木の葉燃朗の週刊ほんトーク
いきなり始まったこのコーナー。 タイトルどおり、およそ週刊ペースで 本に関するあれこれの情報を紹介しようと思います。基本的には、自分のブログ(木の葉燃朗の「本とデジタルと俺の日常と」)に
掲載したものの再録ですが、 ブログに載せきれなかった小ネタなども あわせて紹介していきます。
本に張っているリンクは、特に断り書きがなければ、オンライン書店bk1へのリンクです。
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■2006年1月
【 2006年1月13日〜1月20日号 】 2006.1.22掲載
■2006年本屋大賞のノミネート作品が発表
全国の書店員がその年一番の小説を選ぶ「本屋大賞」。2006年の候補作品が発表されました。下記11作品です。この11冊をすべて読んだ書店員の投票により、本屋大賞が決まります。
・桂
望実『県庁の星』(2005.9,小学館)
「小学校の時からずっと成績優秀、品行方正。役人根性全開の県庁のエリートが、田舎のスーパーにやって来た。手に汗握る、役人エンターテインメント! サラリーマンも身につまされる役人意識構造改革ストーリー」(オンライン書店bk1の紹介文)
・町田
康『告白』(2005.3,中央公論新社)
「人はなぜ人を殺すのか…? 河内音頭のスタンダードナンバーとして唄われ、実在の大量殺人事件である「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。『読売新聞』夕刊連載に書き下ろしを加え、単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・奥田
英朗『サウスバウンド』(2005.6,角川書店)
「型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた長編。21世紀を代表する新たなるビルドゥングスロマン。『KADOKAWAミステリ』連載に加筆・修正、書き下ろしを加えて単行本化。直木賞受賞第一作」(オンライン書店bk1の紹介文)
・西
加奈子『さくら』(2005.3,小学館)
「飼い犬サクラと大学生の僕、父さん、母さん、妹のミキ。あるちっぽけな家族に起こったひとつの奇蹟が、ある美しいひとつの曲を、強く、やさしく立ち上げる」(オンライン書店bk1の紹介文)
・伊坂
幸太郎『死神の精度』(2005.6,文芸春秋)
「「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。『オール読物』等掲載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・重松
清『その日のまえに』(2005.8,文芸春秋)
「神さまは意地悪だから、大切なひとを遠くへ連れ去ってしまう。昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。それを不意に断ち切る、愛するひとの死−。生と死と、幸せの意味を見つめる連作短編集。『別冊文芸春秋』掲載」(オンライン書店bk1の紹介文)
・リリー・フランキー『東京タワー』(2005.6,扶桑社)
「それはまるで、独楽の芯のようにきっちりと、ど真ん中に突き刺さっている。東京の中心に。日本の中心に。ボクらの憧れの中心に。この話は、かつて、それを目指すために上京したオトンと、ボクと、オカンのちいさな話です」(オンライン書店bk1の紹介文)
・島本
理生『ナラタージュ』(2005.2,角川書店)
「大学2年の春、高校の演劇部の葉山先生から泉に電話がかかってきた。高校時代片思いをしていた先生からの電話に、泉は思わずときめく。だが、先生の過去には大きな秘密があった−。一生に一度の究極の恋を瑞々しい感性で描く。」(オンライン書店bk1の紹介文)
・古川
日出男『ベルカ、吠えないのか?』(2005.4,文芸春秋)
「1943年、日本軍が撤収したキスカ島。無人の島には4頭の軍用犬が残された。捨てられた事実を理解するイヌたち。やがて彼らが島を離れる日がきて−。それは大いなる「イヌによる現代史」の始まりだった!
」(オンライン書店bk1の紹介文)
・伊坂
幸太郎『魔王』(2005.10,講談社)
「人々の心をわし掴みにする若き政治家が、日本に選択を迫る時、長い考察の果てに、兄は答えを導き出し、弟の直観と呼応する…。未来にあるのは青空なのか、荒野なのか。世の中の流れに立ち向かおうとした、兄弟の物語」(オンライン書店bk1の紹介文)
・東野
圭吾『容疑者Xの献身』(2005.8,文藝春秋)
「天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール読物』連載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
しかし、読んだ本がないことはおろか、読んでみたい本も 『容疑者Xの献身』くらいという印象。俺がいかに小説を読まなくなったかを実感しました。
もし、本屋大賞も『容疑者Xの献身』が受賞したら、すごいよなあ。直木賞も受賞しているし、いくつかのミステリーランキングでも1位を獲得しているしなあ。
・本屋大賞 公式サイト http://www.hontai.jp/index.html
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■第134回芥川賞・直木賞が決定
第134回芥川賞・直木賞が決定しました。
芥川賞は絲山秋子「沖で待つ」(文學界九月号掲載) 、直木賞は東野圭吾『容疑者Xの献身』(文藝春秋)。 『容疑者Xの献身』は単行本になっています。「沖で待つ」は、2月に単行本化の予定のようです。
・東野
圭吾著『容疑者Xの献身』(2005.8,文藝春秋)
「天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール読物』連載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・絲山秋子『沖で待つ』(2006.2,文芸春秋)
俺は正直に言ってしまうと、芥川賞・直木賞だから読む(読まない)ということはないんですけれどね。各賞の選考委員の小説すらほとんど読んでいない状況なので。
それでも、やっぱり気になってしまう。
(参考)
・文藝春秋>芥川賞最新情報 http://www.bunshun.co.jp/award/akutagawa/index.htm
・文藝春秋>直木賞最新情報 http://www.bunshun.co.jp/award/naoki/index.htm
・受賞作以外の直木賞ノミネート作
・伊坂
幸太郎『死神の精度』(2005.6,文芸春秋)
「「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。『オール読物』等掲載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・荻原
浩『あの日にドライブ』(2005.10,光文社)
「人生、今からでも車線変更は可能だろうか。元銀行員のタクシー運転手は、自分が選ばなかった道を見てやろうと決心した…。『小説宝石』連載を再構成、大幅に加筆・訂正して単行本化
」(オンライン書店bk1の紹介文)
・恩田
陸『蒲公英草紙』(2005.6,集英社)
「変わりゆく日々に少女が見たのは、時を越えた約束と思い。懐かしさと切なさの魔法がきらめく感動長編小説」(オンライン書店bk1の紹介文)
・恒川
光太郎『夜市』(2005.10,角川書店)
「何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した祐司だったが、常に弟を売った罪悪感に苛まれていて…」(オンライン書店bk1の紹介文)
・姫野
カオルコ『ハルカ・エイティ』(2005.10,文芸春秋)
「ハルカは見合い結婚したが夫はまもなく出征。敗戦を迎え経済的理由から職業婦人となったことから、ハルカは女性として開花してゆく−。昭和の戦前、戦中、戦後をごく平凡に、だが常に前向きに生きた、一人の女性の物語」(オンライン書店bk1の紹介文)
・受賞作以外の芥川賞ノミネート作
・伊藤たかみ「ボギー、愛しているか」(群像十二月号)
・佐川光晴「銀色の翼」(文學界十一月号)
・清水博子「vanity」(新潮十月号)
・西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」(群像九月号)
・松尾
スズキ『クワイエットルームにようこそ』(2005.12,文芸春秋)
「目が覚めてわたしは、いるはずのない場所にいて…。薬物のオーバードーズで精神科病院に強制収容された明日香は、正常と異常を行き来する。奇才が贈る完全虚構世界にようこそ。『文学界』に掲載したものを単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
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■今、『アウターゾーン』は文庫で読めるんだね。
『アウターゾーン』は、1991年〜1994年まで(第一部・第二部間の中断あり)、 『週刊少年ジャンプ』に連載されたマンガです。
基本的には一話完結で、アメリカのドラマ「トワイライトゾーン」や日本のドラマ 「世にも奇妙な物語」のような、SF、怪奇ものの話が多かった。
俺は中学生から高校生の頃、このマンガが好きで、単行本は今でも全巻持っていま す。
後に高校生から大学生の頃に、SF小説や推理小説を読むようになったのは、『アウ ターゾーン』の影響があるだろうな。
主人公(ストーリーテラーであり、話の中にも登場する)のミザリィという謎の女 性も、強くてサディスティックな感じがなんだか魅力的だったのを覚えている。
文庫本は全10巻で刊行されています。上に挙げたようなドラマや、藤子不二雄A先 生のマンガ『笑ゥせぇるすまん』等が好きな方は、楽しめるのではなかろうか。
・光原 伸『アウターゾーン 10』(2005.9,集英社文庫)
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■福永武彦訳の『古事記』と『日本書紀』
俺はどちらも高校生の頃古文の授業で一部を読んだ記憶しかない。ひょっとしたらどちらかの一部だけだったかもしれない。それくらい縁遠い本。
でも、福永武彦氏訳というのが気になる。というのも、大学生の頃に講義の参考文献で一部を読んだ福永訳の『今昔物語』が、読みやすくて面白かったから。
これを期に、『古事記』、『日本書紀』も気合を入れてきちんと読もうかという気になる。
・福永武彦:訳『現代語訳
古事記』(2003.8,河出文庫)
・福永武彦:訳『現代語訳
日本書紀』(2005.10,河出文庫)
・福永武彦:訳『今昔物語』(1991.10,ちくま文庫)
【 2005年12月26日〜2006年1月12日号 】 2006.1.14掲載
年末に2005年の本の振り返りを挟んだので、3週間ぶりくらいになります。今回も本の話を色々とお届けします。
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■「わたせせいぞうの世界展」大丸ミュージアム東京にて開催(1/24まで)
・「わたせせいぞうの世界展 How Romantic― なんてロマンチックな!! ―」
http://www.daimaru.co.jp/museum/schedule/tokyo/
俺はなんとなく氏の絵には気恥ずかしいイメージがある。それは多分、氏のイラストのおしゃれな感じを見ると、自分自身のみすぼらしさを感じてしまうからだろう。きれいな絵だと思うんだけれどね。
ということで、俺は行こうかどうしようか考え中ですが、ファンの方はどうぞ。
・2006年1月11日(水)〜24日(火)
大丸ミュージアム東京にて
http://www.daimaru.co.jp/museum/schedule/tokyo/
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■ヴィレッジヴァンガード 菊地社長インタビュー
日経BPのサイトに、ヴィレッジヴァンガード菊地社長のインタビューが掲載されています。
・ 日経ベンチャー NV-CLUB ONLINE>ヴィレッジヴァンガードコーポレーション 菊地敬一社長 インタビュー http://nv-club.nikkeibp.co.jp/members/SERIES/20051228/106571/
ちょっと記事内に誤字が目立ちますが、菊地社長がかつて出版社や書店で働いていたことや、ダイナー(ヴィレッジヴァンガードの運営する飲食店)をスタートした経緯などが読めて興味深いです。
(参考)
・菊地
敬一『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』(2005.12,新風舎文庫)
(オンライン書店bk1の紹介ページ)
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■ビートルズ関連本の話
ビートルズ関連本が何冊か出ているようです。
・ジョニー・ディーン:責任編集
/ 平林祥・新井崇嗣・上西園誠:訳 / ザ・ビートルズ・クラブ:監修『ザ・ベスト・オブ・ザ・ビートルズ・ブック』(2005.11,リットーミュージック)
「ファブ・フォーが公認した唯一の雑誌『ザ・ビートルズ・ブック』。創刊以来40年にわたって蓄積された膨大なアーカイブの中から、貴重なインタビュー、写真、レポートを一冊にまとめたメモリアル版」(オンライン書店bk1の紹介文)
『ザ・ビートルズ・ブック』は、1962年から2003年1月まで刊行されており、ジョニー・ディーン氏はすべての号に携わっていたとのこと。
かなりボリュームもあるので、ファンの人には注目かと思います。
ただ、俺のような初心者が興味本位で買うにはちょっと値段も張るので(税込\5,565)、まずは下の本を読んでみようかとも思っています。
・ラリー・ケイン:著
/ 室矢憲治:訳『ビートルズ1964−65』(2006.1,小学館文庫)
当時のツアーに同行したアメリカ人のジャーナリストによるノンフィクション。
俺はビートルズのことはなんにも知らないからなあ。こういうところから読んでみようかしら。
なお、邦訳は出ていませんが、下の本も話題になっているようですよ。読売新聞の記事によれば、「伝記の決定版」とのことです。
・Bob
Spitz『The Beatles: The Biography』
(Amazon.co.jpの紹介ページ)
・読売新聞 > 著者Bob Spitz氏インタビュー
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20051208bk09.htm?from=os1
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■第134回(平成17年度下半期)直木賞&芥川賞候補発表
第134回(平成17年度下半期)直木賞&芥川賞の候補作が発表されました。
直木賞候補は下記6作品。恩田陸氏が前回に続き候補に選出されています。
・伊坂
幸太郎著『死神の精度』(2005.6,文芸春秋)
「「俺が仕事をするといつも降るんだ」 クールでちょっとズレてる死神が出会った6つの物語。音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。『オール読物』等掲載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・荻原
浩著『あの日にドライブ』(2005.10,光文社)
「人生、今からでも車線変更は可能だろうか。元銀行員のタクシー運転手は、自分が選ばなかった道を見てやろうと決心した…。『小説宝石』連載を再構成、大幅に加筆・訂正して単行本化
」(オンライン書店bk1の紹介文)
・恩田
陸著『蒲公英草紙』(2005.6,集英社)
「変わりゆく日々に少女が見たのは、時を越えた約束と思い。懐かしさと切なさの魔法がきらめく感動長編小説」(オンライン書店bk1の紹介文)
・恒川
光太郎著『夜市』(2005.10,角川書店)
「何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼いころ夜市に迷い込んだ祐司は、弟と引き換えに「野球選手の才能」を手に入れた。野球部のエースとして成長した祐司だったが、常に弟を売った罪悪感に苛まれていて…」(オンライン書店bk1の紹介文)
・東野
圭吾著『容疑者Xの献身』(2005.8,文芸春秋)
「天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は、愛した女を守るため完全犯罪を目論む…。数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリー。『オール読物』連載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・姫野
カオルコ著『ハルカ・エイティ』(2005.10,文芸春秋)
「ハルカは見合い結婚したが夫はまもなく出征。敗戦を迎え経済的理由から職業婦人となったことから、ハルカは女性として開花してゆく−。昭和の戦前、戦中、戦後をごく平凡に、だが常に前向きに生きた、一人の女性の物語」(オンライン書店bk1の紹介文)
芥川賞候補は下記6作。伊藤たかみ氏が前回に続いて候補に、また絲山秋子氏は前回は直木賞候補でしたが、今回は芥川賞候補です。
松尾スズキ氏もノミネートされていますねえ。
伊藤たかみ「ボギー、愛しているか」(群像十二月号)
絲山秋子「沖で待つ」(文學界九月号)
佐川光晴「銀色の翼」(文學界十一月号)
清水博子「vanity」(新潮十月号)
西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」(群像九月号)
松尾スズキ「クワイエットルームにようこそ」(文學界七月号)
各賞の選考は、1月17日に行われます。
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■さおだけ屋そのものよりもさおだけ屋についての本の方が大はやり
さおだけ屋を取り上げた、あるいは関連する本が、また何冊か出て来ましたよ。
・門倉貴史『人にいえない仕事はなぜ儲かるのか ?』(2005.11,角川oneテーマ21)
「野球選手はなぜ個人会社を作るの? 会社員の副業はなぜ会社にバレるの? ソープランドで働く美しい女性の取り分は? 「さおだけ屋」が教えてくれない、
ちょっと危ないけどおいしい仕事の秘密を、気鋭のエコノミストが暴露」(オン ライン書店bk1の紹介文)
ちょっと立ち読みしたら、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」という疑問に対する もうひとつの回答が書いてあった。この話は、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
でも「こういう例もある」として触れられていた(pp.29-32)。
・山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』 (2005.2,光文社新書)
「数字大嫌い、暗記も苦手。でも会計は知っておきたい。大ざっぱに会計の本質 をつかめる本」(オンライン書店bk1の紹介文)
簡単に紹介すると、「2本で千円」とテープを流しながら、買いに来た人には1本 5000円のさおだけを薦め、更に設置してあげるといって家まで行き、さおだけの土台
が壊れているから修理をした方がいいと言って、最後に修理代金10万円を請求する。
『人にいえない仕事は……』の方では、この詐欺の商法のテクニックについて、詳 しく紹介されていた。「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」に対するもうひとつの回
答といったところ。そのあたりしか立ち読みしなかったが、他にもやや怪しい商売に ついて書いているようだ。
そしてもう一冊。これはタイトルからして、非常に分かりやすいです。
・リテール経済研究会・三銃士:編著『潰れな いのはさおだけ屋だけじゃなかった』(2006.1,宝島社新書)
「さおだけ屋以外にも、不思議な商売はたくさんあるんです。爬虫類ペット屋、 ちり紙交換、客がいなくても大繁盛の漆器店…。まだまだあります、潰れない商売。
身近な「儲け」の謎を解く」(オンライン書店bk1の紹介文)
今こういう本を刊行するということは、それなりに売れると踏んでいるいうことな んだろうなあ。
そして、おそらくそこそこ売れてしまいそうなのが恐い。こうした本を思わず買っ てしまうような、流行り廃りに乗りやすい人たちを研究するのも、儲けの元になるか
もしれませんね。
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■「買い物本」の話:買い物版『TOKYO STYLE』があれば面白いかもしれない
実際にそういうジャンルがあるかは不明だが、「買い物本」とでも呼べそうな本がある。早い話が、ある人が色々な買い物をする様子を書いた エッセイ集という、そのまんまのネーミングなのですが。
例えば最近出たこんな本。
・松任谷 正隆『僕の散財日記』(2005.12,世界文化社)
「買い物に女も男も関係ない。勢いが大事なのだ…。お洒落で、お馬鹿な中年になるための正しい買い物術。『Men’s Ex』人気連載を
単行本化。さらに連載中に散財したあのアイテムの後日談を書き下ろし」(オンライン書店bk1の紹介文)
他にも、下のような本もあります。そういえば、借金をして高価なものをばかすか買っているらしい女流作家先生の本もあった気もしますが、記 憶があいまいなので(また興味もないので)割愛します。
・堀江 敏幸『もののはずみ』(2005.7,角川書店)
「作家の心を刺激してやまない、打ち棄てられたガラクタたち。パリや東京の黴臭い古道具屋で出会ったスライド映写機、パタパタ時計、鉛の
玩具…。国境も時間も超えた「もの」の本質を、愛情いっぱいに綴ったエッセイ」(オンライン書店bk1の紹介文)
・岡本 仁・岡本 敬子『今日の買い物。』(2005.6,プチグラパブリッシング)
「今日も明日も、夫婦そろってお買い物。銀座たちばなのかりんとうからイサム・ノグチの記念切手、エルメスのスカーフ、P&Gのジョイま
で、買っても買っても止まらない買い物DAYS! 編集者とその妻のブログを書籍化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・中西 哲生『不安定な人生を選ぶこと 買い物ワールドカップ2000〜2002』(2003.4,幻冬舎)
「僕は毎月、給料を使い切っている。つまり貯金がまったくない。もし貯金があれば頼ってしまう。それでは日々の人間的成長はない…。人気
スポーツジャーナリストによる過激な自己投資のすすめ。Webマガジン連載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・鹿島 茂『衝動買い日記』(2000.4,中央公論新社)
こうした本を見ていて思うのは、みんなかっこよくて、我が身のみじめさが際立つ、ということ。
そしてもうひとつ、「一般人は(そして著名人でも)、もっとこう『どうってことない買い物』をしているのではないか」とも思う。
そこで「こんな本が読みたい」という希望。
「普通の人たち」の「普通の一日」に買った「どうってことないもの」の写真集。
日本中(あるいは東京限定)のいわゆる繁華街で「今日買ったもの」の写真を取らせてもらう。短いコメントをつけて、その写真をひたすら並べ る。
似たような本に下の本があるが、もっと写真を中心にする。いわば、「都築響一『Tokyo style』の買ったもの版」といった本。
・WEBアクロス編集室・パルコ:編『トーキョー・リアルライフ 42人の消費生活』(2003.4,実業之日本社)
「東京に住む若者は、毎日何を買い、1カ月にいくら使っているのか? 42人の消費日記から、セキララなトーキョーの暮らしとそれぞれの
日常が見えてくる」(オンライン書店bk1の紹介文)
・都築 響一『Tokyo style』(2003.3,ちくま文庫)
「僕らが実際に住み、生活する本当のトウキョウ・スタイルがこれだ。乱雑な中にも、けっこう快適な空間がそこにはある。普通の東京の住空
間を活写した写真集。93年刊の文庫版」(オンライン書店bk1、旧版の紹介文)
というようなアイデアをちゃんと企画書にしたら、誰か話を聞いてくれるかしら?
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■光文社創業60周年記念出版:推理小説・児童文学が復刊
光文社創業60周年記念出版ということで、いくつかの作品が復刊されています。
多分、かつての装丁をそのまま使用しているのだろう。なんとなく懐かしい感じがする。
ラインナップは、まず松本清張、高木彬光の推理小説。
・松本清張『点と線』(2005.12,光文社)
「犯人が仕組んだ情死偽装トリック。容疑者には鉄壁のアリバイが…。本邦推理小説界の記念碑的作品。光文社創業60周年記念出版」
(オンライン書店bk1)
・松本清張『黒い画集 復刻版 全3巻』(2005年,光文社)
「復讐、不倫、汚職、殺人…。平凡な日常生活に潜む陥穽。読者を「静かな戦慄の世界」へ誘う傑作短編集。光文社創業60周年を記念して、
名著初版完全復刻。第1巻は「遭難」「坂道の家」の2編を収録」(オンライン書店bk1)
・高木彬光『成吉思汗の秘密』(2005.12,光文社)
「源義経とモンゴルの英雄ジンギスカン。2人は同一人物だったのでは…。名探偵・神津恭介が東洋史の謎に挑む! 本邦初の本格的ベッド・
ディテクティブ。光文社創業60周年記念出版」(オンライン書店bk1)
それから、児童文学が7冊復刊されています。代表的なものを挙げますと、下記2冊ですかね。
・壺井栄『二十四の瞳』(2005.12,光文社)
「おなご先生と12人の教え子とのあたたかい心の交流を通して、第二次世界大戦をはさんだ約20年間の庶民生活を描く、生活感にあふれた
壺井文学の傑作。光文社創業60周年記念出版」(オンライン書店bk1)
・石井桃子『ノンちゃん雲に乗る』(2005.12,光文社)
「ある朝、小学校2年生のノンちゃんが目を覚ますと、お母さんがお兄ちゃんを連れて出かけてしまった後だった。大泣きして神社の境内にあ
る大きなモミジの木に登ったノンちゃんは…。光文社創業60周年記念出版」(オンライン書店bk1)
その他のラインナップは、光文社webサイト内の下記ページでどうぞ。
・光文社創業60周年記念出版 http://www.kobunsha.com/kinen/index.html
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■書き込みのある『マイブック』のコレクターを目指します
2005.12.23(金) 購入本 【古本】 ■高円寺 古本酒場コクテイルにて
・『マイブック 2001年の記録』(2000.11,新潮文庫)
岡崎武志さんのトークイベントでの古本オークション(セリ)で購入。
マイブックといえば、日付だけが入っていて、後は自由に書き込める文庫本です。
・『マイブック 2006年の記録』(2005.11,新潮文庫)
(オンライン書店bk1の紹介ページ)
この本には、書き込みがしてあります。要するに、他人の日記帳と同じです。最初の三ヶ月くらいに、飛び飛びに、ですが。
うひゃー。
実は、書き込みがしてある『マイブック』を買うのはこれで三冊目です。いずれも長くて最初の三ヶ月くらいですが、日記とか思ったこととかが綴られています。
うひゃー。
でも、これを集めていくと、なにかが見えてくるかもしれない。現在手元にある三冊だけでも、全部女性が書いたものだったり、格言みたいなことを書いていたり、三ヶ月くらいで挫折していたり、というような共通点がある。
書き込みのある『マイブック』コレクター、目指そう。これは古本屋の均一棚を丹念に見ていかないとなかなか見つからないし、見つかってもなにも書いていないことの方が多いから、そうとう長い時間をかけて集めて行くことになりそうだ。ライフワークですね。
うひゃー。
【 特別編 】2005年読んだ本についてあれこれ(2006.1.2更新)
2005年の本について、色々と振り返って見ようと思います。
まずは今年の新刊のうち、読んで印象に残った本を。順不同です。
【新刊】
・OAK
MOOK『お笑い解体新書 Vol.1 ブームの謎を完全に紐解くお笑いMANUAL MOOK』(2005.10,オークラ出版)
この本に自分の書いた原稿を載せてもらえたというのは、個人的なニュースの一位です。
・初見健一『まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ〜食品編〜
』(2005.7.1,大空出版・大空ポケット文庫)
・初見健一『まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ〜文具・学校編〜
』(2005.12.10,大空出版大空ポケット文庫)
この二冊を、いち早く見つけて読めたことは嬉しかった。
1960年代〜70年代に発売されたものを中心に、今でも購入できるお菓子やインスタント食品(食品編)、文房具や学用品(文具・学校編)を紹介した本。カラー写真、発売年・メーカーなどのデータと、商品についてのコラムからなる。非常に面白い本です。
・天野ミチヒロ『放送禁止映像大全』(2005.7,三才ブックス)
「「ウルトラセブン」第12話はなぜ封印されたのか? 存在が知られながらも決して見ることができない263の映像作品を紹介し、不適切とされている表現を時代背景とともに解説する」(オンライン書店bk1の紹介文)
個人による著作としては非常に手間がかかっており、また著者の思い入れを感じた本。
・山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
』(2005.2,光文社新書)
「数字大嫌い、暗記も苦手。でも会計は知っておきたい。大ざっぱに会計の本質をつかめる本」(オンライン書店bk1の紹介文)
あまりに話題なので、改めて紹介するのもちょっと恥ずかしいのですが、でも入門書としては非常に面白かった。
他に、下記のような作家によるエッセイ集も面白かった。
・川上弘美『卵一個ぶんのお祝い。
東京日記』(2005.9,平凡社)
「ふつうに生活していても、けっこう妙なことが起こるもの…。おおむね楽しい、ちょっぴりさみしい。からだ半分、ずれている。カワカミさんの、5分の4はホントの、日々のアレコレ。『東京人』連載を単行本化」(オンライン書店bk1の紹介文)
・長嶋有『いろんな気持ちが本当の気持ち』(2005.7,筑摩書房)
「僕は大きく二文字「増刷」と書いた。書いてみると思った以上に間抜けで、小さく「したい」と書き添えたら、もっと間抜けになった−。セカイとジブンが愛おしくなるエッセイ集」(オンライン書店bk1の紹介文)
・恩田陸『小説以外』(2005.4,新潮社)
「本屋さんに愛される作家は、いかにして誕生したか? デビュー以来14年にわたる「小説以外」の活動を一冊に集約。読書遍歴、デビュー前夜、創作の舞台裏…。恩田陸のすべてが分かる、決定版・恩田陸大事典」(オンライン書店bk1の紹介文)
【文庫化・復刊】
文庫化されたり、復刊された本の中では、次の二冊が印象に残っている。
・佐野正幸『1988年10・19の真実 「近鉄−ロッテ」川崎球場が燃えた日
』(2004.10,光文社知恵の森文庫)
1988年のパ・リーグ優勝チームを決定する試合となった、10月19日川崎球場での近鉄vsロッテのダブルヘッダー。その一日を、筋金入りの近鉄ファンで、スタジアムで観戦した著者がつづった記録。
個人的には、日本プロ野球が魅力的であった時代を思い出させてくれた。
・細野晴臣:著・北中正和:編『細野晴臣インタビュー
THE ENDLESS TALKING』(2005.9,平凡社ライブラリー)
「はっぴいえんど、キャラメル・ママ、ティン・パン・アレー、YMO、FOE。一貫して日本のロックの最先端に立ち続けてきた細野晴臣。めまぐるしく変貌する細野サウンドの「謎」を徹底インタビューで解き明かす」(オンライン書店bk1の紹介文)
まさかこの本が復刊されるとは思わなかった。手に入れた時は嬉しかったなあ。すぐに読みました。
【漫画】
漫画は非常にオーソドックスですが下記の三作品で。『のだめカンタービレ』はまだ完結していませんし、『のだめ』も『ラブロマ』も連載スタートや最初の単行本は今年ではありませんが、今年新刊が出て、それも含めて読んだというくくりで選びました。
・吾妻ひでお『失踪日記』(2005.3,イースト・プレス)
「突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院まで。波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション!」(オンライン書店bk1の紹介文)
吾妻氏がすごいということを、改めて知った本。
・二ノ宮知子『のだめカンタービレ(講談社コミックスキス・既刊13巻)』(講談社)
色々なところで面白いという評判は聞いていて、とりあえず一巻を読んだら、やっぱり面白くて夢中になってしまい、それから一週間くらいで既刊13巻を一気読みしてしまった。
・とよ田みのる『ラブロマ(アフタヌーンKC・全5巻)』(講談社)
学園もののラブコメです。登場人物が、変だけれどいい奴ばかりで、過剰なドラマがないのも面白い。12月に5巻が出まして、完結しました。5巻は未読なので、早速買ってこようと思います。
【既刊及び古本】
刊行年や買った時期によらず、今年読んで印象に残った本を。
・『コンパクトYMO』(1998.4,徳間書店)
「1978年に誕生し、84年に封印されたモンスター、YMO。現在に至ってもなお時代に深く刻まれているその足跡を俯瞰し、もう一度見つめ直す。豊富なデータとメンバーの肉声によるYMOのすべて」(オンライン書店bk1の紹介文)
今年はこの本を読んでYMO熱、テクノポップ熱が再燃しました。ずいぶん色々なCDを買ったよなあ。その影響で、下記の本も読んでいます。
・佐久間英夫:編著『テクノのススメ』(1999.9,ブルース・インターアクションズ)
「YMOから始まったテクノ・ポップと現在のテクノを同一線上に結び付け、これまでのテクノの流れを統括し、分かりやすく解説する」(オンライン書店bk1の紹介文)
・美馬亜貴子:監修『テクノ・ポップ』(2004.3,シンコー・ミュージック)
「70年代後半〜80年代の音楽シーンを席巻したテクノ・ポップ。英・米・欧の重要アーティストはもちろん、YMOを始めとする日本のシーンもたっぷり紹介。定番から埋もれた名盤まで、強力執筆陣が徹底的にフォロー」(オンライン書店bk1の紹介文)
・コイデヒロカズ:編『テクノ歌謡マニアクス』(2000.4,ブルース・インターアクションズ)
「テクノ+歌謡=テクノ歌謡? YMOから伊藤つかさまで、80年代日本が生んだ、ジャンルを超越する奇跡の音楽の全て。200を越えるテクノ歌謡のディスコグラフィーに、細野晴臣らのインタビューを収録」(オンライン書店bk1の紹介文)
それともう一冊は下記の本。この本の中の一節に、俺は感銘を受けました。これは今年一番印象に残った言葉のひとつです。
・山口瞳『江分利満氏の酒食生活』(2002.3,角川春樹事務所ランティエ叢書)
「葱鮪鍋か、鴨なんばんか、湯豆腐か。一期一会の出会いを求めて、今夜も一杯、美味しい肴で…。酒の話、食の話、行きつけの店、礼儀作法。「一生懸命の店」を愛した山口瞳のエッセイ」(オンライン書店bk1の紹介文)
印象に残ったのは下記の部分。
「ジャーナリストとは、他人のファイン・プレイを探して世の中に紹介する職業だと私は思っている。このごろでは他人の私事をあばくのを本分とするジャーナリストがふえてきたが、こんなのはほんとのジャーナリストではない。新人の作家(各分野での)を発見し、発見することを喜び、当人の気のつかない立派な仕事をジャーナリスティックな目でとりあげて育てるのが新聞記者や雑誌編集者の仕事だと思う」(p.41)
俺はジャーナリストではないけれど、他人のファインプレイを紹介していきたい。せめて、会社の仕事以外での部分では、心がけて行きたい。
さあ、2006年もどんどん本を読むぞ。そしてできれば書評や本の話で名を知られるようになりたいなあ。
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