 静 『福助 1 (1) (モーニングKC)』(2007年4月、講談社):Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
福助 2 (2) (モーニングKC)伊藤 静 『福助 2 (2) (モーニングKC)』(2007年11月、講談社):Amazon.co.jp楽天ブックスオンライン書店bk1
 近くにいる人間を幸福にしながら成長する福助と、その周囲の人々を描くマンガ。ファンタジーでもあり、サスペンス風の展開もある。
 人はどう生きるか、という、結構大きなテーマもあるのだが、しっかりと描かれているし、話としてもまとまっている。ただ、色々なテーマが詰め込まれていて、急ぎ足の感じ。もっと長く続けば世界観がより深く描かれただろうなあと思う。連載時の状況は分からないのだが、その点はちょっと惜しいと。
 なお全二巻ですが、各巻で完結しています(一巻と二巻の内容は、少し間を空けて、別の時期に連載された部分のようです)。

不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ (ハヤカワ文庫SF)パトリック オリアリー・中原 尚哉『不在の鳥は霧の彼方へ飛ぶ』 (2003年、ハヤカワ文庫SF):Amazon.co.jp楽天ブックスオンライン書店bk1
 実は扱っている問題は、結構個人的なことなのだが、その舞台がえらく壮大。この大風呂敷の広げっぷりは、たしかにディックっぽい。

結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日益田 ミリ『結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日』(2008/01、幻冬舎):Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 感想をアップしました(↓)。
http://www.h5.dion.ne.jp/~garakuta/dokusho/m.html#080131do

■読んでいる本

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)武田 泰淳『十三妹(シイサンメイ)』 (2002年、中公文庫):Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 清の時代の中国を舞台にした小説。とはいえ、その時代についての知識のない私が読んでも、十分面白い。文官の元に嫁いだ、武術に優れた謎の女性が主人公。細かなエピソードが少しずつ登場して、続きが読みたくなる。


週刊ほんトーク(2008.02.10号)

■本の小ネタ

大ヒットの広辞苑第六版が、議論の末に掲載を見送っていたある言葉 - 日経トレンディネット http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080130/1006612/

朝日、時事、日刊工の3社、記事DB検索サービス「キジサク」を開始へ - ニュース - nikkei BPnet http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q1/560642/
 もちろん有料ですけれど。

DragonSource Japan - 2,000+ Chinese Magazine Online http://www.dragonsource.jp/
「ドラゴンソース」日本上陸 | 東京IT新聞 http://itnp.net/category_betsu/70/945/

 中国の雑誌をオンラインで読めるサービス(有料です)。個人で日本でどのくらいの需要があるかは未知数ですが(企業は考えられるけれど)。

■読んだ本

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)武田 泰淳『十三妹(シイサンメイ)』 (2002年、中公文庫):Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 中国宋代前期の『三侠五義』、清代後期の『児女英雄伝』、『儒林外史』という古典文学からそれぞれ主人公とテーマを借り、ひとつの小説にまとめたもの。
 最初は、実は山田風太郎の時代小説のような奇想天外な物語を予想して読んでいた。しかし実際は、あまり派手ではなく、もっと当時の中国の実情にあわせた物語になっている。それでも、色々なエピソードを積み重ねて描かれる物語は面白かった(奇譚集のようなエピソードも中には登場する)。

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)岡本 太郎 『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか』 (1993年、青春文庫):Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 無難ではなく難を選ぶことの困難さと大切さを感じる。そして、それは自分の弱さや甘えと戦うことになる。やりたいことをやりたいようにやるのは、実は非常に難しい。しかし、それができると本当の意味で生き生きとしてくる。
 私は、読んでいて気持ちが盛り上がるというよりも、「大変だなあ」とちょっと足がすくんでしまう感じになった。年を取ってしまったか、俺よ。

ラスト.ワルツ―Secret story tour島田 虎之介『ラスト.ワルツ―Secret story tour』(2002年、青林工芸舎):Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 島田 虎之介氏のデビュー作。最初は「あ、短編集なんだ」と思い、途中で「あ、連作短編集なんだ」と思い直し、最後に「あ! ひとつの物語なんだ!」と思うという、そんなマンガ。 「今はどこかに行ってしまった人たち」への愛情を感じる。

チョコレート・デリンジャー吾妻 ひでお『チョコレート・デリンジャー』(2008年、青林工藝舎):Amazon.co.jp で詳細を見るオンライン書店bk1楽天ブックス
 1980年代の作品が、実写映画化を記念して復刊。美少女探偵チョコレート・サンデーと、弟子の三蔵さんが、毎回皿漫田警察の砂苦刑事を巻き込んで事件を解決(?)する。と書くと普通のギャグマンガっぽく感じるかもしれませんが、書き下ろしあとがきにあるように、「起」のコマから「承」・「転」を飛ばして「結」のコマに飛ぶような展開。
 でも、意外(でもないか)と面白く読める。舞台設定がオーソドックスにされていて、「キャラ立ち」しているので、話の内容が不条理ギャグでも面白く読める。

吾妻 ひでお『ぶらっとバニー 1 (1) (リュウコミックス)』 (2008/01/19、徳間書店) オンライン書店bk1楽天ブックスAmazon.co.jp
吾妻 ひでお『ぶらっとバニー 2 (2) (リュウコミックス)』 (2008/01/19、徳間書店) オンライン書店bk1楽天ブックスAmazon.co.jp
 こちらも1979年〜1982年にかけて雑誌掲載された作品の復刊。
 人間の妄想を引き出すことのできるウサギ「バニー」と「ブラック」が、毎回色々な人物の妄想を引っ張り出して騒動に、という一話完結のマンガ。毎回毎回ちゃんとオチがつく。
 なお、1巻には「バルバラ異聞」(2007年)と「不条理日記2006」(2006年)、2巻には松久由宇氏との対談(活字)と松久氏による高校時代の回想マンガ(磨湖丈一名義)も掲載されています。

■読んでいる本

 「タイムトンネルシリーズVol.25 葛西薫 1968」
 葛西薫氏へのインタビューをまとめた冊子。クリエイションギャラリーG8とガーディアン・ガーデンで行なわれた展覧会に伴い作成されたもの。

志村 けん『変なおじさんリタ〜ンズ』(2000年、日経BP社) Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 前に古本で買って、そのまま本棚に眠っていた本。今風呂に入るときにちょっとずつ読んでいます。
 打ち切られたテレビ番組について、開始当初と終了時でスタッフ側の番組への認識が異なることに異を唱えているなど、結構率直に書いていて、笑いに対する真摯な姿勢を感じる。


週刊ほんトーク(2008.02.17号)

■本の小ネタ

●西荻ブックマークお知らせ | 西荻ブックマーク今後の予定!
http://n-bookmark.jugem.jp/?eid=77

・4月20日(日)・・・第21回 ブルボン小林 『ブルボン小林がなんかします!!(仮)』
・5月18日?(日)・・・第22回 滝本誠 『ぼくが好きな外国の変わった本と映画たち(仮)』
・6月8日(日)・・・第23回 斎藤直子 『「世田谷文学館」のこと』
 どれも気になるなあ。

●ランダムハウス、書籍を章別にオンラインでテスト販売へ--WSJ報道:ニュース - CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20367008,00.htm

 「読者の需要を判断するために人気書籍の個別の章を試験的に販売する計画である」とのこと。たぶん、データではなく本そのものの販売ではないかと思います。

■読んだ本

 「タイムトンネルシリーズVol.25 葛西薫 1968」
 葛西薫氏へのインタビューをまとめた冊子。クリエイションギャラリーG8とガーディアン・ガーデンで行なわれた展覧会に伴い作成されたもの。

志村 けん『変なおじさんリタ〜ンズ』(2000年、日経BP社) Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 仕事で、荒井注さんと二人でブラジルへ行くことになったときの思い出が、まさに珍道中という感じで面白かった。
 それから、志村さんは仕事にこだわりがある。それを強く感じた。

■読んでいる本

哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- (講談社学術文庫 1855)山川 偉也『哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- 』(2008年、講談社学術文庫 1855)
Amazon.co.jp で詳細を見るオンライン書店bk1楽天ブックス
 古代ギリシアの哲学者ディオゲネスについての本。残っている資料が、虚実混じっている人物なので(古代ギリシアの人物となると多くがそうか)、その中から実像を明らかにしていく。
 今は、哲学者となる前のディオゲネスについて調べている部分を読んでいる。

・国枝 史郎 『神州纐纈城』(講談社大衆文学館)
 戦国時代(武田信玄が治めていた頃)の信州が舞台。信玄に使えていた武士の土屋庄三郎が、ある日手に入れた紅布に導かれるように、本栖湖にある纐纈城へと向かう。庄三郎を追う者もあり、彼らと出会う人々もあり、と話が進んでいく。
 なお、今は河出文庫版が手に入りやすいようです。
Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス

泉 麻人『電脳広辞園』(アスキー
Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 色々な単語をネットで検索して、どんなサイトが出てくるかをネタにしたコラム。2000年〜2002年に『週刊アスキー』に連載されたものだが、既に懐かしい。検索するのが、yahoo!にインフォシークにライコスというのが、時代を感じる。googleのグの字も出てこない。また、サイトやページの数が少なくて、比較的面白いサイトが引っかかりやすい時代でもあったんだろうなあ。今は、ある単語について書いたサイトだけでなく、そのサイトについて言及したサイトやブログ、サイトのオンラインブックマーク、サイトを機械的に引用したページ(アフィリエイト目的の中身のないサイト)など、余計なものまで見つかってしまう。また検索の精度が高まったことで、表記のゆれや本来とは違う意味で結果に出てくるサイト(「たきび」で検索して「お腰につけたきびだんご」が表示されたり)も少ないだろう。それから出てくるサイトは、多くがテキストのみ(あるいはプラス写真)の模様。音楽や動画は少ない。なにしろまだ常時接続もブロードバンドも普及していなかったのだから。
 そういう意味では、当時を感じさせる本だ。


週刊ほんトーク(2008.02.24号)

■本の小ネタ

・表紙の色を変えてしまった角川SSC新書
 先日書店で高原直泰『病とフットボール』(角川SSC新書)を見たら、表紙の色が水色から赤に変わっていました。高原選手が浦和レッズに移籍したことを受けて、重版のタイミングで色を変えた模様。
 角川SSC新書は、表紙のデザインはどの本も同じだった。が、この本だけ中央の色を赤にしてしまった。その方が、書店でレッズ関連の本と一緒に並べ易いし、売れるのかもしれないけれど、新書というシリーズに対するこだわりやポリシーはないんだろうな。
 だって表紙のデザインを統一している新書ではちょっと考えられないからね(中公新書の緑や岩波新書の赤を重版のタイミングで別の色にすることは想像できない)。

・「なめると味がする広告」、米雑誌に掲載中 | WIRED VISION
http://wiredvision.jp/news/200802/2008022119.html

・ブックファーストレミィ五反田店がオープンします! :Topics | ブックファースト
http://www.book1st.net/blog/topics/index.php#a004952

 レミィ五反田は新しくオープンする商業施設。五反田の古書展(古本市。最近行っていないなあ)に行った帰りに寄れそうです。レミィ五反田自体が女性向けを打ち出していて、ブックファーストもそのコンセプトに沿っているようですが。

・Japan.internet.com E-コマース - 富士山マガジンサービス、3月4日を「雑誌の日」に制定
http://japan.internet.com/ecnews/20080222/5.htm

 雑誌週間というのもあった記憶が。

■読んだ本

・国枝 史郎 『神州纐纈城』(講談社大衆文学館)
河出文庫版:Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 いやあ、非常にいいところで未完で終わってしまう。読んでいる途中がものすごく面白いだけに、これはなんとも残念。
 武田信玄が治めていた頃の信州が舞台。信玄や塚原卜伝などの実在の人物と、架空の人物が、物語の中で中心人物を変えながら話が進む。元は雑誌に連載されたものとのことで、それぞれの話に山場があり、次々と読みたくなる。
 だけど未完というのが残念。

いしい ひさいち『バイトくん 7 バイトくん純情す』(双葉文庫 い 17-34 ひさいち文庫)
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■読んでいる本

植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」戸井 十月『植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」』 (2007/12、小学館)Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 植木等氏へのインタビューを元にまとめられた植木氏の評伝。
 まず初めが、植木氏の父のエピソードなのだが、この父上もかなり独特な人だったらしい。大正から昭和戦前にかけて、キリスト教の洗礼を受けた身で僧侶になり、しかも社会運動にも関わったという。
 印象的だったのは、植木氏が「スーダラ節」を歌うことになったが、自分は歌いたくないということで悩んでいた時のエピソード。父上の前で「こんな歌を歌うことになった」と歌ったら、「その歌はヒットする」と断言したらしい。「わかっちゃいるけど、やめられない」という歌詞が素晴らしくそれは親鸞の教えにも通ずると。

哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- (講談社学術文庫 1855)山川 偉也『哲学者ディオゲネス -世界市民の原像- 』(2008年、講談社学術文庫 1855)
Amazon.co.jp で詳細を見るオンライン書店bk1楽天ブックス
 読み進めていくと、他人のエピソードに書かれたのではなく、実在したディオゲネスがいったいどういう人物だったのか、そしてディオゲネスに言及したプラトンやアレクサンドロスがどういう人物だったのか、少しずつ明確になっていく。
 ディオゲネスが、獣のように市民から蔑まれながら、同時に神のように市民の考えが及ばない存在に位置付けられている点は、やはり道化やトリックスターに通ずる部分がある。私がディオゲネスに興味を惹かれるのは、こういう部分が理由なのかもしれない。

泉 麻人『電脳広辞園』(アスキー)Amazon.co.jpオンライン書店bk1楽天ブックス
 色々な単語をネットで検索して、どんなサイトが出てくるかをネタにしたコラム。
 泉氏が、良くも悪くもネットに疎いのがよく分かる。「掲示板方式の情報交換サイト」がじつは2ちゃんねるのいちスレッドだったり(編集部の注のURLでそれと分かった)。泉氏は2ちゃんねるには言及していないし、おそらくいちスレッドであることもご存知なかったのだろう。
 あまりネットに詳しくない人たちのネットの見方が感じられて、紹介されているサイトよりもその見方の方が面白い。


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