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木の葉燃朗の週刊ほんトーク

タイトルどおり、およそ週刊ペースで 本に関するあれこれの情報を紹介しようと思います。基本的には、自分のブログ(木の葉燃朗の「本と音楽の日々」)に 掲載したものの再録ですが、 ブログに載せきれなかった小ネタなども あわせて紹介していきます。


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2007年4月号

 4月はなかなか掲載できなかったので、いっそのこと「(今月だけ)月刊ほんとーく」とさせてください。

■いい香りのする本屋
■夏目漱石の話芸のうまさは、講演録を読むとよく分かる
■神田神保町に寄席と映画館を新設する計画
■『文藝春秋』が過去の記事への投票を受け付け、上位に来た記事はwebで公開の可能性も
■筑摩書房のサイトで、「新人のキミへ」として本を紹介
■(訃報)カート・ヴォネガット(ボネガット)
■『2007年本屋大賞』、発表されていましたね。

■いい香りのする本屋

 日本出版販売株式会社(日販)が、書店に香りを流す試みを実験的に行なっています。

日本出版販売株式会社>>ニュースリリース>>書店をアロマで香る空間に

■プロモーション実験詳細
□実施店舗
*有隣堂ランドマークプラザ店
 (神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1-2 ランドマークプラザ5階)
*リブロ青山店(東京都港区北青山2-12-16 北青山吉川ビル地下1階)

□実験期間
2007年2月24日(土)〜4月30日(月)まで

□プロモーション内容
空調機に「香り玉」を設置し、自然気化した天然精油の成分を店内に拡散させ、微香空間を演出する

□香り玉の種類
*有隣堂ランドマークプラザ店:「ハーブの香り」
*リブロ青山店:「ハーブの香り」と「金沢の香り(※)」 ※梅をベースにブレンドした香り

(上記ニュースリリースから引用)

 この香りが来店を増やすかどうか、また香りが書店ごとの特徴となるか、効果を測定する意味合いもあるようです。
 まあ、変なにおいがする書店より、いい香りの書店の方がいいのは当たり前なので、「書店と嗅覚」というテーマでなにか面白いことができないか考えてみたい。

 すごく基本的なアイデアとしては、一部の本(や棚)の前で特定の香りが出るようにする、というのはありますね。料理本とか、風景写真とか。女優さんの写真集の前で、その人が普段使っている香水などの香りを流して、ついでにその香水も並べれば、ひょっとしたら相乗効果で売れるかもしれない。
 範囲をもうちょっと広げて、例えばハワイの本のコーナーではハワイっぽい香り(ココナッツの香りとかさ)がすれば、雰囲気作りにはいいかもしれない。
 ただ、香りの好みも人によって多少異なるので、すべてのお客さんに向けた香りは難しいかもしれない。無臭・無匂がいい人もいるだろうし。
 そうなると、入店時に一人一人に香りの出る鼻栓でも渡して、鼻に詰めてもらうのもいいかもね。「ハーブが好きな人はこの鼻栓、ヒノキが好きな人はこちら」とか。

 ……みんなが鼻栓をしている書店は不気味だ。
 でも、入口でガムやタブレット(フリスクみたいな)を渡すのなら現実的にできる気がする。これならお客さん一人一人が気に入った香りを感じながら店内を歩けるんじゃないだろうか。ガムは食品メーカーとタイアップして配布してもらって(駅前などで配布するよりも効果があるように思うけれど)。

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■夏目漱石の話芸のうまさは、講演録を読むとよく分かる

 『文藝春秋』の下記の号に、夏目漱石の演説速記「作家の態度」が掲載されています。

文藝春秋 2007年 05月号 [雑誌]

文藝春秋 (2007/04/10)


 読売新聞でも、下記のとおりニュースとして取り上げられています。

漱石 江戸っ子口調の速記録 出版トピック 本よみうり堂 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 上の記事には「日本を代表する文学作品は、一流の話術から生まれたのか?」(YOMIURI ONLINE記事より引用)ともあるが、漱石の話術の巧みさは、それほど意外なことではないと思う。
 夏目漱石の講演録は、小説や随筆などよりも場合によっては読みやすいというのは、私も色々な人が書いたり話しているのを読み・聴きしてきました。そして実際、漱石の講演録『私の個人主義』を読んで、漱石のしゃべりのうまさを感じた。

私の個人主義
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夏目 漱石
講談社 (1978/08)
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(私が書いた感想文)060610-02 がらくた放送局の読書録更新:夏目 漱石『私の個人主義』(1978.8,講談社学術文庫)

 まあ、だからといって読売新聞の記事にけちをつけるつもりはありません(ここまでで充分けちをつけていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが)。
 むしろ、漱石のしゃべりのうまさを多くの人が知って、漱石の講演録が更に読まれるようになればいいなあと、素朴に思います。

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■神田神保町に寄席と映画館を新設する計画

 情報が断片的にしか集められていないのですが、神田神保町に新たに寄席と映画館を新設する計画があるようです。

古本屋街の寄席や映画館を現代に復活させる、神保町1-23計画 - ニュース - nikkei BPnet

 寄席は吉本興業による「神保町花月」、映画館は小学館による「神保町シアター」として、同じ建物内に2007年7月オープン予定とのこと。
 吉本興業は神保町に東京本社がありますので、神保町に寄席を作るというのはよく分かる(ちなみに、私は神保町の駅でトータルテンボスを見たことがあります)。

 7月って、もうすぐだ。地下2階、地上6階ということなので、結構な大きさの建物になりそうです。
 なお、場所は「神保町1-23計画」の名称のとおり、すずらん通りからもう一本南に入った通り沿い。三省堂書店のそばですね(ちなみにその更に南は再開発がされていて、えらくでかいビルが立っている場所です)。

 一応、地図も紹介しておきます。


(ALPSLAB base)

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■『文藝春秋』が過去の記事への投票を受け付け、上位に来た記事はwebで公開の可能性も

 『文藝春秋』が、85周年を記念して、webサイトで過去の記事85本への投票を受け付けていました(6/10締め切り)。

あなたが選ぶ文藝春秋びっくり記事85

■ 文藝春秋創刊85周年を記念して、これまでの記事の中から編集部が選りすぐった記事85本。あなたが読んでみたいと思う記事に投票してください。抽選で500名さまに1万円相当の作家の肖像つき図書券が当ります(賞品発送は商品発送をもって代えさせていただきます)。また後日、著作権者の許諾が得られた得票上位記事を5本Web上で全文公開します。
■ 以下のリストからあなたが読んでみたい記事5本を選び、タイトル横のチェックボックスをクリックしてください。さらに住所、氏名、年齢、性別、メールアドレスを入力して、送信ボタンをクリックすれば、投票は完了です。
■ 締切りは6月10日です。葉書でも投票できます(当日消印有効)。投票結果は文藝春秋8月号(7月10日発売)に発表します。
■ ここで集められた個人情報は、賞品の発送のご案内のみに使用し、6カ月以上は保持しません。また、本企画に当選された方は「文藝春秋」が同時期に実施する他の懸賞企画に当選されない場合があります(景品表示法の定めによる)。あらかじめご了承ください。

(上記ページより引用)

 投票は締め切られましたが、各記事の見出し・執筆者(関係者)・概要を眺めているだけでも、結構面白いです。
 なお、得票数の多かった記事のうち、著作権者の承諾が得られた5本はweb上で全文公開されるそう。これも気になる。
 一応、私が投票した記事も紹介しておきます。下記5本に投票しました。

16 「ハダカの王様」西へ行く
山下清(昭和31年11月号)
日本のゴッホと呼ばれた放浪画家の九州行脚。無邪気な文体で綴ったユーモラスな人間模様。

35 東大を動物園にしろ
三島由紀夫(昭和44年1月号)
力なき知性など役に立たない。未来を信じるな。大荒れの東大紛争解決策から自衛隊二分論まで。

47 世界一強い男・男たちのための「アリ自伝」
ムハマッド・アリ(昭和51年6月号)
金メダルを川へ投じた日からはじまった差別との新たな戦い。猪木との決戦前に語った半生

76 皇后陛下初講演・子供時代の読書の思い出
美智子(平成10年11月号)
人がどれだけ傷ついているかを気づかせてくれた読書。この年の読者賞に選ばれた講演録。

79 ユーゴ空爆・わが母国の悲しみ
ドラガン・ストイコビッチ(平成11年6月号)
これは政治ではない、人殺しだ。正義という名の暴力に抗議するセルビア人Jリーガーの叫び。

 ちなみに、現時点での投票ベスト3は下記のとおり。一言で言えば「あちゃあ」という感じです。

1位 81 もうひとりの私
 宇多田ヒカル ダニエル・キイス(平成12年1月号)
 16歳の宇多田と「アルジャーノンに花束を」の著者の美しい対話。愛と知性、生と死について。
2位 73 死ぬ前に一度あんたに会いたかった
 北野武・淀川長治(平成8年11月号)
 クロサワに次ぐとまで淀長さんが惚れ込んで、縦横無尽に語り合う初顔合わせがついに実現。
3位 17 明日は明日の風が吹く
 石原裕次郎(昭和33年3月号)
 映画界デビューの真相から喧嘩、酒、女性観、そして兄慎太郎の知られざる「泣き所」まで。

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■筑摩書房のサイトで、「新人のキミへ」として本を紹介

 筑摩書房のサイト内で、「新人のキミへ」と題して、ブックガイドが掲載されています。

筑摩書房>>新人のキミへ

 下記のテーマごとに、筑摩書房の本が紹介されています。特に新社会人や新入生などに限定せず、「新人のキミへ」となっていますので、気持ち新たに挑戦される方も見てみてはいかがでしょう。

  • 社会の常識を身につける!
  • コミュニケーションの達人になる!
  • 日本語を使いこなす!
  • とにかく悩みを解消!
 私が読んだことのある本も何冊かありますが、中でも私が学生時代に影響を受けたのは外山 滋比古『思考の整理学』 (ちくま文庫)かなあ。初めて読んだ外山氏の本が、この本だった記憶があります。

思考の整理学
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外山 滋比古
筑摩書房 (1986/04)
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アイディアを軽やかに離陸させ、思考をのびのびと飛行させる方法を、広い視野とシャープな論理で知られる著者が、明快に提示する。

この本の内容
アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。

目次
グライダー
不幸な逆説
朝飯前
醗酵
寝させる
カクテル
エディターシップ
触媒
アナロジー
セレンディピティ
情報の“メタ”化
スクラップ
カード・ノート
つんどく法
手帖とノート
メタ・ノート
整理
忘却のさまざま
時の試錬
すてる
とにかく書いてみる
テーマと題名
ホメテヤラネバ
しゃべる
談笑の間
垣根を越えて
三上・三中
知恵
ことわざの世界
第一次的表現
既知・未知
拡散と収斂
コンピューター

出版社の紹介ページより引用)

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■(訃報)カート・ヴォネガット(ボネガット)

 日本の新聞ではあまり大きく取り上げられていなかったようですが(読売新聞に訃報記事が載ったのは確認しました)、作家のカート・ヴォネガットが4月11日に亡くなりました。享年84歳。

 CNN.co.jpの記事によれば、
妻で写真家のジル・クレメンツさんによると、ボネガット氏は数週間前、米ニューヨーク市内マンハッタンの自宅で転倒し、頭部を負傷していた。

(CNN.co.jp記事より引用)

 という。

 私は全部の小説を読んでいるわけではないが、何冊かは読んでいるし、著作を見つけると気になる作家のひとり。『ホーカス・ポーカス』とか、『猫のゆりかご』とか、なんとも変わった小説が多くて、好きです。ハヤカワSF文庫に多く入っていますが、SFともちょっと違う、うまく表現できない魅力がある。
 ご冥福をお祈りします。

ホーカス・ポーカス
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カート・ヴォネガット 浅倉 久志
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猫のゆりかご
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ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを

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■『2007年本屋大賞』、発表されていましたね。

 『2007年本屋大賞』、発表されていましたが、チェックをすっかり怠っていました。
 ベスト3を紹介しておきます。

大賞:佐藤 多佳子『一瞬の風になれ』 475.5点

一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ--
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一瞬の風になれ 第二部
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一瞬の風になれ 第三部 -ドン-
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第二位:森見 登美彦『夜は短し歩けよ乙女』 455点

夜は短し歩けよ乙女
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森見 登美彦
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第三位:三浦 しをん『風が強く吹いている』 247点

風が強く吹いている
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三浦 しをん
新潮社 (2006/09/21)
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 『一瞬の風になれ』は第136回(平成18年下半期)直木賞にノミネートされ、前評判も高かった(らしい。直木賞のの結果は「受賞作なし」だったのですが)『一瞬の風になれ』が受賞となりました。
 四位以降の得点・順位は、本屋大賞の公式サイトでご確認ください。

本屋大賞 公式サイト

 また、下記の本でも今年度の本屋大賞について取り上げられています。

本屋大賞 2007 (2007)
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本の雑誌編集部
本の雑誌社 (2007/04)
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全国の書店員が「いちばん!売りたい」本に選んだのは!?

☆2005年12月から2006年11月までの1年間に刊行された日本の小説の中から、全国の書店員が「いちばん!売りたい」本に選んだのは──佐藤多佳子『一瞬の風になれ』!!

↓↓↓本屋大賞のホームページはこちら↓↓↓
http://www.hontai.jp/

 第1回小川洋子『博士の愛した数式』、第2回恩田陸『夜のピクニック』、そして第3回リリー・フランキー『東京タワー』と続いてきた本屋大賞は全国の書店員が投票で決める「いちばん!売りたい本」。その第4回の大賞受賞作は、佐藤多佳子『一瞬の風になれ』に決まりました!

 今回の参加書店員は1次投票317書店405人、2次投票273書店359人でいずれも過去最多。本の雑誌増刊『本屋大賞2007』では、佐藤多佳子さんの受賞第一声と合わせて、その全国書店員のおすすめコメントを一挙に掲載します。恒例の「発掘本(オールタイム推薦部門 書店員レコメンド)」コーナーのほか、村上春樹や宮部みゆきなどをとりあげた「書店員がすすめる人気作家はじめに読むならこの本」など、ブックガイドとしても楽しめる、本屋大賞完全網羅の一冊です!!

■大賞受賞者の言葉/佐藤多佳子
■気になるベストテンを大発表!
■「人気作家はじめに読むならこの本」を収録!
■エントリー書店員のコメントを一挙掲載!
■書店員おすすめの発掘本コーナーも充実!

(出版社の紹介ページより引用)


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