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木の葉燃朗の週刊ほんトーク

タイトルどおり、およそ週刊ペースで 本に関するあれこれの情報を紹介しようと思います。基本的には、自分のブログ(木の葉燃朗の「本と音楽の日々」)に 掲載したものの再録ですが、 ブログに載せきれなかった小ネタなども あわせて紹介していきます。


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2007年5月号

  ほんトークは、月刊のペースになりそうです。その月の本の話題を、翌月に掲載するという感じで。


■表参道の「NADiff(ナディッフ)」がビル解体に伴い閉店(系列店はこれまで通り営業)

 表参道にあるアート・デザインの書籍やCD・グッズを扱うNADiff(ナディッフ)、入っているビルの解体に伴い、5月末にて閉店となりました。
 ただし、NADiffの建物自体の都合なので、他の店舗はこれまでどおり営業を続けるとのこと。また、NADiffに代わる新店舗も計画されているようです(詳しくは下のInformationで)。

NADiff
NADiff Information

表参道のアートショップ「NADiff(ナディッフ)」は、入居いたしておりますビル「カソレール原宿」の解体計画に伴い、5月末日をもって閉店させていただくことになりました
 (中略)
尚、「NADiff(ナディッフ)」に代わる新中核店舗は年内開店を目指し、鋭意準備中でございます。都内4店舗、地方3店舗の弊社系列店は今後も変わらず営業いたします。
(上記より引用)

■雑誌『LIFE』について思うこと(文章・音楽・映像などにお金を払うということ)

 完全に時期を逸していますが、一応書いておきたいと思ったので紹介します。
 アメリカの写真雑誌『LIFE』、廃刊となりました。

PatioTalk: 「LIFE」誌、2度目の終刊
MarkeZine:◎写真誌「LIFE」が廃刊、1000万点の写真コレクション無料公開にブロガーから賞賛の声
Life.com(英語)

 私はほとんど馴染みが無いので(誌名は知っていますが)、上記記事を参考にまとめます。
 『LIFE』は1936年にアメリカで週刊誌として創刊。1972年に一旦休刊し、以後1978年から2000年までは月刊誌として発行。2004年からは新聞へ折込のフリーペーパーとして発行されたが、2007年4月で廃刊とのこと。

 以降はwebサイト(Life.com)で、未公開のものを含み、保有する写真1000万点をアーカイブとして閲覧可能とするようです。
 「このアーカイブの写真は、個人利用の場合は無料となるようだ。この英断に、ブロガーから歓迎の声があがっている」(MarkeZine記事より)らしいです。私は英語のブログは読めませんが、日本のブログでも「(写真の公開は)素晴らしい」といったエントリを書かれている方もいるようです。
 でも、私は釈然としない。うまくまとめられないのだけれど。

 これまで有料で発行されていた雑誌が規模の縮小を重ねて休刊し、(おそらく)広告収入を頼りにフリーペーパーとして存続したけれど、それもダメで廃刊して、保有していたデータが一般公開されることに「素晴らしい」というのは、ちょっと無邪気すぎるような気がする。
 うまい例が思いつかないのだけれど、例えば好きなミュージシャンのCDの売上が芳しくなくなって、メジャーレーベルから自主制作のCD-Rの販売に変更しても音楽活動を続けて、それでも活動を続けるのが難しくなって、音楽活動は廃業して、これまでの楽曲をサイトからすべてmp3ファイルで無償ダウンロードできるようにします、となって、「素晴らしい」と賞賛されるのを見るような気持ちとでも言おうか。

 インターネットによって、合法・非合法はあれど、文章・音楽・映像などが、お金を払わなくても手に入るようになってきた。実際は広告収入があったり、無償の提供をきっかけにお金を払う(試聴してからCDを買う、など)こともあるわけですが。
 お金を払わなくても手に入るというのは、一面ではいいこともあると思うけれど、一方でいくらでも「ずる」ができるようにも思えて、私は必ずしも手放しでは賞賛できない。
 例えばYouTubeで音楽や映像が見聞きできるから、CDやDVDを買わないというのは、私は嫌です。好きな物・人には、応援する意味でも今後活動を続けてもらう足しにする意味でも、お金を払いたい。
 これについては、応援する意味でお金を払うことは「金で解決」という感じで、汚いとか良くないように思う人もいるかもしれない。でも、額は小さいながら「パトロン」だと思えば、別に悪いことではない。

 かなり話がずれましたが、『LIFE』廃刊とそれをめぐる発言を読んでいて、そんなことを感じました。

■長嶋有氏の『夕子ちゃんの近道』が、第一回大江健三郎賞を受賞!

 大江健三郎氏がひとりで選考委員を務め、賞金がない代わりに受賞作を英語(またはフランス語・ドイツ語)に翻訳して出版する「大江健三郎賞」の第一回受賞作に、長嶋有『夕子ちゃんの近道』が選ばれました。

 大江氏と長嶋氏の小説が結びつかないので(大江氏の小説はちゃんと読んだことがない……)やや意外でしたが、長嶋氏のファンとしてはうれしい。

 読売新聞の「顔」欄という、その日の話題の人物の紹介記事で受賞を知ったのだが、長嶋氏のりりしい顔と氏の着ているかわいいTシャツ、そして「ミーハーにヤッター」という見出しに、はじめなにが起こったのか分からなかった。
 ちなみに「ミーハーにヤッター」というのは、受賞にあたっての長嶋氏のコメント中の言葉。これ、長嶋氏の本のタイトルでも違和感がないくらい「ぐっとくる」タイトルだと思う。

第1回大江健三郎賞を受賞 長嶋 有(ながしまゆう)さん 34 出版トピック 本よみうり堂 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
大江健三郎賞に長嶋有さん決定 出版トピック 本よみうり堂 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
大江健三郎賞 講談社「おもしろくて、ためになる」出版を

 5月18日には、受賞を記念して大江氏と長嶋氏の公開対談も行われるとのこと。私も聴いてみたいので、申し込みました(当選するかなあ *)。
 そんな長嶋氏の新刊は、短編集『エロマンガ島の三人』。なんてナイスなタイミングなんだ。「第一回大江健三郎賞受賞」の帯付きの『夕子ちゃんの近道』とともに書店の棚に並ぶことを想像すると笑ってしまう。

*ありがたいことに当選しました。当日の模様は、■第一回大江健三郎賞記念対談(大江健三郎・長嶋有)に行ってきました (2007.05.18@講談社)に書きました。

■オンライン書店bk1で、書評フェア「戦後マンガ史を学ぶ」掲載

 オンライン書店bk1(ビーケーワン)で、「戦後マンガ史を学ぶ」という書評フェアを開催しています。

オンライン書店bk1>>書評ポータル>>書評フェア>>戦後マンガ史を学ぶ


 私が以前投稿した『謎のマンガ家・酒井七馬伝』と『ドラえもん学』の感想文も取り上げてもらっています(ありがとうございました)。

 夏目房之介氏の著作他、マンガ研究書、マンガ家・編集者の回想録などが紹介されています。興味のある方は上のリンクからご覧ください。

ドラえもん学 (PHP新書)
横山 泰行著
(bk1)

税込価格 : \735 (本体 : \700)
出版 : PHP研究所
サイズ : 新書 / 205p
ISBN : 4-569-64215-2
発行年月 : 2005.5

謎のマンガ家・酒井七馬伝 「新宝島」伝説の光と影
中野 晴行著
(bk1)

税込価格 : \1,995 (本体 : \1,900)
出版 : 筑摩書房
サイズ : 四六判 / 255p
ISBN : 4-480-88805-5
発行年月 : 2007.2
「マンガ史に名を残す手塚治虫の単行本デビュー作「新宝島」。そのもうひとりの作者・酒井七馬。手塚神話の陰で、餓死したとまで噂される謎のマンガ家の知られざる生涯と、「新宝島」誕生の裏側へと迫る」(オンライン書店bk1の紹介文)


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